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神秘と混沌の感想…… 異次元の世界エルハザード
第十夜 再びまみえる・宿命のライバル
異次元エルハもいよいよクライマックス。なんか状況説明に時間がかかっていきなり展開が早くなった気がしますが、それはまあ仕方のないことでしょう。
今回、ついにギルダが反乱を起こします。そして誠と陣内という宿命のライバル（ただし一方通行）が再開を果たしました。命の泉の正体が神の目の制御装置であることも分かり、急転直下の展開ですねえ。
まず、誠の居場所を突き止めたクァウールが誠を救出します。その際アレーレとははぐれ？ また、菜々美はギルダ率いる反乱軍に拘束されてしまいました。
空中檻からアレーレが脱出する際、もろくなっていた鎖がちぎれて中にいる誠ごと落下、ピンチのところを間一髪でクァウールが救出します。しかしながら、その様子を見守っていた菜々美はギルダ率いる反乱軍に拘束されてしまいます。
今回の異次元エルハはやけに拘束やら強制やらが多いようですね。ギルダが最初から誠たちを信用していなかったのは、自分にも腹に一物あったからでしょう。『ギャングにはまわりもギャングに見える』論理ですね。
しかし、クァウールばかり活躍して菜々美ちゃんはどんな気持ちでしょう。誠ちゃんの役に立てない寂しさというのはあると思います。菜々美ちゃんの異能力は幻覚にかからないことですが、今回のシリーズでは役に立ってませんでしたしねえ。
あと、クァウールが水のランプを使った時の水の精霊がなんかカッコ良かったって感じ。
反乱を決起したギルダはクレタリアを一気に制圧します。命の泉を支配下に置き、皇帝の捕獲をももくろみますが、腐っても皇帝で庭園でたわむれているように見えてもあっさりとはつかまらない。それどころかギルダの反乱に際し、遊びが過ぎると言う。
うーん、ダル皇帝もやっぱり決める時は決めますね。とてもシリーズ前半までのダルと同一人物とは思えない(笑)。
誠もギルダが命の泉を本格起動しようとしていることに気付きますが、クレタリアの不完全な制御システムでは確実にオーバーロードしてしまうと心配します。うーみゅ、さすがはエルハザードで神の目の研究の第一人者、次元エネルギー装置の危険性に熟知してます。危険を知らない者が装置をおもちゃに使うことほど危ないことはないですからね。
「天と地を焼き尽くせし聖なる光、それは命の泉なり」という伝承をもとに命の泉の封印を解いて、反乱・敵対勢力を壊滅させようとするギルダですが、皇帝の拉致に失敗したとの報告が入ります。どこの世界にも強大な兵器を持っていればそれを使いたがる人物はいますが、それにしても恐ろしいことを考えますね。とても妃候補のお姫様だったとは思えない。(^_^;)
そこへタイミングよく陣内が割って入ります。白アリ昆虫族から逃げてきた陣内は、食うや食わずの逃避行で見事元どおりの体形に戻り、クレタリアに侵入してギルダに接触を謀るのだった。
陣内のことだから権力に取り入るのが上手いのはわかるけど、よく猜疑心の塊のようなギルダに取り入ることができましたねえ。いいやそれよりも、あれだけどっぷりと肥え太った陣内が元どおりに痩せるなんて、いったいどれだけ逃げ回ったのだろう？
誠はギルダを説得するため、もう一度話し合って見ると言います。誠って本当に人間を見る目がありませんねえ。ギルダのような思いこみと猜疑心の塊のようなタイプが、そう簡単に人の言うことを聞くとは思えません。誠は誠実さと真面目さが取り柄のようなタイプのため、結構鈍いうえに他人をあっさり信用してしまう傾向があります。世間知らずという意味ではクァウールといい勝負かもしれない。
その誠とクァウールが戻る途中、昆虫族の元から逃げてきたシェーラ・シェーラと再会します。シェーラは誠と再会したことが嬉しくて誠に甘えたいのに、逆にクァウールに抱きつかれてしまって願望が果たせない。うーん、非常にらしい展開ですね。シェーラが誠といい雰囲気になろうとするたびに、クァウールに乱入されてじとっと睨んだりとか。
