６００億＄＄の感想：ＴＲＩＧＵＮ

第１６話　ＦＩＦＴＨ　ＭＯＯＮ

　今回のオーガスタの戦いで、とうとうヴァッシュの第３の銃が登場しました。それもかつてヴァッシュがジュライを廃墟にしたらしい銃です。サブタイトルのフィフス・ムーンとは「５番目の月」の意味ですが、この世界は画面に登場した限りでは確か２つの太陽と３つの月が存在するはず。５番目の月とはどういう意味だろうか。
　それにしても月に大穴あけるなんて、原爆以上に威力のある銃なのだなあ。アニメ雑誌に書いてあったけど、あれってプラント銃なのね。レガートとの因縁はただならぬものがありそうです。


　さて、感想いきます。

　ある屋敷にてヴァニラアイスのチョコシロップかけを食べるレガートに、ＧＵＮ−ＨＯ−ＧＵＮＳのファイブ、Ｅ・Ｇ・マインがヴァッシュ打倒を志願します。もちろんレガートやミッドヴァレイは、マインではヴァッシュに対して役者不足であると思っていたようですが。
　しかし、１２話のモネブや前回のドミニクが死体となって登場したように、ＧＵＮ−ＨＯ−ＧＵＮＳは敗者には死を、が掟の集団みたいですね。（というよりマインが報酬はたんまりと言っていたから傭兵みたいなものか）　一つの失敗が致命的な処罰を受ける集団なら、私だったら自分から志願なんてしないなあ。ミスを犯さないように他人に押しつけるのが賢いやり方だと思う。まあ、アニメの悪役らしくていいか。(^_^;)


　ジェネラルロックに残ったメリルとミリィは、レガートの起した事件までヴァッシュの仕業になっている事実を知って、怒りだします。陽気なヴァッシュに潜む悲しみや苦しみを知ってしまった今のメリルにとって、許せないものだったのでしょう。それとも、押さえていたものが吹き出した、と言った方が正しいのかな？　メリルは今現在、ヴァッシュに好意以上のものを持っているのかなあと思っています。誰でも分かる事か(^_^;)
　１４話の老父の言葉「自分の道を進みなさい」を思い出したメリルは、仕事にかこつけてヴァッシュを追う事を再び決意します。


　オーガスタから４０アイルの地点にある酒場で、ヴァッシュはレガートの伝令からオーガスタに来いとの伝言を受け取ります。来なかったらこうなるといって伝令はこめかみを銃で打ち抜きますが、これが血が出ない。これって伝令は人形だったということか、それとも最初から死んでいた、ということか。
　しかし、この酒場に出現した電波親父ってなんなんだ(笑)　ヴァッシュもレガートに喧嘩ふっかけたことで泣き叫んでいるし。うーん、どこまで本気なのだか。


　オーガスタから６５アイルの地点にある酒場では、懐かしい十字架が。ここで彼は、ヴァッシュが（オーガスタに）現れたことを知ります。またメリルとミリィも、別の場所でオーガスタからの避難民からそのことを知る。
　実はヴァッシュは、決闘場所のオーガスタで被害者が出ないように、オーガスタの住民を避難させるのが目的で暴れまくっていただけなのだが。なんか歌舞伎の見得みたいな節で暴れて、空に銃を撃ってオーガスタの住民を避難させていました。でもなんで空から黒猫が降ってくるのだろう。(^^;)
　ゴーストタウンと化したオーガスタで、ヴァッシュを迎えたのがＥ・Ｇ・マイン。球状の鎧に身を包んで針を飛ばすタイプの敵でした。仲間だったモネブとドミニクを処分して非常さを演出していたらしいですけど、なんか殺したいだけという感じの男でしたね。実際、ヴァッシュの敵ではありませんでした。
　しかし、本命は別に存在した！　ＧＵＮ−ＨＯ−ＧＵＮＳの九つ、雷泥・ザ・ブレードだった。ちょっぴりウェスタン風が入った野武士といういでたちの雷泥ですが、しかし彼の流派の次元斬一刀流（漢字はこれで正解かしらん？）ってどんな流派なんだろう？
　雷泥は自分の敗北に気付かないマインを始末し、ヴァッシュに果たし状で「死合い」を申し込む。しかしヴァッシュはジャパングの文字が読めない。なんてお約束なんだ。
　そういえば以前にもフランス語をフランセ語とか言っていたし、この世界では、地球の国の名前が正確に伝わっていないみたいですね。

