新・天地無用！　感想無用！

２６話　大団円！ だって私は 大人だもん☆

　ＪＵＮです。最終話の感想いきます。
　うーみゅ、可もなく不可もなく無難にまとめましたね。幽戯との決着がちょっとあっさりしすぎているように思いますが。それよりもなによりも、結論が「真夏のイブ」とのネタがブッキング気味になってしまったのが、また残念です。
　ただ、ところどころあまい部分が残っているものの、さすがに画面等の演出には力はいってますね。さすがは最終回ってところでしょうか。


　先週までの続きで、天地たちの元に集まってくる女性陣たち。砂沙美が天地たちのところに寄るのを見て、幽戯は呆然とする。
　解説モードに入って状況説明する鷲羽ちゃん。いちいちうなずく美星がらしいですね。「私たちをバラバラにして地球の守護力を弱め、自分の国を創る」　これが幽戯の目的だったのですが、この言葉を１回聞いただけで、そうだったんですかぁとうなずく美星はすごいと思う。手段と目的の関連性が乖離しているため、一回聞いただけでは私だったらすぐには納得できない。まあ、うなずいてはいても理解はできてないのかも。
　呆然とする幽戯は、砂沙美に呼び掛ける。砂沙美の欲しいものなら何でもあげるといって、砂沙美に訴えかける。だからこっちに来てと。
　もともと幽戯は興味半分で砂沙美に接触したはずです。６話で砂沙美に接触してきたのは幽戯の方ですし。しかし初めて出来た友達を、幽戯は独り占めしたかったのでしょう。
　しかし砂沙美は訴える、何でこんなことをするの、と。みんなと仲良くしてと言いますが、しかし幽戯は話を聞いていない。(笑)　砂沙美だけは助けてあげると、自分の主張だけ述べています。うーむ、思い込みの激しい奴だったんですね。
　「嫌いになっちゃうから」と砂沙美が叫んだら、砂沙美なんか最初から嫌いだったんだと叫ぶ幽戯。かわいさ余って憎さ１００倍状態ですね。哀れ余計なことを言った真鳥は、幽戯のかんしゃくで消されてしまうし(^_^;)

　心を閉ざして引きこもった幽戯に対し、一人で決着をつけたいと向かう天地。みんなから宝玉を返してもらい、剣状態にして幽戯のところに向かいます。天地のサポートをして、水晶型の狗麗卑吐から天地を守る魎呼、阿重霞、美星に清音。
　残った鷲羽は勝仁との会話を思い出す。天地は優しいから幽戯とは戦えないかもしれないと勝仁は言う。しかし岡山の地に宇宙の娘さんが６人も住んでいるのは偶然ではない。この星に危害を与えかねない悪しき者たちを懐に招きいれ、悪しき行動に走らせないように共に平和に暮らす。それが天地の役目で、これまで立派に星守としての役目を果たしてきたと。
　新・天地における天地の役割がこれですが、これを聞いてそうだったのかと思いました。まさしく天地と魎呼たちとの関係に対する新解釈ですね。すると１話で天地を東京に呼び寄せた独善の誘いは、それ自体幽戯の仕向けたことと解釈できそうです。しかし戦わずして鬼の牙を抜き、心を浄化するというのは、新・天地なりの解釈がでていて、ここら辺は正直うならされました。

　幽戯のところに付き、１対１で幽戯と対峙する天地。脅える幽戯は天地に攻撃を仕掛けるが、それを防ぐ天地。幽戯が脅えるのは分かる気がする。樹雷で一人で好き勝手に振る舞い、問答無用で封印された経験を持つ幽戯にとって、再び封印されるように感じたのでしょう。
　しかし向かってきた天地は、幽戯を引っぱたく。そして幽戯を優しく諭す。寂しいなら、僕等のところへくれば良かったんだと。
　ここら辺の天地との会話は、ちょっとあっさりしすぎだった気がしますね。一人で勝手気ままにふるまい、３６００年もの間封印された幽戯の寂しさは一様のものではなく、自分の力のおよばない相手がでたら再び問答無用で封印されるのではないかという不安に、常に内心さらされていたと思います。てなわけですから、一通りの説得だけで幽戯が納得するわけもなく、そのためにはもっと長いこと培った信頼が大切だと思うのです。だから、もう少し身体ごとぶつかっていく描写が欲しかった。
　でもまあ、これをやろうとすればそれこそ時間がいくらあっても足りませんし、新・天地のテーマで幽戯の占める割合はそれ程大きくないので、ここはこの程度の描写は仕方の無いことかもしれません。