誠の次元移動装置を渡そうとしたシェーラは、その中身がいつの間にかからっぽになってしまったのに気付く。逃げてる間に落としたのだろうか？
そのとき３人は親衛隊たちに包囲される。応戦するシェーラとクァウールの様子を見て、誠を人質にとったギルダがつぶやく。なるほど、水と炎の大神官かと。
ギルダは３人を命の泉の封印の元に連れていく。しかし命の泉の紋章って、神の目とそっくりだなあと思ったら、本当に神の目らしいでやんの。(^_^;)
封印の前で陣内と再会する誠たち。陣内は積年の恨みを晴らすとか何とか言ってるけど、はっきりいって単なる逆恨みですな、こりは。おまけにギルダが３人をここに連れてきたのも、どうやらこの手の封印の類いを解くのは大神官の仕事と世間の相場は決まっているときたもんだ。クレタリアの封印をエルハザードの大神官に解かせるのか？ 本当にそんな理由でいいのか、ギルダよ？ （本当に解けてしまったんだから結果オーライだが）
陣内はファトラ様を人質にして封印解除をせまる。しかしまあファトラってよく人質になるもんだよなあ。どう見ても人質にふさわしいか弱くてけなげなヒロインタイプじゃないのに。ギルダはファトラを女スパイだと思い込んでるし。
おまけに「神の目じゃあるまいし」というシェーラの言葉に反応して、陣内は命の泉を神の目だと勝手に思い込むし。しかも本当にそのとおりらしいから始末に終えない。
神の目の封印を解くには３人の大神官が必要であり、起動させるためには２人の王家の者が必要だというのはＯＶＡ１に出てきた設定ですね。それなのにシェーラとクァウールの二人だけで封印が解けてしまう。その時、空中農場であり実際にはクレタリアの植民地でもある、ルーン様やチャービルたちのいる天空の大地に異変が起きる！ 地震が起き、大地が傾きつつ割れて、その下からものものしいメカが姿を見せ、位置が変わるのだ！
そして封印の解けた命の泉に、アルージャの笑いが被さる。
今回はずいぶんなところで引きが入りました。なぜ、クレタリアにエルハザードの神の目があるのか。なぜ、封印がたった２人で解けたのか。前回からのクァウールと誠の関係も気になるところですが、次回を楽しみにしましょう。
今回は、脚本：山田光洋、絵コンテ＆演出：阿部雅史、作画監督：毛利和昭でした。
初出：98/ 3/13 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/consider/elha2_tv2.htm
第九夜 破られた・聖なる掟
異次元エルハももう９話です。しかし今回はやばかったー(^_^;) 録画開始時刻になってもまだミニスカポリスなんてものがやってるんだもの。いつもより開始時刻が５分遅れたので、あやうく５分見そこねるところだった。録画時刻自動調整機能付きビデオなんてないのかなー？
今回はダルとギルダの過去と、ギルダの計画の一端があかされました。ギルダって、よその国のお姫様だったのね、多分。（←推測）
冒頭、封印されたドアを興味半分で覗こうとするダルと、それを止めようとするドレスを着たギルダの過去があかされました。後で描かれますが、ダルとギルダは王家が決めた許嫁同士で、しかもギルダは半ば人質のようにして幼い頃からクレタリアに連れてこられたそうです。それでもギルダはダルが好きだったのでしょうが、ダルは婚約を一方的に破棄し、国許に帰れと言いました。封印の門の光の中で、一体ダルの身に何があったのでしょうか。
ギルダはおそらく、他国の姫かなにかでしょう。君主が臣下から配偶者を娶るというのは日本ではともかく、中世ヨーロッパでは考えられないことだったそうです。君主と臣下では身分違いであり、王家と身分が合うのは他国の王家しかないということで、王族同士の婚姻が常識だったそうです。クレタリアは中世ヨーロッパのイメージが強いので、また人質ということもあり、ギルダはきっとよその国（おそらくボルケニアかコクトゥーラ）だったのでしょう。しかしギルダは本気でダルが好きだった。だから兵士になって、それも親衛隊長という重役につくほど必死になって頑張って、ダルの側に居たかったのでしょうね。