　雷泥は死の淵に立ってみないと分からない境地もあるといって武士道を求めますが、ヴァッシュにとっては最初からそんなものはなく、ただ恐いだけだと言います。雷泥の猛攻にもヴァッシュは相手の急所を決して狙おうとはせず、殺すような真似はしない。それが雷泥には癇に障ったらしくさらに容赦のない攻撃を繰り出させる。
　あと、雷泥の言う、「それがしも貴殿も人であって人にあらず、闇に住まいし魔の傀儡、すなわち魔人よ」とはどういうことでしょうか。もしかしてヴァッシュ達って人造人間とか？　うーん、あり得そうで恐い。
　真剣、すなわち殺し合いに応じないヴァッシュに苛立つ雷泥ですが、雷泥の武器は剣圧による衝撃波だけじゃなく、柄（つか）に仕込んだ投身を発射する仕掛け、さらには剣の鞘を兼ねているライフルなど、飛び道具までこなしています。さすがはＳＦウェスタン。左手の隠し銃を出しても急所を避けようとするヴァッシュに効果的な不意打ちをかまします。
　危機に陥ったヴァッシュに、レガートの声が聞こえる。レガートの呼び声に応じて、ヴァッシュの意思に反して右手に持った銃が変形を始め、ヴァッシュの右手に同化する。その光景を見て、ヴァッシュはかつて自分の身に起こった出来事を思い出す！
　ヴァッシュの銃にああいう仕掛けがあった事自体が驚きですが、あのヴァッシュの回想シーンは、ジュライでの出来事でしょう。ヴァッシュの意思に反して右手が銃と同化し、プラント銃となります。左手の隠し銃で撃つ事でやっとのことで銃口を天に向けますが、それでもオーガスタの街は壊滅状態、銃の威力は天を突き抜け、衛星の一つに到達、月に巨大なクレーターを穿ちます。
　ヴァッシュを追ってオーガスタにやってきたメリルとミリィは、メリルが最後までぐずったけど危険を感じたミリィによってオーガスタから避難します。また、遠くからレガートとともにオーガスタを眺めていたミッドバレイは、オーガスタ破滅の瞬間を見て驚いています。

　ヴァッシュの銃の威力に恐れをなした雷泥は、そこにやって来たウルフウッドに声をかけられます。ヴァッシュに止どめを刺そうという雷泥に対し、ウルフウッドは雷泥を始末します。
　雷泥を始末したウルフウッドは、確かに人は死ななかった、けれどオーガスタ壊滅の惨状に、ヴァッシュに対して思いを馳せます。
　うーむ、名言はされなかったけど、やはりウルフウッド君てＧＵＮ−ＨＯ−ＧＵＮＳの一員なのかしらん。もうほとんどバレバレやけど。


　オーガスタ・シティを襲った惨状に、ヴァッシュの悪評はますます高まります。今までヴァッシュと出会った人たちの耳にも……。画面に登場した順に、３話のマーロン、１１話のジュリアスとムーア、１０話のクレアとクレアの旦那さん、ニールの親子、７話〜８話のカイト、同じくネオン、４話のイングウェイ（盗賊団の頭）、そして６話のエリザベスでした。
　ヴァッシュ・ザ・スタンピードは局地災害指定から、人類初の人間災害に認定される。そしてベルナルデリ保険協会はメリルとミリィに帰還命令を出し、今後一切ヴァッシュの引き起こした災害には関知しないことを知らせます。その無情な知らせに、ミリィは堪え切れずに泣き出してしまいます。


　今回、ところどころ作画や動きに気になる部分が見受けられました。細かいところなのですが、妙にメリル達の顔がまるっこかったりしてましたし、動画が抜けてる動きが見えたり。全体的には高品質を保っているだけに、ちょっとした部分にも違和感感じてしまいました。原画動画の一部に、海外のスタジオらしい名前があったので、さすがのマッドハウスも時間が足りないのかなどと妙なところで感心しましたね。もっとも、あの程度ならまだ十分許容範囲です。

今回の舞台
　──ＧＥＮＥＯＲＡ　ＲＯＣＫ──
　──４０　ＩＬＥＳ　ＴＯ　ＡＵＧＵＳＴＡ──
　──６５　ＩＬＥＳ　ＴＯ　ＡＵＧＵＳＴＡ──
　──ＡＵＧＵＳＴＡ──

初出：98/ 7/24 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/consider/trigun_tv4.htm

第１７話　レム・セイブレム

　今回のトライガンはヴァッシュの過去話でした。しかし、ヴァッシュが宇宙人だったとはねえ。(^_^;)　ナイヴズという男との因縁も明らかになりました。にゃるほど、どおりでレガートの言う「人間」の範疇にレガート達は入らないわけだ。


　感想いきます。
　ホームの環境を破壊しつくして住めなくなった時代、移民船ＳＥＥＤＳを中心とした移民船団はホームを捨て、新たなホームとなるべき星を探していた。人間達の多くはコールドスリープで時を過ごしており、わずかに五人、ジョイ、スティーブ、ロアン、メアリー、そしてレムが船団を管理していた。
　ヴァッシュ・ザ・スタンピードとミリオンズ・ナイヴズは、移民船の中にどこからともなく表れた赤ちゃんだったのですね。わずか１年で小学生ぐらいの子供に成長しました。成長したのはいいけど、髪を切るまではヴァッシュとナイヴズって、ヴァッシュの泣きぼくろでしか区別できなかったい。
　レム達が見つけた星は人が住める環境ではあるが、海洋圏は皆無で岩石圏のほとんどが石英だった。うーん、海は昼夜の温度差を縮める働きがあるので、そうだとするとこの星、昼夜の温度差はとてもじゃないが大きいぞ。ほとんど砂漠か荒野だっていうんだからなあ。


