天地無用！ＧＸＰ：アンラッキーな感想

　エルマ「もし生体強化に失敗しても、あたしが責任をもって一生面倒見てあげる」

　本当に失敗してもそれはそれでおいしいかも。

　前回は録画失敗で見逃してしまいましたが、話についていくことができました。もしかしてゴールデンウィークにかかるから見逃しても話についていけるようにという制作スタッフ側の配慮だったりして。
　ただ前回の展開で一番知りたかったのは、前々回のオチから西南はそのままケネスやラジャウと同じ部屋に住むことになったのか、それとも他者の迷惑を考えて西南が一人部屋に移ったのか。今回の話しからはそれはわかりませんでした。

　冒頭、新入生代表が西南なのは、理事長に気に入られているからだろうか。それとも初期文明星の地球出身だからだろうか。
　しかし、マイクを試しただけでシステムを破壊してしまうとは……。美星の偶然は関ったシステムのバグを必ず発見するというプラスの効果が必ずあるという設定は真・天地無用！にありましたが、西南の不幸はシステムのバグを必ず突いてしまうという効果があるのでしょう。多分。

　静竜のいじめに近いしごきにも耐える西南。このシーンを見た時、西南やラジャウたち以外の生徒の顔や表情が全員同じ(^_^;)のを見てびっくりしましたよ。こいつら実はロボットじゃないかって。実際には、２Ｄアニメにもデジタル化が進んでいますし、一人のキャラクターをデジタル処理でコピーしたものでしょう。全員無表情なのが気持ち悪かったりして。
　西南が訓練についていけない──というより他の生徒の練習が早回しなのは最初ギャグかと思ったけど、実は西南は生体強化を行なっていなかったということですね。
　訓練を休まずに続ける西南。意外と前向きで根性あります。西南が訓練を止めるわけにはいかないと続けているのは、「認めてもらえないから」。誰に？　前後の展開からも考えて、おそらく霧恋のことでしょう。

　しかし、静竜と雨音が幼なじみだったとは。なんか仲悪そうですが。

　小細工がバレてトイレ掃除に回される静竜。その後を継いで生体強化の担当教官を理事長から薦められる雨音と霧恋。……やっぱりアイリさんって、西南くんが気に入っているのね（この世界の大人の女性は、年下萌えなのだろうか）。
　西南に生体強化の危険性を教え、地球に帰る事を薦める霧恋。覚悟を問われてＧＰになりたいときっぱり答える西南くんですが、とても巻き込まれ型のハーレムラブコメ型主人公とは思えない前向きさですね。
　オペレータにエルマ、その補佐に霧恋、そして担当教官に雨音の布陣で、西南に生体強化を薦める。なんか西南くんに気がある人ばかり集まっているような気がしますが。
　

初出：02/ 5/13 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx2.htm#6

　エルマ「ま、結果的に大量の未発見ウィルスと、哲学科のセキュリティにバグまで見つけましたから」

　西南……、おまえ本当は美星の遠い親戚じゃないのか？

　前回、静竜の妄想で生体強化した西南が雨音に襲いかかる……というよりいい関係になるというものがありましたが、あれはただのギャグじゃなかったんですね。指導教官と同居することになるのなら、静竜が心配するのも無理はない。
　それより不思議なのは、あそこまでつれなくされても一筋に想っている幼なじみがいながら、静竜がよその女（阿重霞）とのお見合いに挑んだことがあるという事実。いや、もしかしたらよその女とお見合いしたからつれなくされているかも。純愛だと思ってたのに(嘘)

　雨音の家へ向かうシーン。宇宙なのに、なんでハイウェイは６車線で常夜燈が付いていて左ハンドルなわけ？　そりゃあチューブの中をエアカーが走りぬけたりというようないかにもＳＦなシーンは期待していなかったし、和風が基本の天地無用！だから居酒屋があるというのも頷ける。しかしケネスたちの飲んでいたジュースがいくら何でもプルトップの缶ジュースだなんて……(笑)
　ここは本当に宇宙なんだろうか？