しかしダルはドアの中身で何かを見た。それもそれまでの世界観、人生観を覆すほどのものを。だから一方的に婚約を破棄した。最初ダルはただの無能な女好きだと思ってましたが、実際には嫌世的になったから退廃的な生活を送るようになったのでしょう。もしかしたら国の未来のことも、どうでもいいと考えるようになってしまったのではないかと。
あと、気になったのはダルが冒頭で唱えた呪文。
「光とともに、天より舞い降りし者よ。永遠の眠りにつきし……」
最初、誠たちのことを言ってるのではないかーなんて思ってましたが、考えて見るとこれは過去の話ですから全然違いますね。もしかして、イフリータの一体がここにまぎれ込んで寝ているとか……そんな訳ねーか。(^_^;) いやしかし、封印の門はあきらかに先エルハザード文明のものと酷似していたし、ありうるかもしれない。
しかし、かわいらしいギルダにさわやかなダル……今からじゃとても想像がつきませんよねえ。
パルナスの案内で武器庫の探索に向かった誠ですが、その現場を親衛隊に見つかり、ギルダに連行されます。しかしパルナスの描写は分かりませんねえ。前回クァウールが息急き切って「パルナスが……」なんて言って食堂で話し込んだりするからてっきり彼が行方不明になってしまったと思っていたのですが、武器庫の門の前で待っていたのでしょうか？
それとあの状況では、パルナスだってつかまってしまうと思うぞ。パルナスが宝剣を取ろうとしたら槍が突き刺さってきたわけですから、パルナスが運よく隠れていたとは思えないし……、どうも演出に難がありますねえ。
ギルダはおそらくファトラから誠にシンクロ能力があることを知り、誠にむりやり協力させるために連行したのですが、それにしては檻の中に閉じ込めて宙づりにするなんて、どういう意味なんでしょう。あとでファトラを探しに来たアレーレも誠を救おうとして一緒につかまっちゃうし。
東雲食堂クレタリア支店に、クァウールに合いに来たダル皇帝。自分で育てた花を差し出し、ワインを飲んで良い夢を見させてもらったといって、一刻も早く城から立ち去ることを命令する。これはクァウールクァウールの誠への気持ちを知って諦めたということでしょう。普段の無能と女好きは、一種の隠れ蓑だったのでしょうか。
しかしワインに悪酔いしてべろんべろんになり、兵士に絡むのは良くないと思うぞ、ダルよ。
ギルダですが、クレタリアの抜き差しならぬ状況に決起してクレタリアの実権を握ろうとします。ギルダ派の衛兵たちでまわりを固め、非ギルダ派の重臣たちの反論を封じ命の泉の力を使ってまでクレタリアを守ろうというのだ。
しかし、聞けばクレタリアは相当ひどい状況ですねえ。食料生産能力は底を付き、ボルケニアの植民地では反乱（当然だろうなあ。おそらくボルケニアを占領して作った植民地だったのでしょう）だそうだ。
しかし、命の泉は天より賜った繁栄と栄光をもたらす聖なるエネルギーで、ギルダのやり方では古の言い伝えに背くことになるらしい。仮にうまく使えたとしても、国中の機能が停止してしまうかもしれないそうだ。
うーん、ギルダって兵士にしてもすごく切れ者ですねえ。もともと素養はあったのだろうが、とても大きくなるまでお姫様として育てられたとは思えない冷酷ぶり。昔の姿と全然結びつきません。
誠が捕まったことを知ってどうしたらいいのか分からなくなる菜々美とクァウール。しかしクァウールは誠を助けるために水の法力を使おうとする。本人にも分からないのだが、誠とクァウールは心のどこかで繋がっている気がするのだという。はるかに遠いどこかで、ずっと昔からお会いしていたいたような。
これってイフリータのことじゃないのかっと思ったのは私だけではあるまい。いや、誠の運命の女性はイフリータであり、クァウールはイフリータがいない間の仮ヒロインだと思っていたのですが。これってクァウールがイフリータに匹敵する誠の運命の女性だということでしょうか。なんかＯＶＡの結論をひっくり返しかねない台詞ですし、こういう設定にしたからにはそれなりの説得力というものを用意しないとエルハシリーズそのものを壊しかねないだけに手腕が問われるところです。ただでさえ散漫的になってきているというのに、大丈夫か、構成！？
