スーパーキッス　感想文




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　ＯＶＡ「魔法少女プリティサミー３　スーパーキッス」を８月２５日に見ました。
　いえ、実は２４日の秋葉原オフの時に、成り行きというかもののはずみでＯＶＡ３のレーザーディスクを買ってしまったのです。しかし、実は私はＬＤプレイヤーを持っていないんですわ、これが(^_^;)　で、近所にＬＤプレイヤーを売っている販売店が無かったし、セガサターンを買って金欠症に陥ってたりするわけですから、近所のレンタルショップに行った時に、サミーＯＶＡ３を借りた訳なんですね。おバカもここに極まれりってなところでしょうか？　ＬＤプレーヤーは今後こつこつお金を節約して買う事にします。


　さて、今回の話を見た感想は、まあ、結構面白かった、といったところでしょうか。ＯＶＡシリーズの完結編にしては、話もまだまだ続いていくような感じだし、明らかに今後に話が続いていくと感じられる伏線があったりします。具体的には魎皇鬼が津名魅さまのセリフを回想するシーン。まだ時期が早いとか言っていますよね？
　もっともＯＶＡ設定のサミーの最終回は既にゲームで決まっているわけだし、またＴＶ版でもあんな最終回を行っているわけですから、最終回のシーンをＯＶＡでくり返しやる訳にもいかなかったのでしょう。今回はシリアスな裸魅亜という最強にして最悪の敵、碑露志との戦いをメインテーマに据えることで、シリーズのトリを飾っているのでしょう。
　その他にもミサの必殺技とかに、小説やＴＶ版の影響が見て取れます。ＯＶＡだけしか見ていないファン（そんなのいるかな？）だと、何でミサがセクシィなんだ？　ってなところがあるのではないでしょうか。まあ、これは許可するとしても、今までサミーと同じくらいの背丈だったミサが、いきなりＯＶＡ３で頭半分成長しているのは明らかにＴＶ版の影響が見られます。ちょっとＯＶＡだけで世界観が完結していない部分があるのが残念ですね。
　しかし、アップテンポなギャグアニメだったＴＶ版とは違い、オーソドックスな魔法少女的コミカルさが売りのＯＶＡ版のノリが久々に感じられて良かったと思います。特に今回はシリアスな話だったわけだし。



　オープニングはいつものとおり夢夢夢。それは良かったですね。エンディングはマジカルファンタジーワールドより「魔法の扉」。マーカーで彩色されたキャラクターの絵がとても良かったです。

　オープニングのＵＦＯ女軍団との戦いのシーンで、ちょっと気になったこと。砂沙美ちゃんがモノローグで、「裸魅亜」と言ってますね。この時点での砂沙美ちゃんは、裸魅亜が黒幕だということを知ってないはずですから、まずいのでは。裸魅亜と言わずに、ただ「悪いお姉さん」とでも言っていたら良かったかなっと思いました。
　ただ、雑誌等の予告にあったグレンダイザーミサが無くなったのは個人的に残念。もっとも、無くなって良かったかもとも思っているわけですが。

　彗星の衝突により記憶を失った裸魅亜。碑露志に助けられてとある別荘で療養中ですが、この裸魅亜さまがまたいいですね。まるで深窓のご令嬢ってかんじで。記憶を失っていた裸魅亜さまの態度はほんとにいつもと違っておしとやかで、まるで美紗緒ちゃんがそのまま大人になった姿と言えなくもない(^_^;)　美紗緒ちゃんと挨拶してすれ違うシーンもあるわけで、ここらへんスタッフも狙ってやっているという方に一票。やっぱり美紗緒ちゃんと魂を共有するだけのことはありますね。
　……なんであんな大人になったのだろう、裸魅亜さま(^_^;)


　天地と魎呼、阿重霞はファンサービス。天地はまだともかく、魎呼と阿重霞は前作ＯＶＡ２では出て来なかったため、出さざるを得なかったのだと思います。本筋で天地を出さないために魎呼と阿重霞を使ったという感じはしないでも無い。
　しかしＯＶＡはいわゆるお祭りみたいなものですから、出番のないキャラでも見せ場を作ってあげるということは大事かもしれないと思いますね。
　相変わらず強引に天地を引きずり回す魎呼と軍服を着て魎呼に対抗する阿重霞さま、そして二人に振り回される天地という関係は天地無用！以来の基本的な構図ですので、何となく安心した気分になれます。やっぱり脇道だけど。
　気になったのは、阿重霞親衛隊のユリ、ユマ、ユカ。３人とも名前付きで登場してきたし、ユカは相変わらずガンダムネタをとばしてたけど（「いい目をしてます」「若さゆえの過ちだな」とか）、残念なのは小説版と名前が入れ代わっていることでしょうね。小説版と比較すると、