　以下はエピローグ。
　学校を止め、岡山に帰った天地。
　馬之介や尼ヶ崎のハガキには「東京の女から」といういたずら書きが。
　天地のハガキの差出人を求めて、信幸に尋問（というより拷問だね、これは）を加える魎呼たち。
　うーむ、こういう場面では哀れですな信幸は。いっつも被害者になっている。砂沙美ちゃんまでこんな恐い顔をしなくてもいいのに(T_T)
　柾木神社の祠に再び封印されて眠りについた幽戯。毎日幽戯に話しかける砂沙美ちゃん。幽戯が眠りに着いたのは、このままじゃ普通の世界に長くいられないから。自分で成長していい子ちゃんになるまで眠ることを選択した幽戯。うーむ、樹雷の封印とはちがい、眠るだけで成長できるとは大したものですねえ。
　ただ幽戯の結論は、劇場版「真夏のイブ」の麻由華の結論と同じなため、気になりました。将来、幽戯が（新・天地世界では）天地ファミリーの仲間入りを果たすことを約束した結論ですからねえ。まあ、新・天地は今までの天地世界とは全くの別世界ですから、気にしないといえばそれまでなんですけど。

　そして木の枝に座り、魎呼と話をする天地。幽戯のことを一通り話した後、魎呼が指摘する。佐久耶は幽戯の影だった。だったら幽戯は成長したら、佐久耶になるかもしれないと。そしたら、天地はどうするか。
　青臭い恋は敵じゃない、大人の女だからと強がりを言う魎呼ですが、すぐに嘘だといい天地に迫る。あわやいいシーンで、鷲羽たちの邪魔が入る。って、宝玉を利用した新しい次元トンネルですか？　ここら辺はお約束ですね。
　そして最後は、１話に対応する魎皇鬼の鳴き声シーン。これで、新・天地は本当に終了です。


　いろいろ文句も多いこのシリーズでしたが、終わってしまうと感慨ぶかいものがあります。このシリーズのおかげで、アニメに対する批評的な見方がずっと深まったような気がしますし。
　それでは、失礼します。

初出：'97/ 9/23 Niftyserve FANTVA MES(13) #1135

２５話　花散らむ 君去りし後 ・・・・・

　ＪＵＮです。２５話の感想いきます。
　うーむ、ほぼ、満足です。多少の欠点は目に付きますが、シナリオも作画も演出も、十分合格点を越えています。さすがにシリーズのクライマックスだからでしょうか。天地と佐久耶との関係に一つの決着がつきました。それもいままでありがちだった安直さがあまり見受けられないほぼ理想的な形でした。
　もちろん不満な点も無いわけではありませんが、１０話や１３話を上回る良い出来だったと思います。



　さて冒頭、佐久耶が消滅して茫然自失の天地くん。勝仁や鷲羽の見守るなか佐久耶の思い出を思い返しています。
　ここで蛇足ながら疑問に思ったのは、天地と佐久耶の記念写真に佐久耶が写っている点。前々回幽戯は佐久耶が存在した痕跡を消しているため、ここの佐久耶の写真も今頃は消えているはず。ここで記念写真から佐久耶の姿が消えてなくなるという演出が入ればもっと良かったのになーと思いました。

　その一方で前回から柾木家を襲撃している真鳥。魎皇鬼を撃退し阿重霞を打ちのめします。そして砂沙美ちゃんを幽戯のもとに転送する！　砂沙美をさらわれた魎皇鬼は宇宙船タイプに変形し、東京の天地のところに向かいます。ここで鷲羽の次元トンネルを使わなかった理由が分かりませんが、まあ魎皇鬼たちは再接続された次元トンネルの存在（あるいは在処）を知らなかったということで。
　それより疑問なのは、みゃ〜しかしゃべれない魎皇鬼の言葉をなんで鷲羽が理解できたのかということですかね。まあ、天才だから大丈夫ってのはプリサミだけにして欲しいが、鷲羽ちゃんだから万能翻訳機でも持っていたのでしょう。どのみちストーリー全体から見れば些細なことですし。

　砂沙美を獲得した幽戯は水晶に閉じこめた砂沙美に話しかけます。砂沙美だけが友達だと言ってくれたこと。砂沙美だけいればあとはいらないと。そして砂沙美と二人っきりの世界を創るため、とうとう異次元の壁を破って地球にその居城を出現させる！　水晶に被われる地球。その際の副作用で、地球の時間が止まる！（←ここらへんが安直(^^;）
　砂沙美ちゃんがさらわれ、柾木家がバラバラになった現状に責任を感じる天地。宝玉のおかげで時間停止からは守られているが、宝玉のそろっていない状態では勝ち目はない。それでも感情の命ずるままに、地上に現れた幽戯の居城へ向かう！
　天地にとって、佐久耶ちゃんは幻じゃない。影なんかじゃない。さっきまで現実にここにいた存在なんだ。だから佐久耶を、まるで非人格的なもののように消滅させた幽戯が許せなかった。
　そして空中高く浮かんでいる幽戯の城に突入するのに、天地が空中に浮かんでいる水晶を足場に八曹跳びを行う！　これってすごいと思った。なんたって先の尖った水晶を足場にするんだから、普通なら滑って地面に激突って感じですね。しかしこのシーンは、素直に天地くん、かっこいいと思いました。