もちろんそんな彼女の台詞に菜々美が反発する。自分の方がよく知っていると。「あんた、何にも分かってないじゃない。誠ちゃんは……」と言いかけて、口をつむぐ菜々美。おそらくその後には、「好きな人がいるんだから」と続くはずだったのでしょうが、口には出せなかったのでしょうねえ。
それを聞いてクァウールは菜々美に、誠様が好きなのですねと問う。そしたらあわてて否定する菜々美ちゃんですが、ばればれですねえ。いいかげん素直にならないから、誠は気付かないのですよ。
しかしその後に続くクァウールの、私は水の大神官ですという言葉。これは大神官の法力で誠を救うという意味の外に、自分は神官職だから男女としての好きとか嫌いとかで誠を見ているのではないという意味にも取ることが出来るのですが……考えすぎでしょうか？
外に出て、水のランプに法力の呪文を唱えるクァウール。
「マルドゥーンの水の精霊たちよ。天空を支配せしかの大いなる力、わが身、わが言葉を通じ、聖なる水のランプの元に集いて、今、ここに表しめ給え」
これを聞いて、エルハ以外の世界でマルドゥーンの精霊が集まるのかと思いました。もっともエルハの法力は先文明の遺産の力を借りた技術ですので、実際には精霊とかは使っていないのでしょう。
クァウールがその法力を解放すると、誠の持っていた例の古代遺跡の発掘品が反応する。その光はギルダや地下を走っていたシェーラの元まで届き、次元移動装置のアルージャは笑う！ そしてそのパワーに誠の入っていた檻はひしゃげはじめる！
ギルダはその法力の光を吉兆と感じ、士官たちを集めることを命令する。
そして皇帝の庭園に向かい、武器を捨てて単身皇帝に会いに行く。クレタリアを救うために、命の泉の制御パスワード、聖なる言葉が必要なのだが、ダルにあっさり断られるギルダ。クレタリアを愛し、ダルを愛していると叫ぶギルダに対し、ダルは王家の決めた許嫁にすぎんと宣言する。その言葉に胸ぐらを掴みそうになるギルダ。
うーん、やっぱりダルとギルダの会見は物別れに終わっちゃいましたね。ダルはなにか胸に秘めていそうだし、ギルダは思いこみの強そうなタイプだし。次回ギルダがどんな行動に出るか、恐そうなきがしますです、はい。
今回は、脚本：山田光洋、絵コンテ＆演出：キクチヤスヒト、作画監督：小林利光でした。
初出：98/ 3/ 6 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/consider/elha2_tv2.htm
第八夜 仕掛けられた・妖艶なる罠
エルハ第８夜の感想をいきます。
今回は、繋ぎの回と言う印象が強かったですね。場面があっちこっち飛んでいって、見ていて散漫な感じを受けました。仕方ないと言えばそうなのですが、ただでさえ状況説明で回数を喰っているのでもう少しなんとかしてほしかったように思います。
さて今回の売りは太りきった陣内(笑)と、妖艶なる白蟻の女王さまでしょう。やっぱり陣内は、餌だったのね。(^_^;)
前回ギルダに手を出そうとして捕まえられたファトラ様は、今回取り調べ室にてギルダの取り調べを受けています。異世界のことを信じていないギルダにしてみれば疑ってかかるのも当然なのでしょうが、それにしてもねえ。ギルダもなにか企んでいるみたいだし、神経過敏になっているのでしょうか。
一方行方不明のファトラ様を、アレーレとパルナスが探す。パルナスにしてみればむさくるしい男の誠よりも、ファトラを探した方が良いのでしょうが、本来の主人であるクァウールの命令で誠の手伝いをさせられそうになりますが、パルナスが侵入時に入った武器庫で見たと言う“光”について、クァウールに案内されます。
その誠の方はと言うと、クァウールのことが気になって仕方ない様子。もっともクァウールと発掘遺跡の品の関連性について悩んでいるようですが。そのおかげでせっかくの菜々美ちゃんのお弁当も気もそぞろのよう。もっとも、誠が見ていたものは、最終的にはイフリータだと思ってますが……（クァウールはあくまで臨時ヒロインだと）
