NULL A の世界の感想

　サービスで宇宙船ですか。この温泉郷の人々は、すっかり慣れちゃってますな、きっと。


◆ハルナのご招待
　ハルナのご招待に丸尾正樹、八木はじめまで誘った香奈花ちゃん。試験勉強を手伝ってくれた御礼と言いますが、負担するのは島田旅館の方では。
　一方貧乏性な成恵の方は、本当に無料なのかというところが心配のようです。

◆『歓迎香奈花御一行様』
　という垂れ幕を、星船の本体に貼って出迎えてくれるハルナ。宇宙人とかＵＦＯとかに過剰に反応するはじめはもちろん、まさか自分から正体をばらすほどバカではないと思っていた香奈花たちまで目が点になってしまいました。
　サービスとか言っているけど、正体ばれるのまずくないのでしょうか。
　……事後処理に励むテイルメッサーや朝倉凛たちの苦労が偲ばれますな。

◆温泉宿にて
　健全な男子たるもの、露天風呂に入ったら女湯を覗くのは義務──と丸尾は主張するのでしょうが、その温泉は女湯の方が高く作られていて男湯からは覗けず、女湯からは丸見えという構造になっていたのでした。
　あまりといえばあまりに理不尽な（嘘）状況に、竹壁をよじ登る丸尾にお湯をぶっ掛けるはじめたち。……落ちて当たり所が悪かったらただじゃすまないぞ。

◆ハルナさんをお嫁さんにしちゃうぞプロジェクト
　島田昭雄とハルナ。互いに好きあっていても結婚できない二人。
　島田オーナーの方はかまわないと言ってくれてますし、母親である女将さんも好意的な目で見てくれていますが、ハルナの方が躊躇しているみたいです。
　そんな二人を、事情を知っている成恵と和人、事情を知らないながらもはじめと丸尾が、雰囲気だけでも結婚式を挙げようと奮闘を開始します。しかし香奈花だけは積極的ではないみたい。
　実は香奈花は、オーナーとハルナの事情に離婚した自分の両親の事情を重ね合わせてみていたのだった。
　──なるほど、香奈花だったら真っ先に乗ってくるはずなのに妙に消極的だったのはそういうことだったのか。
　そんな香奈花をバチスカーフが諭してくれます。幸せだったから香奈花が生まれたのだと。
　うむぅ、機械の癖に人間の機微に通じていますなあ、バチスカーフ。
　ブーケ用の花を探しにでかけた成恵と和人。崖の中腹に咲いている花を取りにテレポートしようとする成恵を差し止めて、崖をよじ登って取りに行く和人。うーむ、なぜテレポートを差し止めたのかはわかりませんが、自分の手で取りにいった和人は珍しく男を発揮していましたね。

◆小さな結婚式
　ハルナのウェディングドレスを制作、女将さんの協力も得て、昭雄とハルナの結婚式を開く香奈花たち。
　こんな気まぐれに付き合って温泉旅館の仕事が滞るのではないかと心配するのですが、そんなことよりも二人の幸せと友人たちの好意の方を優先する女将さんの配慮が心憎いです。
　ハルナの投げたブーケを受け取ったのは成恵。成恵が結婚する相手は、やはり和人なのでしょうか。


　というわけで、ベタベタにお約束で幸せなお話でした。
　

初出：03/ 6/23 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/narue_tv3.htm#11

　遅れましたが、感想を書きます。


◆テロカプセル侵入
　冒頭、テロカプセルが侵入して軍が苦戦しているため、機族である天堂蘭と音無麗に支援命令が出される。
　なんで朝倉凛だけが待機なのかと思ったけど、地上にいる七瀬一家のためだったのですね。
　しかし、あれだけ星船があっても、テロカプセルの中のテロリスト相手に全然手も足も出せて無いじゃん。
　