　そして幽戯の城に突入しようとした天地。しかし結界に遮られて、そして……天地は夕焼けの下校時に、友人達と談笑しながら帰っていく佐久耶の姿を見つける。幽戯の作り出した光景に、目を奪われる天地。幽戯の思うままに、現れる佐久耶。幽戯の作り出した存在だと分かっていても、佐久耶に手を出せない天地。
　夕焼けの海岸、お祭り、桜並木。このシーンがの出来が良かっただけに、最初見た時には、どうやって天地は現実の世界へ復帰するのか心配になりました。今までが今までだから、天地がある時、いきなり佐久耶との光景を否定して現実に戻るとかいう安直な展開になるのを正直予想していた。
　しかし、天地は佐久耶を後ろから抱き、ついに告白する！

　「待たせて、ゴメン……。俺も、好きだ……」

　ついに言い切ったか、天地よ！　これで君も優柔不断からおさらばだ！
　この一連のシーン、私のような素人目にも力はいっていることが良く分かりました。もちろんこのシーンだけでなく、今回は全般的に作画や演出のレベルが高く感じられます。さすがにクライマックス、佐久耶との関係の総決算のシーンですから腐っても天地といったところでしょうか。
　シーンはまだまだ続く。天地の告白に涙を流す佐久耶を見て、幽戯が驚く。さらに佐久耶は言う。もう夢の時間は終わり。どんなに奇麗でも、どんなに楽しくても、ここは夢の中。人は幻の中には住めないということを。天地にはやるべきことが、帰るべき場所が、待っている人がいることを。今まで一緒にいた時間の一秒一秒が大切な宝物で、その宝物が天地の胸の中に入っていることを。だから寂しくなんか、無いということを。
　今までのストーリーから、幽戯の影であるはずの佐久耶に自我が目覚めていたということでしょうか。自分が予想していなかった、自分には理解できない言動をする佐久耶を、幽戯が消してしまいます。
　佐久耶の天地への思いは、いつしか作られたものから本当の気持ちへと変わっていったのでしょうね。いや、それだけじゃなく、天地の佐久耶への思いは、きっと初めての恋というものだったのでしょう。他の天地メディアでもそうですが、天地にとって魎呼や阿重霞といった女性陣は、居て当たり前な家族というべき存在になってますから。多分、彼女達を恋愛対象として見ることは、ほとんどないと思います。そんな天地にとっての初めての恋愛対象の出現、それが佐久耶だと。そして悲恋を経験した天地が一皮むけて、柾木家のところへもどってくる。それを描きたかったのでしょう。こういう展開なら、結論が「真夏のイブ」と一緒になることはなくなると思います。初恋は実らないと、良く言いますから。


　さて、前回から引き続き戦ってる魎呼とミホキヨは。
　異形の秀眞と戦っている魎呼は、宝玉の力に守られつつ秀眞を倒します。お前（秀眞）にあたしの気持ちは壊せねえと。しかし天地のそばに誰が居ようと、最後に勝つのはこのあたしだと叫ぶところが魎呼らしい。そうだ、それでこそ魎呼。さっきはあんなこと書いちゃったけど、ストーカー少女には負けるなー。

　一方ミホキヨは、すばしっこい東日流にもてあそばれて攻撃が命中しないうーみゅ、やっぱりシャトルの爆発の余波程度では東日流にとどめをさせなかったか。
　しびれを切らした清音は、反物質次元弾頭で一気に決着を図ろうとする。使用するのに上司の許可が何回も必要なモノをなんで常時携帯しているのかという疑問はさりげに却下して、清音は自分が囮になってその隙に東日流を撃てと美星に言います。しかし清音に向けて放たれた東日流の大攻撃を、美星が盾になって庇う。倒れた美星の銃を持ち、東日流に向けて発射。なめていた様子の東日流は、弾頭の威力の前に消滅した。
　しかし身代わりになって倒れた美星が、いたいのーと言って顔を上げたときには驚きましたね。東日流の攻撃は、最大でも致命傷にならない程度しか無かったのかーって。いくら演出でも美星の超幸運のおかげだというのは却下したいな。
　あと清音よ、正面から狙って有無を言わさず消滅できるほどの威力なら、なにも囮になる必要はないじゃん(^_^;)


　そして幽戯の幻から開放された天地は、その怒りをもって幽戯と対決に向かう！　天地の宝玉が呼応して輝き、それが魎呼の、阿重霞の、美星の、清音の、鷲羽の、そして水晶に閉じ込められた砂沙美の水晶と呼応する。天地のいる幽戯の居城の前で、次々と現れる魎呼たち。真鳥の攻撃を跳ね返し、清音の射撃で自らのエネルギーを暴発させられて消滅する真鳥。
　ここでみんなが集まったのは、宝玉の力だと説明する鷲羽（←ここらへんも安直）。実はみんなも天地のもとへ帰ってきたかったのだと。だったら宝玉バラバラになったって大丈夫じゃんと思ったのは私だけではあるまい。いざとなったら集結させられるのなら、いままであれほど手間隙かけて柾木家をバラバラにした幽戯の努力って、なに？(笑)
　もっともそれは、宝玉の所有者たちが帰りたいと思わなければならなかったのでしょう。そこまでの経緯がある程度描かれていたので、この程度のご都合主義は目をつぶりましょう。
　でも、やっぱり魎呼と阿重霞の喧嘩シーンは落書き調になるのね。まあ、これは新・天地では最初からそうでしたから、いまさら言いません。