せっかく東雲食堂にていい雰囲気になれたのも束の間、クァウールが入ってくる。パルナスが武器庫で行方不明になってしまったのだ。“光”が今回の次元移動の鍵を握るのではないかと睨んだ誠は武器庫へ直行する。しかしせっかくのいい雰囲気を（結果的に）邪魔された菜々美ちゃんの機嫌は一気に悪くなってしまった。
菜々美ちゃんも、クァウールの登場で誠への気持ちに気付きはじめたのでしょうか？ それにしても誠ばかり、なぜもてるー！？
その頃親衛隊は、Ｃブロック３４区画に異常があることを突き止めた。そこに白蟻昆虫族がいるのだ。繁殖期で気が荒い昆虫族に備え、該当ブロックの動力炉を止めて白蟻退治に向かう親衛隊だった。
と、ここまでが次回への繋ぎでした。今回の本題は以下の点からです。
その頃白蟻昆虫族に監禁状態の陣内は、すっかり太ってしまった。あそこまで肥えたら普通は内疾患などの異常があるはずなのだが……やっぱり喰っちゃ寝で運動不足なのだろうか。本来陣内はヤセ型だったはず。
へんなじじいの（全宇宙の支配者）アルージャに言われて、縦穴に落とされたシェーラを助けることになる。アルージャはシェーラの力が必要になるからと陣内を諭しているけれど、陣内はシェーラがおとなしく言うことを聞くタマでは無いことを知っているだけに不承不承だ。やはり人間、陰謀に明け暮れていると他人を信用できなくなってしまうものなのだろうか？
しかしアルージャよ、あんたどうしてそんな誠の機械の中にいるのだ。
その頃シェーラは、木の実を食べて飢えをしのいでいたが、そろそろ限界のようだ。おまけに縦穴の底にあった卵が孵化し、シェーラに襲いかからんとしている。シェーラは蟻の幼虫の餌だったんだね。陣内の助けで縦穴から這いあがってくる。
しかし陣内が垂らした糸が最初細かったのには笑いました。これって『蜘蛛の糸』じゃないかって。結局カツオが垂らした太いロープのような糸で助けるわけですが。
それにシェーラが太りきった陣内を見て言った台詞が、貴様ばっかりおいしいもの喰いやがってといったのはらしくて良かったですね。食い物の恨みは恐ろしいってか。
白蟻昆虫族の女王が起き上がってやってくる。バグロムの女王ディーバに良く似ているが良く見ると違う白アリ女王（ってエンディングクレジットに書いてあったんだよ）は、陣内を見ると押し倒す。
全宇宙の支配者を目指そうとするものが、初めは清い交際からと決めていたなんて、陣内も奇妙なところで律義ですねえ。自分のこだわってる部分をのぞけば後は意外と普通人と同じ感覚なのかもしれない、陣内兄妹って。一瞬そんな事を考えてしまった。
白アリ女王ってなんだか知能は低そうですねえ。陣内にディーバと言われてオウム返しに「私の名はディーバ」とか言ったりとか。
しかしその正体は、丸々と太った陣内を食べてしまおうとしているのだった。うーむ、こういう場合、昆虫は餌に逃げられないようにするために毒でしびれさせたり粘着質の液で固めたりするのが普通なのだけど。まあおかげで陣内様も逃げられたことだし、めでたしめでたし。なのかなあ？
自分たちを取り囲む白蟻族たちを炎で打ち破るシェーラ。シェーラに持ち去られる機械の中で笑うアルージャ。その後を必死で逃げていく陣内とカツオ。
そして白アリ女王の変身か幻覚が解ける。彼女は人型の昆虫族ではなく、実は生っ粋の昆虫族だったのだ。
今回は繋ぎの回の印象が強かったからでしょうか、今後に続く伏線もいろいろありましたね。なぜ白アリ女王はディーバそっくりだったのか。実はバグロム族と白蟻族は本当に同族ないしは近親族だったのか。それともただ陣内のイメージにあわせて陣内の理想のタイプにより近い姿を幻影として見せたのか(笑)
ギルダの計画もなにかありそうですし、もしかしてギルダは、無能でわがまま、かつ女好きな皇帝に成り代わって市民革命を起こそうとしているのだろうか？
そして藤沢たち空中農園組は、再びストーリーに再登場する機会があるのだろうか。ストーリーの本筋からはずすために空中農園に在中させたのだとしたら悲しいですよね。