　雨音のセカンドハウスは豪邸というのもはばかられるほどの大きさだった。雨音は高級服飾ブランドのお嬢様で元スーパーモデルだったらしいけど、「それほど広くない」と言っているということは自分が豪邸に住んでいる自覚がないということなのでしょう。
　ひょっとして、日本と違って宇宙ではすごい土地余り状態だったりして。

　西南のＧＰ入隊に反対していたはずの霧恋なのに、いつのまにか西南の保護者になっていました。
　霧恋が使っている外宇宙航行用宇宙船のコアユニットは、もともとアイリの所有物。「前から聞きたかったんだけど」というエルマのセリフから、もうずっと前から借りているということ。アイリは樹雷皇子・遥照の奥さんでもあるわけだから、所有している宇宙船は樹雷の第３世代（あるいは第１か第２か）の宇宙船のはず。そうなるとあれは樹雷の戦艦のコアユニットとか！？　なるほど、どおりで隠密な話に相応しいわけだ。

　最後に居酒屋でお料理を作るアイリ理事長。そうとは知らずに雨音に騙されておばちゃんと呼んでしまった西南は哀れですな。
　料理を作れるとどんなところでも生きていけるというある人の言葉から今も料理だけは続けているということでしたが、それって遥照のセリフでしたでしょうか。
　とある人の実験で発生した入江「鷲羽の毛穴」(笑)　鷲羽ちゃん、そんなことまでしでかしたのか。

　なし崩し的に３人と同居ってことになってしまった西南くん。なんか西南と雨音・霧恋・エルマの関係を見ていると、天地と魎呼・阿重霞・鷲羽の関係を連想してしまうのは私だけでしょうか。するとスバル・リョーコは美星か？　ちょっと無理があるかもしれんが……
　

初出：02/ 5/18 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx2.htm#7

　雨音「あんたたち、着替えなくていいわけ」
　霧恋「ご心配なく、ちゃんとアイリ様と美兎跳様には許可を頂いています」
　エルマ「私たちも、西南君の訓練に付き合えー、との命令です」

　一人の生徒の個人訓練に、講師や職員が三人もついて良いのだろうか？

　今回は完全なギャグ話。一応雨音の家庭事情も出ましたが、今回の話とか感情の流れとか裏設定とか全然深読みできましぇーん。
　ＮＢはナベシンだし、雨音父は陣内＠エルハザードだし、雨音母は常にカメラ視線どころかカメラの方向を向いているし。
　登場人物の顔はナベシン絵コンテでへたれギャグ顔だし。

　まずは雨音。
　雨音が西南にちょっかいを出すのは分かる。雨音の奔放な性格からすれば、西南のような人が良いだけが取り柄の真面目ぶりっ子が側にいたらからかいたくなるはず。ましてや同じくらい真面目で融通の利かない霧恋が目をかけているとなれば、手を出さないはずはないだろう。
　ただもう少し限度というものを知っておいて欲しいと思うが。
　雨音父が取り出した幼少の頃の雨音の写真ですが、今の雨音からは想像もつかないお人形のようなその姿に西南も霧恋も「可愛い」とはもる。確かに意外過ぎて、その後のモデルを経てギャラクシーポリスに入ったという雨音の経歴と全然結びつかない。私は一瞬、合成写真か全く別人の女の子の写真だというオチかとおもっちゃったぜ。

　次に霧恋。
　地球にいた頃は弟の親友ということで、ちょっと世話の焼ける近所の男の子程度にしか西南を意識してなかったはず。なのに今は、どう見ても西南にべた惚れのお姉さんじゃありませんか。
　おそらく周囲に雨音という過激ファイヤーな女性が登場して西南を奪われそうなったから、対抗心がムクムクともたげてきたのでしょうが。
　しかし、今どき男の朝の生理を見て悲鳴を上げるような、アスカ＠エヴァなみのカマトトな精神年齢は何なのよ？　善意に解釈すれば、これは西南を改めて男として認識したきっかけとも取れるが、さすがに深読みのしすぎでしょう。