　新・天地の物語が、天地の悲恋ものだと今回分かりました。プリサミ系とラジオドラマを除いて、天地系の作品で天地が「好きだ」と言ったのは実はこの作品が初めてじゃないでしょうか。しかもその相手が魎呼や阿重霞ではなく、オリジナルキャラクターというところが泣かせます。これだけでも天地のフォーマットを随分はずしているので、新・天地が天地無用！とは明らかに別物の作品だということが良く分かりました。
　佐久耶をヒロインに据えたスタッフの思惑も、今ならなんとなくですが分かる気がします。実際、佐久耶以外のキャラクターは、魎呼も阿重霞もほとんど同じ扱いを受けていましたからね。

　次回いよいよ最終回。佐久耶以外のキャラクターの結論がいよいよ出ます。あれだけのことをしでかした魎呼がどうなるのか、そのエピローグ的な部分が気になりますね。
　でもＥＤがいつもの「やめられない×２」に戻りました。前回の「かたおもい」はやっぱり一回限りのエンディングでしたね。

初出：'97/ 9/17 Niftyserve FANTVA MES(13) #1103

２４話　陽炎の 如き現の 夢語り

　ＪＵＮです。２４話の感想をいきたいと思います。

　まあ、なんというか、いろいろ不満も多いわけですが、例えば前回、天地以外に佐久耶の存在の痕跡が消えてしまったという伏線があったのに今回はまったくそれが無視されているとか、天地もすっかり忘れているとか、あれだけの設定が実は伏線でも何にもなってなくて、佐久耶を送り込むための幽戯の記憶操作したという説明のためだけに用意されていたのかというアンバランスさとか、そのために天地の感情の流れが前回から繋がっていないとかいうことはあるのですが、新・天地でシリーズ構成に関して文句をいうときりがなくなるので、これ以上は何も言わないことにしましょう。（←散々いってるやんか）
　実際、単発の回として見るとそれなりに手堅くまとまっていて楽しめるしね。
　まあ、終盤のシリーズ全体をまとめなければならない回で、こういう見方をしないと楽しめないというのは情けないことですが……。


　冒頭、夜中の８時に佐久耶に電話して、デートの約束を取り付ける天地くん。佐久耶の方も、自分に過去の記憶が無いことに不安だったようですけど、天地の声を聞いて安心したかのような雰囲気ですね。
　天地と佐久耶のデートでは、どう見ても恋人同士にしか見えなかったし(^_^;)
　そして海でのセカンドキッス。
　思い出がないのなら、これからたくさん作っていけばいいと話す佐久耶。なんか佐久耶ちゃん、自分の記憶喪失というか記憶の欠如を自覚して受け入れたためか初めて普通の女の子に見えました。
　あれ？　佐久耶って確か最初は普通の女の子がウリじゃなかったっけ？(笑)
　いままで普通の女の子と言う割には意味不明な一目惚れ宣言したりストーカー行為ばっかりしていたためか、どう見ても自己中心的な異常人格者にしか見えなかったのですが（佐久耶の設定上当然かもしれませんが）、正体がバレて初めて感情移入ができたというのも皮肉といえば皮肉ですな。
　しかし佐久耶とのセカンドキッス、あまり盛り上がらなかったというか演出に気合いが入ってなかった気がするのは、私の気のせいでしょうか？


　一方、鷲羽は勝仁を問い質し、事件の全貌をつかむ。そして天地に事件の全貌を伝えるため、東京のマンションにやってくる二人。まさかとは思うけど、やっぱり便器に繋がった次元トンネルを使用したんだろーなあ。
　そして鷲羽と勝仁は、事件の全貌を話す。
　幽戯は実は３６００年前に樹雷の力の研究から作られたミュータントで、樹雷に自分の王国を築こうとして逆に封印され、宇宙に流されて地球に不時着したということ。復活した幽戯は、自分の王国を今度は地球に築こうとしていること。
　そして柾木家は星守（ほしもり）の家系で、代々神に仕えて歴史の影で邪なる存在から星を守護してきたという。そして宝玉は柾木家に伝わる星守としての証しであり、地球の生体エネルギーの結晶で、地球と共鳴する特殊な波動の持ち主が使えば莫大な力を発揮するということ。
　そして幽戯は、宝玉を分散させるために柾木家をバラバラにしたということ。宝玉は全部そろうと始めて邪悪なものを退ける力を持つが、バラバラになったためにその力が弱まっていること。
　うーみゅ。柾木家が樹雷皇家とは関係ない家系という設定は意表をつかれましたね。敢えてこういう設定にした勇気は誉めてもいいです。新・天地は樹雷が話の中心にあるわけじゃないから、天地を樹雷の皇子にする必然性はないわけですが、まさかこうもってくるとは思っていませんでした。
　でも星守というのは言ってみれば防人（さきもり）みたいなもので、ネーミングからするとその他の星にも星守がいて、そのそれぞれを任命した存在がいるような雰囲気みたいですね。
　しかし分からないのは、なんで今まで封印されていた幽戯が星守という存在を知っていて、それが柾木家であることまで分かったのかということですね。ま、アニメではそういう明確な理由が無くても襲ってくるパターンが多いのですが、そういう様式美が許されるのはストーリーが王道をいっている場合だけで、新・天地は明らかに王道を外しているのですから（幽戯が一方的にちょっかい出しているだけ）きちんとして欲しかった。多分最後まで解けない謎なんだろーなあ。
　そして天地は、鷲羽に佐久耶の正体を知らされる！　佐久耶は人間じゃないという鷲羽に天地は反発するが、佐久耶が幽戯の影である証拠を示されて認めざるを得なくなると、佐久耶のマンションに駆けていく！　しかし天地が駆け付けた時は、佐久耶は幽戯に吸収された後だった……。
　呆然とする天地。うん、それは当然ですね。先週の段階では佐久耶を自分の彼女とまで認めていたのですから、天地が佐久耶に恋愛感情を抱いていたのは間違い無いでしょう。哀れだな、魎呼、阿重霞。