最後にオープニングになにか違和感があると思ったのですが、最後の誠が駆け出すシーンで、主要登場人物たちの絵がパラパラと何回か出るシーンがありましたよね。そのシーンがごっそり削除されて、そのかわりにクルーザーに載っている誠とクァウールのシーンにいつの間にか入れ代わっていました。うーん、作画が放映開始時期に間に合わなかったのだろうか……？
今回は、脚本：山田光洋、絵コンテ：市川ゴン＆阿部雅司＆キクチヤスヒト、演出：阿部雅司、作画監督：津幡佳明、レイアウト補佐：福世孝明でした。
初出：98/ 2/27 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/consider/elha2_tv2.htm
第七夜 禁じられた・迷宮
今回は雪山に遭難していたはずのファトラ様が主役。どう見ても異常事態なのにＴＰＯを考えず、あくまでマイペースに突き進んでいきます。そんな性格しているから囚われやすいんだねぇ、きっと。
（普通、囚われのお姫様といえば、おとなしいと相場が決まってるはずなのだが……）
冒頭、白いバグロムを見たと言うクァウールの言葉に、驚く誠達。白いバグロムとはこの世界にいる新・昆虫族のことでしょうね。しかし先週、そんな昆虫族を見たシーンは無かったような気がするけど(^^;)
誠はこのことから、この世界とエルハザードが通じている可能性を指摘します。人間と同じように同族異種の可能性は考えないのだろうか。まあわらにも縋り付きたい気持ちだろうから分からないでもないけど。
そしてクァウールに、なぜそんなに虫が嫌いなのか尋ねます。クァウールが言うには、生まれたときから虫が苦手だとか。どうやらクァウールの家系になにか秘密があるようですね。
一方皇帝は、なぜか(笑)寝込んでいる。心当たりのある菜々美はあせっていたけど、そのダル皇帝はなにやら陰鬱な思いをめぐらせているようで。
雪山から徒歩でクレタリアの城門までたどり着いたファトラ様ご一行。普通こういう城塞都市では、身分証明書なしの訪問客は厳しい取り調べを行うために拘束されるものだと思ったのですが、外出禁止とはいえ市内に放り出されてしまいます。どう見ても監視が甘いぞ、衛兵たち。
そのファトラたちですが、どうにも活気の無い市内の様子に戸惑っています。パルナスは妙齢のお姉様がいないことに疑問もたげているし、ファトラ様は市中見回りのギルダの気の強い顔を見て、彼女に興味を示すしぃ。この３人といると、あのアレーレが押さえ役に回らざるを得ないと言うところが凄い。
それよりも妙齢の女性達が見当たらない町中の様子が気になりますねえ。老婦人にシェーラの行方を尋ねる３人ですが、どう聞いても怪物かなにかにしか思えない説明がおかしかったです。シェーラが聞いていたら怒りだすぞ、きっと。
見回りから戻ってきたギルダですが、何かギルダなりの野心がありそうです。「この計画」とか言ってましたしね。戸棚の中の写真立て(？)を眺めますが、そこに映っているのはタキシード姿のダルと清楚なドレス姿のギルダでした。優しい顔の彼女の姿が印象的です。装甲親衛隊になって、何をするつもりなのだろう？
その後ファトラ達は、フリスタニカの王宮より広い王城内（もちろん目的はギルダだ！）に潜入を試みますが、ここらへんの過程は内容が無いようも同然なのでパス。まあファトラらしい無茶苦茶な潜入の仕方でしたが。装甲甲冑は拝借して上半身がパルナス、下半身がアレーレというのがユーモアがありましたね。
そして途中でついたのが、美女ばかりが集められた王城内のハーレム。大奥みたいなところでしょう。この国中の女の人たちが集まっているみたいですねとはアレーレの弁ですが、みたいじゃなくて本当に集められてきたのだと思うぞ、あの女好きのダルによって。……こんな事しているようじゃ、長くないだろうな、この国も。（ハーレムの維持費も莫大なものだろうし、第一国中から美女を集めてきたら、美少女が生まれなくなるじゃないか(笑)）