小説　ユリ　→　ＯＶＡ３　ユマ　（ダブルおさげの子）
小説　ユマ　→　ＯＶＡ３　ユカ　（背の低いポニーテイル）
小説　ユカ　→　ＯＶＡ３　ユリ　（ショートカット）
　となっています。多分、絵コンテの菊池さんが知らなかったために間違えたのでしょうが、親衛隊のギャグは結構面白かっただけになおさら残念です。(T_T)


　そして天地がいなくて不機嫌になる砂沙美の前に現れた摩己斗くん。天地を思わせる風貌を持つ少年ですが、彼と砂沙美ちゃんが出会うことで、砂沙美ちゃんがおもわずポーッ。(o^-^o) 　いわゆる一目惚れ状態でしょうか？
　その正体は宇宙から飛来した宇宙生物が伊豆近辺の少年とリンクした姿だということだそうですが、私は最初見た時には、伊豆に連れ去られた天地の知識をコピーした少年だと想像していました。天地そのものじゃないのは、裸魅亜と碑露志、鷲羽とカニの例があるからおかしくないし。でも結局、摩己斗と天地が似ているのは、アンドロメダ瞬とエスメラルダが似ている程度の意味しか無かったわけですね。ちょっと期待外れかな？
　余談ですが、摩己斗くんのフルネーム、ミズシナマコト（多分、「水科誠」と書くのだろう）は、エルハの水原誠から採ったのではと邪推しましたけど、うーん違うかな？

　また砂沙美と摩己斗の出会いの時、清音がショタの幟（のぼり）をたてて目をハートにしていたのには笑えました。設定だけあって使われていなかった（小説２巻を除く）ショタコンの設定が活かされたのは、ファンサービスでもあるのだろうけど嬉しかったなあ。わずか２３秒でふられた、３７人目の相手とはね。
　美星と清音もあまり登場する意味がないのだけど、ここら辺はやっぱりファンサービスでしょうね。せっかくＯＶＡに登場するのですから。


　ジュライヘルムでは裸魅亜が一週間も行方不明で津名魅さまが心配していますが、留魅耶くんは裸魅亜のいない生活を喜んでいた！　まあ当然でしょうなあ、普段が普段なだけに。しかしるーくん、裸魅亜がちょっと弟思いのところを日記「挫折と栄光の記録」に書いてただけで、すぐ改心して探しに出かけるところは単純というか素直というか。でも結局裸魅亜の日記にはオチがつくのですが、裸魅亜さま、こんないい弟は大事にしないといけませんよ。
　津名魅さまも親友の行方を本当に心配していたし。ＯＶＡ１でも２でもあんなにギャグをやっていた津名魅さまが、ＯＶＡ３ではただただ裸魅亜を心配するだけで一つもギャグをやらなかったんだから。


　宇宙生物のサンプルを手に入れた鷲羽ちゃん、天才だからと宇宙生物とコンタクトをとっていますが、さすがは天才、解決を依頼した全日本科学研究所の所員たちもついていけない(^^;)
　でも、鷲羽ちゃんをコピーした宇宙生物が、天才宇宙カニに変身したのには驚いたカニ。鷲羽ちゃんがカニなのは「天地無用！魎皇鬼」からの伝統ですが、こういうぶっとんだセンス、好きです。


　そして美紗緒ちゃん。
　今回は砂沙美ちゃんの相手役として摩己斗くんがでてきたため、美紗緒ちゃんの影が薄くなってますね。まあくろださんが以前おっしゃっていたように美紗緒ちゃんは砂沙美ちゃんがいて初めて引き立つキャラですから、目立てないのは仕方の無いことかもしれない。今回のテーマは宇宙戦争……じゃなかった、初恋であり、命をかけたキスなわけですから。
　だけど砂沙美ちゃん、美紗緒ちゃんは身体弱いからついていてあげないといけないと、普段思っていたのですね。これはＴＶ２０話やゲーム２５話にも通じるシーンですけど、砂沙美ちゃんは美紗緒ちゃんに対して保護者意識が働いているのでしょうか？
　でも、美紗緒ちゃんの後ろに束ねた大ポニーテールや、スクールみじゅぎ姿が見られただけでも良しとするか。

　でも美紗緒ちゃんが病弱な割には、ミサは碑露志相手にド派手なアクションやってましたね。とても病弱な美紗緒ちゃんと同一人物とは思えない。(^_^;)
　そのミサ対碑露志のシーンだけど、そこで出てきた碑露志のラブラブモンスター、重戦車女は、別名をきっとガンタンク女というに違いない。だって、アレにそっくりだったしぃ。
　ミサを圧倒する碑露志の攻撃。砂沙美がかけつけた時には、美紗緒がそこで倒れていた。ミサ＝美紗緒には気付いていませんが、美紗緒を巻き添えにした碑露志に砂沙美ちゃんは怒ります。