　レクリエーション・ルームでランチを食べるヴァッシュ達ですが、この部屋、とても宇宙船の中とは思えないほど広いですね。ヴァッシュ達の周辺は本当に草木があるとしても、遠くの景色はスクリーンなのでしょう。
　レムが楽しいことがあると自然に出ちゃうのという歌ですが、あれは８話でカイトが歌っていた歌ですね。するとあれはレム達がホームを出る時に、ホームで流行っていた歌なのでしょうか。コールドスリープから目覚めた人たちが口伝で残した歌だとか。


　わずか一年でスティーブをも上まわるＩＱの持ち主に成長したヴァッシュたちですが、スティーブはそれが気に入らないようです。ヴァッシュやナイヴズをできれば追い出したい様子で。まあ人間自分の常識で理解できないものが出て来た場合、排除しようとするのが普通なんですが、そのまんまのタイプでした。ヴァッシュ達を化け物呼ばわりしてましたし。
　ナイヴズが人間を病原体呼ばわりするまでになったのはスティーブの存在もあると思いますが、それ以上にジョイの教育責任も大きいと思うぞ。
　ジョイは人類がホームの環境を破壊したため宇宙に出ざるをえなくなったなんて教育をナイヴズたちにしたおかげで、ナイヴズは人類が宇宙を汚すなんて思想を抱いちゃったのではないんだろうか。だから人類でない自分たちだけの世界を作ろうとしたと。もちろんジョイはそんなつもりじゃなく、人類の贖罪意識の方が強かったおかげでそういう表現にならざるをえなかったのでしょうが、下手な贖罪意識で教育すると子供が非行に走る事もありうるという見本ですね。まるで戦争犯罪教育みたいだ。
　ヴァッシュはどちらかというとポジティブ思考なレムの影響が大きかったから、そんな危険思想は抱かなかったのでしょう。
　あとヴァッシュとレムへの嫉妬心もあるかな？　ヴァッシュがレムに散発してもらったとき、実はくせ毛だったヴァッシュにあの逆立てた髪型に仕立ててもらったのですね。ヴァッシュに対抗してナイヴズも自分で髪の毛を逆立てようとしたのですが、全然そんな感じにならずによりワイルドな感じになったと。
　それとレムには、失われた恋人がいたみたいですね。髪を逆立てたヴァッシュがその恋人に似ているらしいし。


　レクリレーション・ルームで蜘蛛の巣に捕まった蝶を助けようとしたヴァッシュですが、ナイヴズはクモを握り潰してしまう。両方助けたかったヴァッシュに、ナイヴズは両方助けることは出来ないと言い放つ。蝶を捕まえなければ、クモは飢え死にしてしまうから。それでもどっちも助けたいんだと叫ぶヴァッシュに対して、ナイヴズは僕には分からないよと言い放ちます。


　ナイヴズは態度の悪いスティーブを陥れるために、ロアンとメアリーを利用します。二人の口裏を合わせ、スティーブがメアリーに乱暴されたと狂言をしかけて冷凍睡眠の拘留処置にさせる。メアリーに気があったロアンも、スティーブがしつこいメアリーもその話にのったみたいですね。ジョイも見事にだまされて、冷凍睡眠拘留されます。
　そうしてからロアンは、メアリーに結婚を申し込む。スティーブの装置に細工して、二度と目覚めないようにしたらしい。思い込みが強くて陰湿な奴ですねえ。メアリーが自分の思いどおりにならないとわかるや、銃で射殺する！
　さらに精神が錯乱したロアンは、ナイヴズに銃口を合わせる。こいつのせいでメアリーは死んだんだと。あわててレムはナイヴズをかばい詰め寄るが、精神が錯乱して危険な状態にあると判断したジョイがハッチを開いてロアンだけを船外に放りだす！
　とっさの判断の結果に迷うジョイを、ナイヴズは射殺します。さらに航行プログラムに細工をし、船団そのものを砂漠の星に墜落させる！　ロアンが起動プログラムを操作した、ジョイは最後まで頑張ってみると嘘をついて。そして（ヴァッシュの気に入っていた）レムだけを残し、人間そのものを星に墜落させて絶滅させるために！！
　しかしレムはヴァッシュとナイヴズを脱出ポッドで脱出させ、自分は誰も死なない方法を探してみるといいます。レムの残った移民船は大気圏の突入の衝撃で破壊されますが、その他の移民船は逆噴射がかかり、無事に惑星に不時着します。
　レムの死んだ恋人はアレックスと言うんですね。移民船に残った時、彼の名を思い出していました。


　レムは二人を脱出ポッドに押し入れた時、ヴァッシュにナイヴズの事を頼みました。１０７年後のジュライシティでヴァッシュはそのことを誓いますが、その誓いは具体的にはどんなものだろう。きっとナイヴズを優しい心に導く、と言うものだと思います。レムは間違ったら何度でもやり直せるというのが持論の持ち主でしたから。そしてヴァッシュは白と黒、二丁の銃を持っていました。