それよりも美人のお姉さんに膝元ですりすりしているパルナスが羨ましい、じゃなかった、要領いいですねえ。アレーレ達も呆れてましたし。
一方城内を荒らしまわっているファトラ達を追っていた装甲親衛隊は、ギルダに状況を報告している。でも「あの男」って言ってるってことは、やっぱりギルダ達はファトラを誠と勘違いしている(笑)（←お約束）
ひもじくなったパルナスとアレーレがいい匂いにつられてやってくると、そこはなんと東雲食堂クレタリア支店だった！ しかし「東雲」を「ひがしくも」と読んだり「しののめ」と読んだり、パルナスとアレーレって、なんで漢字が読めるんだ？ はっ、これが二人の異能力とか。w(ﾟoﾟ)w
その一方でファトラ様は、ついにギルダの居所を突き止める。しかもギルダは装甲を外して、シャワーを浴びようとしていた所だった。危うし、ギルダの貞操……ってなんか違う。しかしこの状況って、パルナスとアレーレがファトラとはぐれたのだろうか、ファトラが二人からはぐれたのだろうか？
ギルダの隙を見て襲いかかろうとするファトラだが、さすがに親衛隊長を務めるだけ会って逆にファトラの方が捕らえられる。勢い余ってファトラの胸を掴んだギルダは、そこで女だと気付いて彼女が誠ではないことを知る。ファトラを誠の一味だと思ったギルダは、ファトラから全てを聞き出すために（って隠していることは何も無いんだけど）彼女を拘束する。
誠はアレーレ達の話から、エルハザードのみんなも同じ世界に来ていることを確信する。次元移動は膨大なエネルギーと完璧なタイミングが必要だとの仮説を立てている誠らしいですね。
ファトラは拘束されて球形の牢獄に拘束されるし。
そして寝室でどろどろとした思いに寝込んでいたダル皇帝は、ついに切れたのかまるで陣内のような笑い声をあげる。どうしたんだ、一体(笑)。
いやー、どこまで言っても自分のペースを崩さないファトラさまが、ついに捕らえられましたねー。以前だって幻影族に捕らえられた事もあったというのに、懲りるとか用心深くなるということを知らないのかしらん、このお人は。
個人的には、もう少し切れ者だと思ってたのだが、ファトラ様は。これではまるでバカ殿ならぬバカ姫とか言われても弁護できないな。ダルといい勝負ですね。
今回は、脚本：山田光洋、絵コンテ：石山タカ明＆キクチヤスヒト、演出：藤寺アキヒコ、作画監督：毛利和昭でした。
初出：98/ 2/20 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/consider/elha2_tv2.htm
第六夜 商売繁盛、恋の使者
今回は、どこの世界にいっても商魂たくましい菜々美ちゃんが主役。燃料をくすねて屋台を営業したり、皇帝ダルにとりいって食堂のを開いたり、とにかくやりたい放題でした。守銭奴の面目躍如ですね。
クレタリアの地下では命の泉の異常が発生していた。一刻も早く手を打たなければならないと分かっているのに、親衛隊長ギルダはまだ誠たちを疑っていて反応炉に近づけない。ギルダの責任感の強さは分かるし、色恋ごとにうつつを抜かす皇帝に代わって自分がしっかりしなきゃいけないという事でしょうが、要はどちらを優先させるかですね。
しかし反応炉の描写で、揺れる炎の動きがアルージャ（世界の支配者）が出てきた時の次元移動装置の様子を一瞬連想してしまったのですが、多分私の気のせいでしょう。(^^ゞ
一方誠は図書室で、冷たいご飯に文句をたれる。文献だけの調査では、肝心なところがさっぱり分からないからだ。皇帝ダルのおかげで操作室には入れるようになったのですが、ダルの目的はクァウールですから……。こいつ本当に皇帝かしらん？ ３話の時よりひどくなってる気がする。(^^ゞ
菜々美ちゃんがおでんの屋台を勝手に開業して、兵士達に人気の様子。どうやらこのお城では冷たい食事しか供給されないようで、おでん屋台は商売繁盛。しかし熱源はパイプから勝手に拝借してるところを皇帝ダルに見つかって。