　さて、蛇足ですが。
　雪の星で先週から戦いつづけている魎呼と秀眞。時間軸がどうなっているのかは知りませんが、同時進行する他のシーンと比較すると丸一日は戦いつづけている勘定になりますな。魎呼に攻撃されてしまい、変身する秀眞。彼はやっぱり狗麗卑吐だったのか？

　先週ミホキヨの宇宙船を襲った東日流。幽戯とグルだったことを二人にばらします。清音の攻撃を難無く防御する東日流ですが、美星の狙いを外した射撃がシャトルを爆破したおかげで、巻き添えを食う形になる東日流。新・天地で美星の偶然が役に立ったのはこれで２回目ですな（１回目は５話のバイトの話）。天地無用系で美星が超偶然の持ち主であることはデフォですが、新・天地ではいままでそういう描写がほとんどなかっただけに意外。もっとも、そのデフォを前提として作ってる節があるので、描写しなかったとも取れるわけですが。

　そして真鳥は幽戯の命令で、柾木家を強襲する。その場に居残った阿重霞と阿座化、火美猛が迎え撃つが、真鳥は砂沙美を幽戯のもとへ連れていくために迎えに来ていたのだ。


　さて、新・天地もいよいよ佳境ですが、こういう展開になった以上、例え魎呼やミホキヨが戻ってきたとしても、今まで通りのというか、天地が東京に行く以前の付き合いには戻らないと思いますね。戻ったらそれこそウソだーということになります。
　どう見ても今の天地にとって一番大切なのは佐久耶ちゃんなんだから。

　「天地君を好きになるために、私はここにいる」

　例え作られた気持ちでも、佐久耶にとってこの言葉は本心だったのでしょう。


　ですが今回一番驚いたのは、残り３回で新・天地のエンディングが変わったこと。やっぱりヒロインの佐久耶が亡くなる（？）回だから、今までのエンディングだとスチャラカすぎてダメなのでしょうか？　それともプロデューサーが枯堂節を嫌っているという話は本当だったのでしょうか。今回のＥＤ「かたおもい」の作詞は、大津美紀さんでした。
　まあいい歌だったので、これはこれでオッケーです。
　（補注：と思ったら、このエンディングは今回限りらしいです(^_^;)）

初出：'97/ 9/10 Niftyserve FANTVA MES(13) #1091

２３話　夏本番 あっちこっちで 急展開

　唖然、偶然、しかして呆然。
　今回の感想を一言で言い表すと、こうなりますね。
　予想はしていたけど、予想はしていたけど、ここまで同じ設定だったとは、空いてる口が塞がらない。(T_T)
　この設定自体は悪いものではない。今まで天地べったりだった佐久耶ちゃんの行動に説明がつくし、幽戯が佐久耶に肩入れしていた理由も分かった。まあ、それにしては演出がダメダメだったから評価は低いし、天地でやることかという疑問もあるけど、うまくすれば佐久耶の悲しみに一本スジを通すことが出来たはずだ。
　しかし、しかし、しかし、ここまで映画「真夏のイブ」とバッテングするか〜〜〜！！！　と叫びたくなった。
　まったく同じ設定じゃないか、幽戯と由厨葉、佐久耶ちゃんと麻由華ちゃんとねえ(T_T)
　悲しいのはこれはＴＶ版スタッフの責任でも、映画版脚本の長谷川さんの責任でもないということだ。ＴＶはすでに４月の時点から始まっていたわけだし、映画は８月に放映されたから、一方が他方の内容（結論）を知っててやってたわけではないはずなのだ。しかし先に放映された映画の方が出来が良かったため（金とる分だけ当然だが）、どうしても劇場版と比較してしまう。
　どうでもいいけどＡＩＣやパイオニアＬＤＣは、マルチメディア展開でシリーズ間のバッティング調整を行っているのだろうか？　（いないんだろーなあ）
　これで佐久耶ちゃんが鷲羽ちゃんかあるいは宝玉の力によって地球人として復活したりしたら、これこそ劇場版の二の舞になってしまふ。でも、そーなるんだろうなあ（←失望的観測）


