魔法少女プリティサミー　７巻「断罪編」買いました。
　私の近所には、フライング販売をしてくれる本屋さんがいないので、もちろん１８日の会社帰りに買って読んだのですが……。
　以下はその感想です。ネタバレありですので、ご了承おきください。

　もう、なんて言ったらいいかわからないほどスゲー面白い。そしてやられた、と思いましたね。過去６巻にわたって書かれてきたあーんな話や、こーんな話が伏線になってきていたのかーとか。
　特に１巻で１行だけ登場した人物の再登場にはぶったまげましたねえ。完全にやられた（←誉め言葉）と思いましたよ。私は別の人物を想像していたんですが。（補注：Ｎｉｆｔｙでくろらさんの発言に、この件に関するネタバレ的発言があった）
　それと、ちひろママと汝美重ママの伏線は、２巻に既にはって合ったんですね。いやーどこかにあったと思ったけど、すぐには分からなかったので伏線とは気付かなかったぜ。

　それに、なんていったらいいのか分からないほど展開が早い。まるでジェットコースタードラマ(^_^;)　テンポが良いどころの騒ぎじゃないですねえ。クライマックスになっても、どんでん返しに次ぐどんでん返し。
　で、思ったのですが、断罪編は、そう、アレですね。ドミノ倒し構造をしています。まず、
　１．それぞれの胎動
　　　これから起こる事件の火種をつけています。
　　　つまりドミノを立てている。
　２．キス・キス・キス
　　　事件が表面化して動き始める
　　　つまりドミノが倒れ始める状態
　３．偽りと嘘と真実と
　　　それぞれの事件が最終的に一つの大事件に収束・展開する
　　　つまりドミノがどんどん倒れていく状態
　とまあ、こんなわけで。展開が早いと思ったのはよく考えると３．の部分だったのですね。クライマックスで一番盛り上がる場面でどんどん展開が変わるわけで、まあ、今回は事件が４つ５つも同時進行しているわけで、それを虹色の魔法の漆黒魔法変換で無理矢理強引にまとめてしまうという超荒業を見せてくれたわけです。まああそこまで収拾のつかない状態になってしまったら、ああでもしないと解決の糸口にもたどり着けないでしょうが。

　しかし今回の事件は、７巻をとおしてあれほど大騒ぎしておいて、どれ一つ全然解決も何もしていないんだよね。ワニ親父の転勤話も、河合家・高田家の縁談話も、ミホキヨの禁断の関係も、美紗緒・真嶋・このはの一方的三角関係も、映美の独善的校則至上主義も、パパに会いたい美紗緒も、全然解決も何もしてないんだよね。解決の糸口ぐらいは見つかったかもしれないけどさ、砂沙美ちゃんは無理がたたって倒れちゃうし、ミサ様の正体はバレちゃうしで以下次巻なわけ。あ、ついでに鷲羽ちゃんと氷室先生の純愛(笑)も解決してほしいな

　でもってプリティサミーＮＴのかっこいいデザインにくらくら。サイバーでメタリックな、すでに魔法少女の範疇にないんだけど、とってもかっこ良くて。あまりにかっこ良すぎてサミーの童顔アーンドお子様体形にはあまり似合ってないなあと思ったのは内緒だ。○=(--ﾒ
　それでも混乱した話を強引にでもまとめ上げるには、あれくらいの爽快感は必要だと思いますね。そこらへんがくろらさんのあざといところというか、まあ当人はノリノリだけで書いたんだと思うんだけど。

　しっかし今回のテーマははっきり言って想い。じゃなかった、重いですね。親切とおせっかいは紙一重というか、ほんの少しの勇気を下さいとか、まあうまくまとめあげられないんですけど。くろらさんの文体がおもいっきりライトで気付かないのですが、かなり真面目にテーマに突っ込んでいますよ、これ。
　で、サミーとミサはそれぞれそれなりに真剣にこのテーマに取り組んでいるのに、その後ろにいる津名魅はあいかわらずおポンチでなにも考えていないし、裸魅亜は女王になりたいだけなの〜と言ってるだけだし、事件の首謀者のくせに役者不足なんですよ、二人とも。ご町内でラブラブモンスターと戦っている分には適役なのですけどねえ。だから今回は華津麻っつう黒幕が登場してくるわけ。はっきり言って裸魅亜にしてみれば、女王になりたいだけ。パターンとしては、考えの狭い首領を利用するだけ利用して、いざとなったら組織をのっとっちゃう参謀ってところでしょうか。華津麻は人妻隊の頃から企んでたみたいだし。ＴＶでも露美御に出し抜かれていましたから、話のテーマがでかくなるとかすんでしく立場みたいですね、裸魅亜様は。
　でも漆黒の魔法をあみ出して、華津麻は何をしたかったんでしょうか？

　それとついでといってはなんですが、天地と阿重霞の結婚騒動っていうのは、小説版「天地無用！魎皇鬼」の千客万来編で既に一度やってたような……。こっちの方が断然面白いんですけどね。
　あと、なんかＯＶＡのシリーズとは既に別物になってますねー小説版は。まあ分かりきった事でしたが、くろらさんは同じことをやりたがらない人ですし。今まで、ゲームあり、ＯＶＡあり、ラジオがあり、そしてＴＶがあり、それぞれ似たようなシチュエーションや設定で別々の最終回を迎えていますからねえ。それを踏まえたうえで、小説版の結論を出すというところでしょうか。小説だけ読んだら話が暴走しまくっただけという感じがしないでもないんですけど、これらのマルチメディア展開を踏まえているから読者の私も違和感感じてないんでしょ〜ねえ、きっと。


　とまあ、今回はこんなところでしょうが。
　ミサ＝美紗緒が同級生４人組にバレるし、砂沙美ちゃんは気を失うし、天地は重傷だし。問題は解決するどころか事態はますます混乱を極めていますね。それどころか裸魅亜はまたまた負けたわけだからサミーゲージはまんたんになるだろうし、そうしたらおポンチな津名魅の特殊能力を使って、ジュライヘルムの神官たちはなにをするつもりでしょうか？　そもそも津名魅さまの特殊能力って、一体何？　（サミーゲージを上げる能力だったりして。女王候補になると親友が妨害するとかいう能力とか……）
　サミー第８巻が楽しみなような恐いような気が今からしますです。ハイ。