　その碑露志ですが、一言で言ってシリアスで凶悪な裸魅亜さま。裸魅亜の深層意識をコピーした存在だそうで、サミーを打倒し津名魅を女王の座から引きずり落とすことを目的とした存在。裸魅亜と同等の魔力を持ちながら、策を仕掛けて墓穴を掘るタイプの裸魅亜と違い、やり方に容赦のない碑露志にサミーは大ピンチ。天地たちを人質に捕られて手も足も出ない！　そこで摩己斗が救援に駆け付けてきます。
　リンクした意思に従って行動する宇宙生物たち。摩己斗は少年の記憶をコピーした存在だけど、砂沙美ちゃんとの思いだけは本物だと伝えます。そして意思を消失してもとのアメーバ状の生物に戻る摩己斗。しかし摩己斗の意志を継いだ魎皇鬼が、人間に戻って砂沙美ちゃんに魔力を吹き込む！
　このシーンは一番の見所ですし演出もかなりのものがあるのですが、地球で人間の姿に戻ることや魔力を吹き込む事が、魎皇鬼にとって自殺にも等しい行為であるということがいまいちよく伝わらなかった気がします。ＯＶＡ２で留魅耶が変身を解いた時のよろけたシーンはまだ分かりやすかった。碑露志に「知ってるぞ、お前たちジュライヘルムの人間は、魔力を失うと生きていけないのだろう」とかなんとか言わせておいた方が、安っぽいかも知れないがそれだけ危機感をあおって良かったのではとも思いますね。裸魅亜が記憶を失っている設定の都合上この手は使えなかったのかもしれませんが、この程度の不整合なら逆にかまわないとも私は思います。
　でも、魎皇鬼人間バージョンはゲーム版ではなくてＴＶ版が元になってるのですね。そのさらに元になっているのがＯＶＡの幼魎皇鬼。うーん、やっぱりなかなかの美少年ぶりでかっこいいです。あのエッちゃんの高い声にはあわない気もしないでもないのですが。


　そして立ち上がったサミーと、救援に駆け付けてきたミサ。サミーとミサが協力して共通の敵と戦うのはＯＶＡ２やサターンゲームと同じパターン。これは偶然の一致かもしれませんが、ちょっと回数が多いような気もします。しかしその２作と違って今回はミサの自業自得ではないし、もしそのままならミサは単なるやられ役になってしまふ。
　一致協力して碑露志を倒す二人の魔法少女。相手を倒したらミサは去っていくのはお約束。そして残った宇宙生物は、駆け付けた鷲羽ちゃんによって回収されるのであった。
　記憶を取り戻してジュライヘルムに戻ってきた裸魅亜さまは、本当に親友の身を案じていた津名魅さまに抱きしめられてとまどってます。二人の関係がうかがわれますね。

　伊豆から戻る砂沙美たちご一行。電車に乗る前に、摩己斗を見かけて別れの挨拶をしますが……、多分その少年は摩己斗のオリジナルとなった少年でしょう。当然砂沙美のことは知らないわけで。魎皇鬼は砂沙美ちゃんに、摩己斗くんは突然どこかへ出かけなければならなくなったと優しくウソをつきます。そして砂沙美ちゃんは、あのとき浜辺で助けてくれた少年のことを思い出して……。


　書いてて思ったのですが、摩己斗くんてなんか砂沙美にとっての天地兄ちゃんが理想化した存在って感じがしますね。顔が似ていたのは偶然(苦笑)でしたが、優しいし気立てもいいし、女の子が付きまとったりもしないし。天地よりも年下らしいのは、それだけ砂沙美ちゃんに年が近いってことだし。おまけに謎めいていて、さらには血が繋がっていない。……砂沙美ちゃんの気が惹かれるのも分かる気がする。認めたくないけど。



　さて、見終っての評価は合格点は余裕で達していますね。採点すると消費税込みで７８点（１０５点満点）ってなところでしょうか？
　先程も書いた通り、ＯＶＡだけで話が完結していないのが欠点といえば欠点です。しかしもうプリサミは小説あり、ＴＶあり、ラジオあり、ゲームあり、いろいろなところで話が展開しているので、ＯＶＡだけで話を完結させることは難しかったのでしょう。小説はすでに６巻まででているし、もはやＯＶＡが本筋というよりは原作付き作品みたいな感覚になっているところがありますね。そう考えるとＯＶＡ３は、原作のある１エピソードをＯＶＡ化した作品、と考えることも出来るわけです。メディアミックス作品の限界でしょうかね？

　書きたいこと、思い付いたまま書いたらこんなに長くなってしまいました。うーん、さすがはプリサミ、まだ書き足りないぐらいです。


　最後に一言。相変わらずだぜ、ちひろママ！



　ＰＳ：これが最後のプリティサミーだとは思えない。


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初出：'97/ 8/26 Niftyserve FANOVS MES 10/#00545
改稿：'97/ 8/28 tky.threewebnet.or.jp/~junhelm/consider/samy_ova3.htm