　さて、今回の粗筋感想。
　雪に閉ざされた惑星にアジトを構える魎呼と秀眞。魎呼が金品や酒や財宝を強奪するのは、失った柾木家の生活に対する代償行為でしょうね。
　しかし、それなりに秀眞に対して信頼をよせていた魎呼なのに、幽戯との通信で魎呼の悪口をいう秀眞のセリフを聞いて真相を知るというのが、これまた新・天地らしい安直さで悲しいくらい笑えます。１８話で魎呼をかばったあの時の秀眞は、あれすら演技だったのかと。しかし同じ１８話で、知能ゲームに対し有能な秀眞と力押ししか脳のない魎呼という演出がされていますので、今にして思えばあれはあれで正解だったのでは、と思います。こういう安直な展開をやられるとねぇ……。
　それでガイエン（漢字不明）に乗り込んで地球に帰ろうとする魎呼を、秀眞はガイエンごと吹き飛ばす！　しかしそこに襲いかかる魎呼。魎呼は天地と撮った証明写真(笑)を忘れて、取りに戻っていたのだ。
　うーん、このあとの魎呼のセリフ。「天地を愛する心だけ、ここにあればいいんだ」というのはキテいますねえ。これは魎呼の本心なのでしょう。まあ一つ間違えれば秀眞の裏切りを知った魎呼が、天地とのヨリを戻そうとしていると感じられる展開なだけに、安っぽいけどこういう言葉を入れるのは良しとしましょう。
　しかし私個人としては、秀眞と魎呼の関係はもうすこし大人の男女の関係だった方が良かったかもと思いますね。あんな幽戯との通信でバレるなんて安直過ぎて誰も使わないような展開じゃなくて。

秀眞「魎呼、どうしても地球に戻るというのか」
魎呼「ああ、気付いたんだ。あたしがいる場所は、ここじゃないって」
秀眞「どうしてだ、俺はお前に、あらゆるものを与えてやったぞ！　一緒に海賊稼業もおこなった。俺はお前を、最高のパートナーだと思っている。それでもか！？」
魎呼「あんたにはすまないと思っている。しかし今のあたしにとって、海賊稼業は寂しさを紛らわすためにやってることなんだって、気付いちまったんだ。あたしの本当の気持ちは、天地を愛している、これだけだったんだ。（宝玉をとりだして）天地を愛する心だけ、ここにあればいいんだ」
秀眞「バカな！　いまさら戻れると思っているのか」

初出：'97/ 9/ 2 Niftyserve FANTVA MES(13) #1081

２２話　離れ来て 心寂しき 想い人

　今回は佐久耶の伏線の紹介と、幽戯に備える阿重霞と砂沙美の話がメインでした。ラストスパートに向けて、いよいよ物語の展開がいよいよ一点に収束しはじめて来たという感じですね。演出の乱れとかも少なく、不満の少ない回でした。


　さて冒頭、土田天満宮で神主の修行をしている天地。そこに天地の修行の様子を見に土田独善がやってきて、さらに佐久耶ちゃんがカメラを持って映します。
　ここらへんの展開で疑問に思ったといえば、なんで交通事故に遭ったはずの独善がピンピンしているのだろうということです。杖はついていたけど、どう見ても昨日、事故に遭って地鎮祭を行えなくなったようには見えないほど元気だったし。まあ、この程度の不整合は今さらですので、とくには言いません。
　それよりも、昨日鷲羽が柾木家の異変を伝えて来たというのに、天地が呑気に、というか心から佐久耶とのデートを楽しんでいる様子がうかがえて違和感ありまくりでした。今の天地にとって柾木家の実家はその程度のものかいな！(T_T) 　いや、その程度にしか認識していないのは、スタッフの側かもしれない。
　ところが佐久耶は、天地に家のこととか家族のこと、思い出のことなどを尋ねられる度に話をそらす。そして今年の夏は一緒にいなきゃダメとか、家に帰っても天地君に出来ることはないとか、とにかく天地を帰したくないと言います。後半、天地のマンションで写真立てに写真を飾るシーンの後の佐久耶の異様さの演出は、まる。佐久耶ちゃんが天地にすがるしかないような気持ちが伝わってきます。

　今まで佐久耶ちゃんは、一応新・天地のヒロインなのに、単なるストーカーとたいして変わらない描写をしてきました。幽戯と並んで物語のもう一つの核となるべきだったのに、それだけの魅力ある描写をされてきていなかったんですね。幽戯もそうですがその行動原理がワケワカメで、なんか分からないけど勝手に思い込んで突っ走ってしまうのでは見ている私達が感情移入できないんですね。ヒロインがそうですから相手役の天地に入れこむことも難しい。今回のエピソードで、佐久耶の今までの異常とも言えるストーカーぶりの理由付けがなされました。
　実は佐久耶ちゃんには、天地と出会う以前の記憶が無い！？　それまでの思い出も家族のことも全然覚えていない(･｡･; 　つまり佐久耶が天地に惚れたのは、一目惚れがどうのこうのというレベルじゃなくて、雛鳥が最初に見た者を親鳥と思い込むインプリンティング（刷り込み）だった、ということになりますね。
　それにしても無茶も極まる設定ですなー。記憶が無いにしては以前からの生徒のように高校にも通ってるし、友達はいるし、全校女生徒Ｎｏ．３だっていうし。それで記憶が無くても普通に生活できるのなら、佐久耶ちゃんって一体何者？　それこそ本当に狗麗卑吐かなんかってことになるぞ(^_^;)