　三番目、エルマ。
　この人にとって西南は興味深い研究対象だったはず。やはり雨音と霧恋の西南の奪い合いをまのあたりにしていたら、自分も参加したくなるのも無理ないか？
　二人の熱気にあてられるのもいいが、男を見る目も養った方がいいぞ。

　最後に静竜。
　この人に関してはいうことありません。どうしてもめげないお邪魔虫以外の何者でもない。
　雨音たちも西南以外の周囲の男性で適当なのが静竜しかいないから、あんなに男を見る目が無くなったんでしょうなあ。というか、静竜以外登場してないし。
　ナベシン監督、そろそろ静竜をお約束ギャグ担当から外してあげてください。

　とまあ深読みの立場からすればアレですが、そういうのを忘れて単純に話を見ているかぎりではギャグのテンポもよく笑えて良かったです。

　……でもこれ、天地じゃねえ。
　

初出：02/ 5/24 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx2.htm#8

　雨音「大丈夫よ、海賊遭遇率０の女神のこのあたしがついているんだからさ」

　だから雨音は未だに二級刑事なんですね。

　今回の感想を書く前に一言。失敗した！

　今回、テープ残量を確かめずに録画予約をしていたため、録画に失敗しました。
　まあリアルタイムで鑑賞していたため録画を逃すことはなかったのが不幸中の幸いだったんですけどね。従って、今回は記憶モードからサルベージして感想を書いていますので、細かいところは間違っているかもしれません。

　今回は宇宙研修航海の話。本来は海賊もいない辺境の宙域への研修航海で、さらに海賊遭遇率０の雨音が乗り込むという万全の態勢にも関らず、西南の悪運のためにエンジントラブル、海賊遭遇に出会うという筋書きでした。
　ちなみに私は、雨音の海賊遭遇率が０だという話を聞いて、なるほどだから雨音は未だに二級刑事なんだと妙に納得してしまいました。美星は一級刑事なのに。
　つまり、海賊に遭遇することがなければ犯罪検挙率も上がることはない。ホシをあげることができなければ手柄をたてることも難しい、というわけで、美星はその偶然で犯人をビシバシ検挙したのに対し、犯罪に出くわさない雨音は全然検挙できなかったのでしょう、きっと。

　研修旅行なのに、なぜか宅急便のハンコ押しを遣らされる生徒たち（含西南）。
　天地無用！の設定では、ギャラクシーポリスはその宇宙に広がるネットワークを利用して、宅急便の配達も行なっているそうです。日本にたとえると、警視庁と旧郵政省が合体したようなものですか。
　第７話で雨音とアイリが静竜を箱詰めにして辺境の惑星に送り付けたのは、ただのギャグじゃなかったんですねえ（今気がついたよ）。

　エンジントラブル、さらには海賊コマチの襲撃に出会った西南たちの研修船。学生である西南が戦場にいるのを知って、弱いものを守るのがお前の務めだろと静竜教官に怒鳴るコマチ。
　コマチたちはどうやら、正々堂々の正統派の海賊のようですね。まあ海賊船がなんで研修船なんか襲うんだという疑問も涌かなくもないが、あの研修線は宅急便の輸送船も兼ねていたのでその荷物を襲いにきたのでしょう、多分。
　このコマチ、どうやらオープニングに登場したキャラの一人ですね。西南の名前を聞いて、「タラントには気をつけな」とアドバイスを送るコマチ。どうやらナイフでジェルを切り裂いた機転と手元の装置で噴出器を扱う冷静さ（ＮＢのアドバイスだけど）が気に入ったようです。