　今回は黒猫は出て来ませんでした。(-_-;)
　ときどきヴァッシュの回想シーンに、大人になったヴァッシュとレムが並んでいるシーンが出て来ますが、これってヴァッシュの心の中にいるレムのことでしょうか。レムはヴァッシュが子供のときに死んでしまったので、大人のヴァッシュと並ぶことはあり得ませんし。いくら大人になって凛々しくかっこ良くふざけてばかりいても、ヴァッシュの本質は相変わらずの甘えん坊だということでしょうね。そうするとどんなに危機に陥っても、相手を絶対に殺さないという甘ちゃんぶりも納得いきます。
　それとヴァッシュとナイヴズは宇宙人だとさっき書きましたが、ちょっと訂正。もしかしたらヴァッシュたちは、プラントから生まれた子供たちなのかもしれない。あのプラントは理論法則を超えた生産活動を行うためのシステム、ロストテクノロジーという説明がかつてありましたし。そうすればヴァッシュが６話でプラントを直接止められた理由もずっと年をとらずに生きている理由も説明できますし。それにレガートたちはナイヴズが占有しているプラントから生み出される新人類だったとか。


　今回は、脚本：黒田洋介、作画監督：田崎聡、絵コンテ＆演出：大橋誉志光でした。

今回の舞台
　──ＣＯＬＤ　ＳＬＥＥＰ　ＣＯＮＴＲＯＬ　ＲＯＯＭ──
　──ＲＥＣＲＥＡＴＩＯＮ　ＲＯＯＭ──
　──ＢＲＩＥＦＩＮＧ　ＲＯＯＭ──
　──１０７　ＹＥＡＲＳ　ＬＡＴＥＲ　ＪＵＬＹＣＩＴＹ──

初出：98/ 7/31 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/consider/trigun_tv4.htm

第１８話　今は、さよなら

　トライガン、今回からいよいよ新シリーズです。
　新シリーズに伴って今回からオープニングが一部変わりましたねえ。毎回変わってるじゃんなんてピント外れな事いいっこな〜し。『指名手配；賞金首６００億＄＄』という文字が、『緊急事態；局地災害指定、ヒューマノイド・タイフーンがやってくる』に変わってました。こんなところにもオーガスタ・シティ壊滅の衝撃がでているというところでしょうか。

　本編は話変わって行きなり２年後に進みます。


　さて、話はエリクス（＝ヴァッシュ）の夢のシーンから始まります。ジュライ・シティでナイヴズはある人物を、ヴァッシュとレムを繋ぐ糸だというだけで殺害したらしいですね。ヴァッシュは両腕に白黒の銃をかまえますが、ナイヴズによって黒い銃を構えた左腕を撃ち落とされます。さらにナイヴズの遠隔操作により白い銃のプラントがむき出しになり、右腕と融合してプラント銃に変わる。その銃を操作できないままナイヴズに向け、ジュライ・シティは壊滅した。
　なんでナイヴズがここまでヴァッシュを気にかけるのか分かりませんが、ナイブズにとっては唯一の仲間がヴァッシュなのでしょうね。その他の人間どもはゴミみたいなもので、たとえめそめそしていても（ナイヴズ談）、ヴァッシュだけが生死を共にすべき仲間、だと感じているのでしょう。
　ここで前回が１０７年後のジュライ・シティで終わっていたのが気になりますねえ。要するに前回から今回の頭にかけてのストーリーは続き物で、ずっとエリクスの夢だった、という演出意図が感じられます。


　カステッド・シティ（ＫＡＳＴＥＤ　ＣＩＴＹ）にバスでウルフウッド君がやって来ます。住民達は我先にという感じでバスにのってこの街から逃げ出そうとしてますが、そのバスごと爆破されてしまいました。酒場の親父の話によると、この街は郎党に包囲されていて、そのバックにヴァッシュ・ザ・スタンピードがついているらしいと。
　７都市の２つを破壊し、人類初の局地災害指定に認定された男、５番目の月の大穴まで奴の仕業だとか。ジュライ・シティとオーガスタ・シティって７都市だったのですね。私はまた１２都市１２破壊物語でもやるのかと、ってなんだそりは？　(｡_ﾟ)☆＼(^^;)

　そこへリィナとエリクスがやってきます。リィナは若干１２歳ながら気の強い少女で、２年前エリクスを拾って面倒みてきた少女でした。デブでロリコンな右腕が大砲の男に尻を触られて、カカト落としというかケリを食らわせてきたらしい。あとで分かった事ですが、この人間ダルマのモヒカン男が郎党のボスで偽ヴァッシュを名乗っていたとか。センスなさすぎだぞ、お前ら。
　そこで郎党の連中がリィナにケジメ付けさせるために乗り込んで来たとか。エリクスが矢面に立って、土下座して見逃してくれと言います。さらにモヒカン男の要求を呑んで、裸になって犬の真似までします。それでもチップと称して大砲撃とうとしますが、後ろで睨みきかしたウルフウッド君のおかげで撤退して行きます。もっとも、置き土産でエリクスをライフルで撃ちましたが。

　エリクスの体を緊急手術します。幸い弾は貫通していたらしいですが、以前からエリクスはそんな目にあっていたらしいですね。前回は酒場で暴れていた男を止めようとして逆に殴られ、さらにその前はトマから落っこちたと。