　その他、蛇足ですが。
　阿重霞は砂沙美からお友達の幽戯ちゃんの話を聞いて、驚きます。そりゃー、驚くわな、柾木家を襲ったのと同名なんだから。で、絵を書いて確認するけど、墨画の阿重霞に対してクレヨンの砂沙美ちゃんでは当然ながら比較できない。で、鷲羽に幽戯の映像を見せてもらい、砂沙美ちゃんに幽戯が襲ってきた事実を認めさせるが、砂沙美には信じられない。
　しかし、ここら辺の阿重霞の暴走ぶりは相変わらずですな。正確だが対幽戯用に役に立つかどうかは分からないトラップを仕掛けまくり、柾木家を要塞同然にしてしまう。不審人物として排除されてしまう信幸がいと哀れなり。
　そして鷲羽ちゃんは、クリスタル宝玉の研究に勤しんでいると。

　一方魎呼は、相変わらず海賊稼業に精を出している。清音は魎呼を追いかけている。しかし、二人とも腕に巻いた宝玉で天地のことを思い出す。
　しかし魎呼が襲った惑星の少年て、なんかフォトンに似ていません？
　それに相変わらずポリスマンに夢中の美星さん。こいつ本当に特級刑事なんだろうかと疑問に思いましたね。なんか清音が出世の鬼に成り下がると美星がマトモになって清音に突っ込み、清音が人情味あふれるお姉さんになると、美星がなにも考えてないアッパラパーになっているような気がする。清音の態度の変化によって美星が変わっているので、新・天地での美星は本当に清音のおまけに成り下がっている感じがする。
　……清音が出世したのか、ただ単にスタッフの美星の扱いがいい加減なのか。


　回が進むにつれて明かされていく背景設定。明かされてああ、だからこういう行動をとっていたのかということが分かります。今回は結構楽しめましたね。
　ただ、ここまで来ないと幽戯や佐久耶の行動の背景が分からないということが、序盤のエピソードの単発としての魅力を著しく損なわせているのも事実ですね。この程度のネタバレならその半分でいいから序盤に持ってきて、佐久耶や幽戯の行動の目的意識を明確にして視聴者を巻き込めば、もう少し良くなったのではないかと思います。
　あるいはワケワカメならワケワカメのままで、セーラームーンなんかががよくやっていたように何か別のマクガイフィン（訳が分からないけどキャラクターの行動原理の目的となっている品物）となるものを用意すれば良かったのではとも思いますね。ちょうど新・天地には天地の母の形見となる宝玉があるわけだし、それの争奪戦にでもしてしまえばもう少し話としては面白くなったのではないのかとも思います。天地ではなくなると言う人もいらっしゃると思いますが、新・天地は天地無用！の１シリーズと呼ぶにはあまりにもおこがましい出来ですし、少なくとも何も分からずにストーカーを行うだの、天地ファミリーの仲を崩壊させるだのが目的よりは、ずっとマシになっていたとは思います。

　まだステロタイプでもキャラクターを使いきってみせた前作のＴＶ天地の方が、天地無用！の２次展開としては王道だったと思いますしね。

初出：'97/ 8/27 Niftyserve FANTVA MES(13) #1070

２１話　蝉時雨 悲しき遊戯 夢の後

　とうとう分かった、幽戯の正体。実は幽戯は分不相応の力を持った、ただの世間知らずのガキだったという(笑)　な、情けない……

　いやー、今回はシリーズのターニングポイントでもあるけど繋ぎの回でもあったので印象が薄いのですが。とはいっても吉田さん（補注：Ｎｉｆｔｙのメンバー）が述べていたように、新・天地が既にリレー小説ならぬリレーアニメだってことが判明しているので、シリーズ構成にはあまり突っ込まないようにします。


　冒頭、砂沙美の夏の日差しの中の夢で、幽戯が登場します。そして幽戯が三度、砂沙美の前に現れる。砂沙美との友情を（彼女なりに）大切にしている幽戯。
　それとは別に、ついに鷲羽が天岩戸から抜け出てきて、阿重霞に重大なことを伝える。実は幽戯は、樹雷人だということを。
　このとき鷲羽が証明に使用したのが、血液鑑定でもＤＮＡ鑑定でもなくキシリアン写真だってのが新・天地らしい安直さで笑える。ジュライトリウム７０００ですか？　樹雷人特有の生体エネルギーだそうで(-_-;)
　そこで以前、北奥多摩の遺跡に阿重霞を向かわせる。移動手段は阿座化と火美猛。あのなあ、そんな事ができるのなら以前１４話でやっていたヒッチハイクはなんだったんだ？
　そこで得たメモリーと幽戯の回想から、幽戯の正体が分かる。３５００年前（樋拿畝在位２７年）、友達のいなかった幽戯は狗麗卑吐の大群を作って遊びまわっていたため、樹雷星を壊滅寸前まで追い込んでしまった。時の樹雷皇、樋拿畝（ヒナセと読む。なんと女皇！）に封印されてしまい、宇宙の彼方に追放された幽戯の封印が地球に落っこちたと。
　子供一人のお遊びに壊滅寸前まで追い込まれた樹雷も情けないが、幼子（おさなご）に罪は無いと言いながら永久封印を施してしまい、それでいて許して欲しいとのたまう樋拿畝も考えてみると容赦がない。封印している間は年を取らないわけですから、成長することもないわけで、そりゃあ永遠に封じるしかなかったんでしょうけどねえ。