　あらすじだと西南をかばって静竜が海賊に捕えられたように読めるけど、実際のところは半分以上自業自得。雨音がにやけるのも無理はないな。
　しかしＧＸＰでは、偶然にもたまたまＧＰの清掃員が海賊船に紛れ込んだりそこから帰ったりすることができる世界なんですよね（ｂｙ美兎跳）。海賊に捕えられた程度ではすぐ帰ってこれそうな気もするんですけど。
　

初出：02/ 6/ 1 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx2.htm#9

　タラント「どこに穴を開けられるのが望みだ。ここか、それともここか。ゆっくりとなぶり殺しにしてやる」

　獲物を前に舌なめずり、三流のすることだな。 by 相良宗祐＠フルメタル・パニックより。

　まず一見での感想は、西南が感じた恐怖が伝わって来ないということ。
　偶然の天才の美兎跳が側にいたからかもしれないが、この美兎跳は偶然海賊船に迷いこんでその艦長と仲良くなれる特技の持ち主です。また美兎跳はどんなシリアスな世界でもマイペースで生き延びることができる。
　そんな人間がいる世界で、殺るか殺られるかの殺伐とした洗礼を描くことは難しいと思うのですが。
　その意味では、前回静竜が（コマチに連れ去られて）外されたというのは正しい。あいつがいたら、ますますそういう洗礼シーンがギャグになってしまうから。もっともそれは静竜の責任というより、静竜にお約束ギャグしかやらせなくてキャラの深い描写を避けていたスタッフの責任だろうけど。

　見直して思ったのは、これは西南の強くなりたいという動機づけの話だったんだなあと改めて確認したこと。
　このＧＸＰでは西南の周りの人間で西南の保護者とも先生ともいえる人間は、雨音、霧恋、エルマ、アイリ、美兎跳と全て女性ばっかり。すなわち西南は、自分の理想像を仮託して目標とできる男性キャラを持っていないということになります。
　（これは天地無用！本編に対しても言えることだけど、天地の場合は女に囲まれて暮らしていても、少なくとも祖父の勝仁という目標となり自己同一化できる男性像キャラクターを持っていたのに対して、西南にはそれに相当するキャラがない）
　確かに雨音にしても霧恋にしてもアイリにしても、西南からみれば立派な立場の人間ですが、対象が女性なだけに自己同一化して己の目標と化すのは難しい。静竜という年上の男性キャラもいたけど、静竜は理不尽に西南に辛くあたっている上にバカを言ってはすぐぶん殴られるキャラのため西南の目標にはなりえない。必然的に西南には目標がなく、周囲の強い女性キャラに過保護を受ける立場のキャラになってしまっています。
　ところがここで、タラントというキャラがでてきた。タラントは敵キャラではあるが、しかし西南に海賊の恐ろしさを知らしめ、しかも理不尽な理由で西南をつけ狙っている。西南にとって乗り越えなければならない壁キャラクターとして設定されている。これによって、西南に始めて強くなりたいという動機ができた。
　つまり西南はアンチではあるがタラントというキャラクターを自己のうちに取り込み、その強さと禍々しさに対して乗り越えなくてはならないという自己同一化願望を持つに到ったと見なすことができます。雨音や霧恋の被保護者という立場から抜け出して強くなりたいという願望を持つに到った。
　そういう解釈で正しいのかしらん。

　しかし、狩りのためだけに軍所属の戦艦を襲ったり、敵艦内でわざと相手を射撃から外したり、タラントって所詮三流という匂いがプンプンするんですが。

　ギャラクシーポリスが独立採算性だとは知らなかった。しかも宅配便業務で運営資金を賄っていたとは。本当に警視庁と郵政省が合体したところだったんですね、ＧＰって。
　まあ貴重な郵送物をＧＰが直々に運ぶのだから、ある意味安心なのかもしれないが。この世界には運営拠出金とかＯＤＢというものがないのだろうか。

　最後にろくな研修をしていない西南が配卒でいきなり囮輸送艦の艦長とは、西南の才能を買っての抜擢なんでしょうがちょっと評価のしすぎなんじゃないかな。
　

初出：02/ 6/10 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx2.htm#10