　ウルフウッド君は弾を撃たれて緊急手術したエリクスをぶん殴って目を覚まさせます。とんでもないやっちゃなあ。まあ、相手が本物のヴァッシュならこの程度でちょうど良いかもしれませんが。
　オーガスタ・シティで起したあまりの惨劇の恐怖に、今は名も変えてただ静かな生活を営んでいたヴァッシュですが、ウルフウッドはそんな彼のささやかな生活すら奪ってしまう。ヴァッシュの力が必要になったと言って、ここから連れ出して行こうというのだ。オーガスタの廃墟からヴァッシュの銃を探し出して、３話のマーロンにロハで直してもらってきて。
　ウルフウッドの話によると、南コーネリアにあるカルカサスという小さな町で、町中全体が神隠しにあったとのことです。そして中央広場のモニュメントに赤い字で、“ＫＮＩＶＥＳ”と書き殴られていたそうです。

　さらにリィナがモヒカン男の郎党の連中にさらわれたという声が飛び込んで来ます。リィナのお婆ちゃんの声ですね。（エンタイで確認すると、シェイルという名前らしい）　それでやっと決心したヴァッシュは、外で待っていたウルフウッドに言います。この生活がほんとに気に入っていたんだと。
　２００人の郎党相手にたった２人でリィナを取り戻しにいきますが、今回のウルフウッド君の十字架はなんとマシンガン仕様でした。２年前までは銃のホルスター仕様だっただけに、この２年間でバージョン・アップしていたみたいですな。あれだけベルトで巻きつけられた十字架が、手元のホックを外すだけで開放されるような仕様になっているのも無意味にかっこいいですね。トライガンらしくていいよなあ。
　しかし二人にとってたとえ相手が２００人いようと雑魚は雑魚だったみたいですな。一瞬の場面転換でケリがついてしまったようだ。(-_-;)


　町を出る決意をしたヴァッシュは、リィナに伸びた髪を切ってもらいます。この光景に、かつて移民船でレムに髪を切ってもらった思い出を重ね合わせるヴァッシュ。
　守ってあげようと思ったのにという言葉は、ヴァッシュの心の弱さを見抜いていたのでしょう。無法の荒野で生きて行くには、あまりに弱い繊細な心。でも、逆だった、何の力もなかったというリィナ。バカ言うなよというヴァッシュの言葉は、この２年間の思いが込められていると思います。リィナとリィナの婆さんがいたからこそ、ヴァッシュは心の傷が癒せたのかもしれません。
　リィナの婆さんは黒猫を膝に抱えながら、ウルフウッド君にヴァッシュの事を頼みます。抜け目だらけの人だからと。いつかこういう時が来ることは分かっていたと言います。
　そして二人は旅立ちます。ヴァッシュは「今は、さよならだ」という言葉を、心に残して。


　今回は新シリーズの開始として、なかなか良かったと思いますね。シナリオは相変わらずカッコ良さを演出しています。絵的にはちょっと不調かなと思ってましたが、後で確認してみると原画の一部と動画が海外でした。もっとも不調だったのはさして重要ではない捨てカットがメインだったので、あまり気にはなりませんでした。


　今回は、脚本：黒田洋介、作画監督：岩井優器、絵コンテ：松尾衡、演出：粟井重紀、演出助手：鎌仲史陽でした。

初出：98/ 8/ 6 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/consider/trigun_tv4.htm

第１９話　ＨＡＮＧ　ＦＩＲＥ

　トライガンの感想を書きたいと思います。
　今回のトライガン、ヴァッシュに対して厳しいアンチテーゼと化しています。いままでその圧倒的な銃の腕前で物事をうやむやにし、不殺を貫いて来たヴァッシュですが、今回のテーマは人の心はそれだけでは救われないこともあるという痛い現実でした。不殺に縛られているが故のヴァッシュのダークサイド、かっこ悪さというものでしょうか。


　さて、冒頭はヴァッシュがリトル・ジャージーに表われたという知らせに、再びメリルとミリィが監視役に向かうところから始まります。しかし、デスクワークに眠りこけたメリルのほっぺに書類のインクが着いているところなど、芸が細かいな。カレンやマークにからかわれたところを、部長に注意されたりしてるのも良し。２０回連続で遅刻した罰にビルの窓ふきをやらされるミリィもなにか似合っていました。(^_^;)
　同僚のカレンって人が女の幸せがうんぬん言ってたけど、再びヴァッシュのお目付役の仕事にぶつくさ文句を言いながらも鏡にはにやけているメリルがいいですね。メリルの幸せはヴァッシュとともにあるのだろうか？
　見ていて疑問に思ったのですが、メリルの会社がある街って、なかなかの高層ビルが立ち並んでいて西部劇というより２０世紀前半のニューヨークってな感じでしたよね。一瞬でしたから違うかもしれませんが。カレンが「アウター」とかいう単語を使ってましたし、あの世界ではああいう都市の外側にある砂漠をアウターと総称しているのでしょうか？

　リトル・ジャージーでヴァッシュが何をやらかしたかというと、よくあるチンピラ同士の仲裁だったとか。仲裁に入った途端に街が半壊したという相変わらず不条理なトラブルメーカーぶりに、メリルも呆れます。しかし泣きながらドーナツ喰っていたって、どんな感じなんだ？
　そこへミリィがヴァッシュの情報を聞いて来ます。ヴァッシュがニュー・オレゴンへ、毎時三千ヤーズのスピードで向かっているという情報をサテライトから聞いたと。メリルじゃないけど、本当に詳し過ぎる情報ですな。(-_-;)