◆たこ焼き一箱５００円
　夏祭りの夜に、母の形見の浴衣で訪れる成恵。さすがの和人も浴衣を着た成恵ちゃんの姿を見て「綺麗だね」。お互い顔を真っ赤にしてご馳走様ですこと。
　さて、そんな二人して夏祭りを楽しんでいますが、夜店のたこ焼きの値段を見て
　「えっ、５００円もするわよ、もったいない。たこ焼きぐらい家で作ってあげる」
　──相変わらずいじましいぐらいの貧乏性だぞ、成恵。
　ちなみに私もたこ焼きが一箱５００円なのは高いと思うが（おい？）、こういう祭りの夜店では祭りの相場というものがあります。普段買うときには高い値段も、こういう祭りの喧騒の中では許されるというか、ついつい雰囲気に呑まれて普段なら買わないものを買ってしまう。それが祭りにおける夜店の醍醐味です。
　ですから、もったいないと思ってその場の衝動買いができない成恵のような貧乏性では、祭りの半分も楽しめていないと。
　まあ、本人は和人と一緒に祭りに来れただけでも楽しいと言っているので、これはこれでありなのでしょう。

◆宇宙忍者見参
　神社にお参りしたときに、３人の宇宙忍者テロリストが現われる。こいつら、第１話で成恵たちにつかまったアバロン星人とその仲間たちでしたか。
　なぜ七瀬一家を狙うのかは相変わらず不明でしたが。
　タイムステイシールドを使って成恵を周囲から隔離する。しかも止まっていた和人を動けるようにしてからいたぶろうとするし。
　宇宙テロリストにとって、七瀬が地球にいることは目障りなのでしょう。多分。

◆朝倉凛救援──しかし
　テロリスト襲撃の危機に駆けつけてくれたのは朝倉凛ちゃん。監察庁所属の機族の一人でした。
　前回のこともあるし、どうやら監察庁の三人娘のうち、地球の七瀬家の担当は凛に割り振られているみたいですね。
　だがしかし、ロボット三原則に縛られている（……って、第６話に登場したあれ？）機族では、テロリストとはいえ生身の人間を殺す真似はできない。
　……って、対テロリスト鎮圧用の任務に就いているロボットに、人間を殺しちゃダメって縛りをかけてどうするねん！？
　これでは少なくとも凛がテロリスト相手に苦戦したのは、本人の責任じゃありませんね、これは。
　さて、その後、天道蘭と音無麗が救援に駆けつけてテロリストを捕縛しますが、宇宙戦でウィルスに感染していた天道蘭が暴走して、成恵たちに武器を向ける。それを倒したのはやはり凛ですが。
　確かに仲間を感染させられたのだから、蘭を倒すのは凛の仕事だったのかもしれません。辛い仕事です。
　だがしかし、これでは──

◆「我々も、努力を続ける」ｂｙテイルメッサー
　テロリスト襲撃の後、テイルメッサーが現われ、和人にこれからも成恵と一緒にいたいかと尋ねる。その和人の返事に対するテイルメッサーの答えがこれです。
　成恵たちを宇宙に返したがっていた監察庁側ですが、とうとう七瀬成恵の地球滞在を認めることにしたのでしょう。
　結局のところ、テロリストを追い払って始末をつけたのは凛たちであり、ひいては軍や監察庁側ということになります。成恵も和人も宇宙テロリストに対しては無力でした。
　わずかながらバチスカーフが３人組の一人を拘束していますが、彼女はどちらかというと香奈花の星船ですしね。
　だから成恵たちが地球に滞在できるように「努力はしている」のは監察庁側の好意であり、成恵たちはそれに対して甘えているという形になってしまったのは残念ですね。
　もっともテロリストの撃退は監察庁側の仕事でもあるので、国民としてキリキリ働いてもらおうというのは、それはそれで正しい態度なのですが。──って、成恵たちって惑星日本に税金納めてたっけ？


　というわけで、わずか１２話ながら楽しませてもらいました。
　正直に言いますと、『成恵の世界』は決して傑作とは言いがたい出来でした。しかしながらＢ級にはＢ級なりの楽しみ方があり、この作品では随所に見受けられる８０年代テイストの話のお約束バリバリの展開が懐かしく思えました。
　ありがとうございました。
　

初出：03/ 7/ 3 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/narue_tv3.htm#12