　樹雷皇・樋拿畝については他にもいろいろ言いたいことがある。まず樹雷皇に女皇が就くということは意外だった。新・天地では樹雷皇位は男性のみとは限らないらしい。今まで特に言及されていなかったが、天地世界では男性のみ皇になれるというイメージが強かったもので。ＴＶ前作でははっきりとそう言及されているし。
（もっともＯＶＡ版の設定を突き詰めていくと、皇家の樹に認められれば女性でも樹雷皇になれて不思議はないが。でもＯＶＡなら幽戯程度の相手に樹雷が壊滅寸前まで追い込まれるなんてことは、逆立ちしてもあり得ないだろうなあ）
　他にも、樋拿畝のつけている戦闘服の頭部を覆うバイザーのおかげで、最初登場した時には、樹雷船の首なしオブジェかと思いましたよ、わたしゃ(^_^;)　せめて首のシルエットくらい見せて欲しかった。
　それからお声が山口由里子だったおかげで、どうしても静香・バーンシュタインとイメージがだぶっちまったい。いや、これは新・天地のスタッフのせいじゃなくて、ＳＳ版サミーにはまっていた私が悪いんだけどね。

　さて、それ以外にも一言づつ。
　超々Ａ級犯罪者魎呼のアジト壊滅の功績で勲章を授章したミホキヨ。しかし清音は素直に喜べなかった。やっぱり１９話のどっかおかしい（美星談）清音は、記憶から削除した方が良さそうですね。きっと１９話の清音は狗麗卑吐だったに違いない。
　それどころか美星はなんにも考えていないことが判明しましたねー。ここで長官が言っている本部復帰が、魎呼逮捕と同義だっていうのが分かって喜んでいるのだろうか？　きっとわかってねーんだろうなー。
　たったの２週間で、ミホキヨの立場が入れ代わってしまったい(^_^;)

　で、その魎呼も地球の事を思い出していますな。しかし、秀眞の思惑で意地を張って地球には戻らないけど。

　幽戯は砂沙美と一緒に暮らそうと誘いをかけますが、砂沙美は分別のある子供らしく、きっぱりとそれを断ります。すると突然幽戯が激昂。みんないなくなっちゃうのにと捨てセリフを残して空に去ってゆく。
　うーむ、たった一言断られただけで激昂するなんて、ほんとに世間知らずのガキですな、幽戯は。きっと自分以外の人間と付き合ったことがないんでしょう。お友達が狗麗卑吐（＝自分の人形）だけだなんて悲しすぎる。

　鷲羽は再び亜空間トンネルを、今度は天地のトイレに接続して、天地に状況を説明します。阿重霞の時とは違って簡潔で、しかし切迫した状況を天地に伝えることに成功します。すっかり鷲羽ちゃんがとり仕切ってますね。とても今まで、魎呼や阿重霞と同レベルで騒いでいた鷲羽ちゃんと同一人物とは思えない。そう考えると鷲羽ってすごく便利に使いまわされてるキャラクターですね〜。
　しかし再び亜空間トンネルを繋げることができるのなら、１５話１６話で親父のへそくりを使い込まなくても良かったじゃんって思ったのは私だけではあるまい。

　最後に佐久耶。いよいよストーカー娘の本性発揮。トイレから鷲羽が出てきたのに必要以上に騒がなかったにも関らず、天地が岡山に戻るよう鷲羽に言われた時には騒ぎ立てるのなんの。しまいには「あたしより岡山のみんなの方が大切なの？」ときたもんだ。あのなあ佐久耶、天地は実家が何者かに襲われて、家族が大変な目にあったんだぞ。普通、遊びどころじゃなくなるだろうに。
　ふと思ったんだけど、実は佐久耶は狗麗卑吐じゃないだろうか？　そうすれば１話でのあの唐突過ぎる一目惚れ宣言や、それ以降のストーカー紛いの行為、あるいは幽戯の必要以上の肩入れがすんなりと説明できるんだけど。


　幽戯の背景は分かったけど、なぜ柾木家にちょっかいかけるようになったのかがまだ不明。おそらくは天地の宝玉がらみだとは思いますが。
　そういえば、柾木家から出ていった魎呼や美星、清音は宝玉をまだ持っているのだろうか。天地から無理矢理預かっているだけなんだから、もし持ってるとしたら窃盗罪だな。

初出：'97/ 8/19 Niftyserve FANTVA MES(13) #1043