　話は前後しますが、ウルフウッド君の中古バイクが壊れて砂漠で行き倒れになっていたヴァッシュ達二人は、親切なトラックの運転手に助けられます。とはいっても、ここら辺の二人のやりとりは面白いですねー。水やバイクのことでもめる度に、運転手に怒られたりして。
　ニュー・オレゴンでは、いかしたＤＪがタイフーン情報を流していました。街のみんなもドアや窓を板で打ちつけたりして、どうやら本物の台風が来るみたいですね。ジャグリーンという女性名が着いていますが、これはタイフーンには女性名を付けるという慣例でしょう（現在のアメリカでは男女の名前を交互に付ける事になっている）。
　しかしヴァッシュ達は、タイフーンがどういうものか知らなかった。ウルフウッド君の質問に、ヴァッシュが「街をなぎ払う美女」だと答えるのが可笑しいですね。
　さてウルフウッド君の情報によると、このニューオリンズではサテライトの情報をめぐって、ポロ家とフリス家のいざこざが続いているみたいです。血で血を洗う抗争が行われているみたいです。ウルフウッドは静観きめておる奴でも血縁殺されたら銃を取ると言いますが、ヴァッシュはそういうことが見過ごせないんでしょうねえ。いきなり席を立って姿をくらませます。
　しかし、消えたヴァッシュの代わりにスパゲティを食べている黒猫の姿を見て、ヴァッシュって実は猫やったんかとボケてるウルフウッドというのも……。

　ヴァッシュはサテライト施設に訪れて、そこで働いているマックス・サイモンという偏屈ジジイ（スレーター談）に会いに来ます。
　そのマックスにはスレーターの親父ですら頭が上がらないということですが、どうやらトマを使った第１０回ニューオレゴン・シティ・ダービーでペアを組んで優勝したという前歴があるみたいですね。表彰楯にそう書いてありました。
　しかしマックスとヴァッシュって１０年ぶりとかいうことなのですね。１０年前、一体何があったのだろう？　


　さて、また話は前後しますが、そのころフリス家の連中では、ルラウドという男にそそのかされてポロ家を襲撃しようという計画が立てられていました。ポロ家のほとんどが街から出て、残っているのは四男のスレーターだけだという状況が絶好の機会だと。そしてニューオレゴンへの定期便であるスチームサンドを占拠して、ポロ家の管理するサテライト施設に突っ込ませます。
　しかしそのスチームサンドには、保険屋さんコンビが乗り合わせていた。せっかく奮発して二等客室を借りたのに、また襲撃にあったというのもなかなか巡り合わせが悪いですな。
　フリス家の連中はポロ家の四男坊を押さえて、例のいかした台詞回しのＤＪの放送室に占拠します。ここに至るまでの道は一直線の廊下しかないからというのが、当初からの目的みたいですね。フリス家の中で一人もともと気の良さそうなおっさんがいましたが、彼が一番悲壮な覚悟を決めているみたいです。


　さてルラウドはフリス家がサテライト施設を占拠したことを宣言し、ポロ家の当主を３日以内に連れてくる事を要求します。しかしネオ・コロナドにいる当主は３日では到着できない。そこでヴァッシュが動きだします。
　その後ジャクリーン（本物のタイフーン）にまぎれて逃げ出すという計画を見張りから聞いたメリルは、ミリィの情報が本物のタイフーンであることを知る。いままで気付かなかったんかい。(^_^;)　見張りをメリルは金的蹴りと足によるスタンガン発射で倒して、二人とも窮地を脱します。
　ヴァッシュは相変わらず殺さずでポロ家の連中を倒し、放送室を占拠している連中に降服勧告します。そして一本道の通路でロケットランチャーの弾を蹴り避けるという離れ技をみせてくれる。そしていつの間にかルラウドのいなくなったポロ家の連中を、銃のグリップの元で倒してしまいます。

　フリス家で最後に残ったのは先程のおっさん（エンタイによると、おそらくベンソンという名前）ですが、じつはこのおっさん、スレーターに娘（アイリーン）を殺された過去があった。見物していたウルフウッドがモノローグで言ってましたが、わしらは神やないんや、万能でないから鬼にもならなければならん時もあるという台詞が重く聞こえます。おっさんの悲壮な覚悟は、ここから来ていたのですね。ヴァッシュはそれでも止めようとしておっさんに飛び掛かり、顔を殴られても止めさせようとしますが、結局はね付けられて泣きながら訴えることしかできませんでした。
　この状況でヴァッシュの出来る事といったらただ二つ、おっさんを傷つけてでも強引に取り押さえるか、それともおっさんの気持ちを汲んで見逃すかです。しかしヴァッシュはそのいずれの選択も出来ずに、ただ泣いて訴えるだけしか出来ませんでした。結局はおっさんがライフルの引き金を引くことができずスレーターを殺せなかったことで事は収まるのですが、結局ヴァッシュは自分の責任で事を収めることが出来なかったんですね。
　かっこ悪いといえば今までの中で一番かっこ悪いヴァッシュのシーンなのですが、これはヴァッシュに対するいわゆるアンチテーゼを示した回だと思います。誰も殺さず、みんなの心が救われるというのがヴァッシュの理想なのだと思いますが、そうそうそんな理想的にはいかないということもあるということです。