ダルがあんな性格だから助かったものの、本来だったら菜々美ちゃん、処刑ものですねえ。しかし皇帝がクァウールへ気があることを知った菜々美ちゃんは、クァウールへのアプローチと引き換えに、言葉巧みに皇帝の私室を東雲食堂クレタリア支店に改築してお店を開店する密約を交わす。
一方反応炉の司令室で原因調査していた誠は、ギルダからクァウールとの仲を詮索される。ただのお友達と答えるけど、ギルダの方も、どうやら皇帝に気があるみたいですね。誠に男なら皇帝に気をつけろと言い残します。その言葉の真意に全然気付かないのが誠らしいですが。しかしギルダは誠達を信用しておらず、反応炉のある部屋へは入れてもらえず終いで……。
菜々美ちゃんはクァウールの部屋へ遊びに行ったり、温泉を作らせて一緒に入ったりします。クァウールの部屋というのがこれがまた豪勢なものですねえ。いかに皇帝に気に入られているかが分かろうと言うものです。その一方で温泉というのが、菜々美ちゃんが皇帝に作らせたものとか。ある意味恐いもの知らずだなぁ。クァウールの方も、誠と一緒に入ろうとまで言い出すし。こちらも世間知らずという意味では、恐いもの知らずですね。
菜々美ちゃんが温泉でクァウールの好みを聞き出しますが、クァウールの理想は誠のような優しい人とか。菜々美ちゃんはちょっとショックを受けたようで。誠のことを大好きですとまでいうクァウールの姿を見て、思わずきれいと見とれてしまう菜々美でした。
もし誠と菜々美がエルハザードに着ていなかったら、二人は特に意識することも無くいい仲のまま成長して、いつの間にか結婚していたような感じがしますね。菜々美ちゃんもそうだと思っていたんでしょう。でも幼なじみというのは強力な武器ですが、反面恋には変わりにくいところもあるから……。
皇帝の私室を改築した食堂でお金儲けに精を出す菜々美ちゃん。誠を調理人に、ウーラを招き猫にして大繁盛してます。手伝いに来たクァウールには皇帝を押し付けるし（←これはダルとの約束か）。後で一日の売り上げを心底嬉しそうに数える菜々美ちゃんですが、本当に何に使うんだろう？ お札を頬擦りするのが幸せとまで言い切る菜々美ちゃんに、誠も呆れ顔だし。菜々美ちゃん、君こそ守銭奴の鏡だ！
そしてダルの様子を物陰から見るギルダ。これはもうほとんどお約束、皇帝と家臣との禁じられた愛情というパターンですね。皇帝への恋心を忠誠にすり替えたというのがギルダの正体でしょう。
ダルの方はというと、クァウールを動力炉に招待していた。発電量が不安定になってきているというのに、と言っていたら案の定停電を起こしましたね。おまけに闇のところで何者かの目が光っているし。おそらくその影の中の目は、陣内達が出会った昆虫族のものでしょう。
しかし自分が優しいと主張するダルの前で、優しい人は好きですと言うクァウールって、本当に無防備ですねぇ。世間知らずの一言で完全に野獣になる寸前のダル。
さらに停電で様子を見に行った誠が、いきなり蒸気を被って廊下に空いた穴に落ちてしまう。落ちた先はクァウール達がいる動力炉の近く。今にもダルがクァウールに思い余った告白を受けようとしていたところに落ちてしまいます。
誠の心配をするクァウールに、ダルはそういうことかと一人で納得する。誤解したのか理解したのか、これで誠は、大分立場が悪くなることでしょう。昔から男の嫉妬ほど醜いものはないと言いますし。
一方シェーラの炎を頼りに行軍してきたファトラ様ご一行は、クレタリアの城門のところまで来ていたのだった。今までよく飢えもせず雪中を行軍してこれたな。
しかし、闇の中にいるらしき白蟻かオケラみたいな新昆虫族と言い、ファトラ達が雪中を徒歩で行軍してこれたことと言い、もしかしたら新昆虫族のアジトとクレタリアは意外と近いのかもしれない。(^^ゞ
今回は、脚本：山田光洋、絵コンテ＆演出＆作画監督：関野昌弘でした。
初出：98/ 2/13 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/consider/elha2_tv2.htm
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