　さてこの状況の中メリルとミリィはヴァッシュ達と再会しました。ウルフウッドのええ人ごっこという言葉を、ヴァッシュはどう受け止めるのでしょうか？　メリルたちは、ヴァッシュの挫折感をどう受け止めるのでしょうか。
　一方ルラウドは、丸めがねのレオノフ・ザ・パペットマスターに会ったかと思うと、あっさりと分解されそのトランクの中に収まってしまいました。(^_^;)　ルラウドはレオノフの操り人形だったのか。レオノフの目的はヴァッシュが本物かどうか見極めてレガートに報告することだったらしいのですが、なんでヴァッシュがニュー・オレゴンに向かった事が分かったのだろう？　話の途中でサテライト施設が占拠された時にウルフウッド君が「こういうことかいな」と愚痴ってましたから、やはりウルフウッドって、実はＧＵＮ−ＨＯ−ＧＵＮＳのチャペルで、ヴァッシュの行き先をレガートに教えていたとかしてたりして。


　今回はなかなか辛い話なのですが、それを真面目に描ききったスタッフの力量に敬意を表します。トライガンという作品の持つテーマに対し、この回がどのような役割を果たすがこれからも見て行きたいと思います。


　今回は、脚本：黒田洋介、作画監督：木下ゆうき、絵コンテ：小沢一浩、演出：山内富夫でした。

今回の舞台
　──ＬＩＴＴＬＥ　ＪＥＲＳＥＹ──
　──ＮＥＷ　ＯＲＥＧＯＮ──

初出：98/ 8/14 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/consider/trigun_tv4.htm

第２０話　ＦＬＹＩＮＧ　ＳＨＩＰ

　トライガン、２０話の感想をいきます。


　冒頭、保険屋さんコンビがタイフーンを目の当たりにして感慨にふけっていました。ミリィなんて相変わらずボケボケで、ヴァッシュさんの親戚でハチャメチャビュービューとか言ってましたし。二人の部屋にトマが吹き飛ばされて部屋がめちゃくちゃになったおかげでヴァッシュの部屋に間借りしようとしたら、ヴァッシュはもぬけの殻だった。出し抜かれた二人でした。
　しかしミリィがあらかじめヴァッシュの朝食に発振器を仕込んでおいたそうです。その発振器、ミリィが呑気だから出し抜かれないように部長が選別にくれたものだそうですが、しかしヴァッシュにはお見通しで、黒猫たちの餌にされていた。
　……しかしあの黒猫に、仔猫がいるとは知らなかったなあ。茶色の毛並みしていましたけど、黒猫の実の子供かしらん？


　一方、ヴァッシュの１３０年前の思い出ですが、人間どもを殺してこの星を自分達だけの世界にしようとしたナイブズが、助かった数％の人間どもも殺そうと決意した時のシーンですね。しかし「この星に俺達以外は」とナイブズが言っていたので、ナイブズにとっては兄弟みたいな存在であるヴァッシュは、特別な存在だったのでしょう。なるほど今まで敵対していても、直接的に始末しようとはしなかったはずだ。
　ヴァッシュはレムとの約束を思い出しつつ、崖から飛び降ります。マックスのアドバイスで述べていた「ジャグリーンのくるぶし」とは、実はヴァッシュを空中に運び込む輸送ポッドの通り道だったんですねえ。タイフーンの中を崖から飛び降りて、風に運ばれつつポッドに激突するのが、地上に落ちそこねて空中に静止している宇宙船に通じる唯一の輸送手段だったのか。ニュー・オレゴンへヴァッシュがやって来たのも、マックスと連絡を取ったのも、全てはいったん宇宙船に帰るための手段だったんだな。
　成り行きで一緒に来ることになったウルフウッド君が２０年ぶりの客だということは、２０年前には一体だれが来たというのでしょう？　……ジュライ・シティの事件がおよそ２３年前の計算になるはずだから、ジュライ・シティの時も同じことをしていたのだろうか？
　しかし、文明が退化した世界の中で、失われた文明は空中などの隔離された世界にあるという世界観は、銃夢（ガンム）なんかでもよく見られる設定ですね。一種のお約束を大胆にアレンジしたものでしょう。

　しかしその宇宙船は、レオノフ・ザ・パペットマスターが鳥のパペットで見張っていた。ルドルフはレガートに報告しますが、レガートの「なんて愚かなんだ君は」というのは、はたしてヴァッシュに言った言葉なのかウルフウッドに言った言葉なのか？


　ヴァッシュの帰った宇宙船は、殺伐とした砂漠の世界（アウター）から目をそむけて、平和に暮らしている人たちが過ごしていました。平和といっても宇宙船の中でアレだけの人数が暮らしているので、いろいろと不都合があるのでしょう。しかしそれでも、アウターの無法の中で暮らすよりは良いという人たちが過ごしていました。
　ブラドは伝説の男であるヴァッシュが、スチャラカな男だと知って驚いていましたな。あまり歓迎していないのは、自分が惚れているジェシカがヴァッシュに夢中なのが気に入らない様子です。しかしジェシカといい前々回のリィナといい、ヴァッシュって年下の女の子にすごくよくもてますなあ（って、よく考えたらヴァッシュは１３０歳以上のはずだから、ナイブズ以外全員年下じゃねーか(笑)）。
　シップに住んでいる人間は、外からの来訪者であるウルフウッドをあまり歓迎していない様子です。というより、露骨に避けていますね。子供が石(？)を投げ付けます。
　ウルフウッドはプラントにすがりついて砂漠だらけの星で過ごすのを避けている住民たちに一喝します。嫌でもなんでも、砂漠だらけの星で過ごさなければならない時がくると。現実主義者のウルフウッドにとっては、いつか来る危険に目をつぶって暮らしている人たちが見ていて我慢ならないのでしょう。


　先生とヴァッシュの会話で、「あいかわらず時間を止めて眠り続けている」という先生の言葉がありましたが、あれはどういう意味なのでしょうか？　これってさり気なさ過ぎる重大な伏線だったりして。例えばレムがコールドスリープで眠り続けているとか（眠っているといえば、むしろ１７話のスティーブの方なのですが）。
　先生やブラドとの会話から、この宇宙船の人たちがヴァッシュとナイブズとの間にある因縁を知っているみたいですね。あの男（ナイブズ）と敵対して生き延びて来たのは、ヴァッシュだけだと言ってましたし。
　ヴァッシュは先生から、新しい義手とコートを手に入れます。今度の義手にはどんな仕掛けが施されているんだろうか。ﾜｸﾜｸ


　ふてくされて歩き回っているウルフウッドの耳に、住民達の悲鳴が聞こえて来ます。強引にドアをこじ開けて確認すると、既に中の住民（テリーとナシア）は惨殺されていました。
　タイミング悪く駆けつけた住民達からみると、死んだ住民たちに混じってウルフウッドが立っている構図……、これでは偏見にまみれた住民からみると、ウルフウッドが惨殺したようにしか見えません。ブラドはウルフウッドに銃を向けますが、ウルフウッドが本気になる前にジョセフを含む駆けつけた他の住民達も、レオノフの操るルラウド＝パペットによって惨殺されてしまいました。
　レオノフがウルフウッドのことを、「弔いの黒き鐘を鳴らす男、チャペル・ザ・……」と言っていましたが、チャペル・ザ・……なんなのでしょう？　チャペルということは、やはりウルフウッドも、ＧＵＮ−ＨＯ−ＧＵＮＳの一人だったのですね。
　一方ヴァッシュにお祝いしようと豪勢な食事を作っていたジェシカも、侵入者によって拉致されてしまいました。ルラウド人形はジェシカを人質に取ることで、ブラドにウルフウッドを殺させようとします。
　しかしそんなことはレオノフの罠で、例えウルフウッドを殺したところでジェシカをレオノフが助ける保証はないわけです。ウルフウッドのもう一つの、ジェシカを見捨てるという選択肢を提案します。確実に二人は助かるし、この方法が最善だと。
　ウルフウッドのいうことは正しいんですけどね。現実の世界でも、テロリストが人質をとってテロ活動を行った場合には、人質を見捨ててでもテロリストには断固とした処置をというのが世界の常識ですし。でないとテロを起した方が得だということになりかねないから。
　しかしウルフウッドは、辛い時にそんなんいややといって、泣きながらみんなを助けようとする奴がおると言います。体中傷だらけにしながら、何度でも立ち上がろうとする男がと。
　そんなタイミングでヴァッシュが表われて、巧妙にジェシカを避けながらルラウド人形を破壊します。その隙をついてウルフウッドも、もう一体のルラウド人形を破壊します。

　ヴァッシュの赤いコートは勿論ですが、あの奇妙なサングラスもここで調達したものだったのですね。
　赤いコートに関して、ヴァッシュの回想シーンが入ります。セラニウムの赤い花の立体映像を見て、レムにゼラニウムの事を教えてもらう幼き日のヴァッシュ。ゼラニウムの花言葉は、「決意」だそうです。ヴァッシュの赤いコートは、レムとの約束を果たすというヴァッシュの決意の表われだったのですね。

　一方レオノフは、自分の外にもＧＵＮ−ＨＯ−ＧＵＮＳがいることをほめのかします。ヴァッシュが関知したところ、侵入者は３人。巨大な足（グレイ・ザ・ナインライツ？）と、回転する半球状の楯（オッパード・ザ・ガントレット？）が潜りこんでいました。


　今回はヴァッシュがなぜロストテクノロジーを持っているのか（７話）の秘密が明かされました。やはりヒーローには秘密兵器を開発する博士が必要ですからね。(^_^;)　相変わらずレベルが高いと思います。


　今回は、脚本：黒田洋介、作画監督＆絵コンテ＆演出：もりやまゆうじでした。

初出：98/ 8/21 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/consider/trigun_tv4.htm