９７年秋のアニメの感想
今秋９７年秋に始まったアニメの１０月２５日時点における独断による評価です。☆５つで満点です。
マスターモスキートン’９９（テレビ東京系 毎週火曜深夜６時３０分）
絵 ☆☆☆
キャラ ☆☆☆☆
ストーリー ☆☆☆
ヒットメーカーあかほりさとるの最新作。
現代に蘇った吸血鬼、アルバート・フォン・モスキートン（通称、モーちゃん）が、学園の生徒会長にして副理事長であり、容姿端麗、成績優秀、品行方正という学園の華で、しかしその実態はただの守銭奴であるイナホ・ヒトメボレに無理矢理契約を結ばされ使役されるという話。ウルフレディやフランキーといった人物を仲間に巻き込みながら、世界各地のＯ−パーツを探しまわる。
キャラの描写や配置がなかなかあざといが、ストーリーに関してはご都合主義が目に付く部分が多い。内緒で株式投資をしてお金を稼ぐことのできる能力の持ち主であるイナホちゃんが、なぜわざわざオカルトの分野でお金もうけ（Ｏ−パーツ探し）を行わなければならないのかも疑問が残る。しかしストーリー展開としては分かりやすくマニア受けする方なので、合格ラインはクリアしていると言えよう。
ネクスト戦記ＥＨＲＧＥＩＺ（テレビ東京系 毎週水曜深夜１時１５分）
絵 ☆☆☆
キャラ ☆☆
ストーリー ☆
宇宙軍は正体不明の敵性物体「Ｓ」の捕獲を試みている。それとは別に地球では、エスパー少年ハルを頭首に抱く革命組織がテロ活動に励んでいた。廃棄コロニー“ＮＥＸＴ”では居残り住人達が、ＭＶによる海賊行為で日々の生活をまかなっている。地球を追われた革命組織は未知の力（「Ｓ」のこと）を求めて中立地帯である月に逃れ、そこで“ＮＥＸＴ”の住人達と接触する。
宇宙軍と革命組織と主人公達のストーリー展開がバラバラで、一見しただけではなにがなんだか分からないのが難点。「ガンダムＸ」でヴァルチャー達と地球連邦軍とコロニー革命軍が最初から登場して、それぞれバラバラにストーリーを進めているといえば一番近いといった感じである。ＴＶアニメのくせに第１話においてテキスト読み上げで世界観を説明したのもマイナス（スターウォーズじゃないっての）。全体的にやや難といったところ。
エルフを狩る者たちII（テレビ東京系 毎週水曜深夜１時１５分）
絵 ☆☆☆☆
キャラ ☆☆☆☆☆
ストーリー ☆☆☆☆
査問委員会の公認を得て再び呪文のかけらを集めだす淳平、愛理、律子、セルシアの「エルフを狩る者たち」。人喰い鮫から人魚エルフの集落を守ったり、トイレットペーパーを排泄するピチカートという動物（通称、ピチちゃん）を新たな仲間に加えたりと、あいもかわらず確信犯的なおバカをくり返しながらエルフを脱がしまくる。セルシアが相変わらず不幸でパンダエルフになったりするのもお約束と言える。
原作の雰囲気をいい意味で再現し盛り上げている。今回は呪文のかけらが５つではなく、それ以上に分裂しているようである。ストーリー上の整合性は取れていないしご都合主義的な部分も多いが、「エルフ」は確信犯的おバカなストーリーがメインであるため、その点は問題にはならない。むしろ査問委員会の公認が取れたため、無理矢理エルフを脱がすというこの作品のウリが無くなったのが残念なくらいである。個人的な希望としては、今回はドーン編までやって欲しい。
ＶＩＲＵＳ（テレビ東京系 毎週木曜深夜１時１５分）
絵 ☆☆☆☆☆
キャラ ☆☆☆
ストーリー ☆☆
２０９５年ネオ・ホンコン。人にも機械にも寄生しミューテーション化させる正体不明のウィルスの驚異に人類はさらされていた。ウィルス殲滅のための特殊組織「スタンド」では、メンバーはバリアブル・ジオと呼ばれるパワード・スーツを装着し、ウィルス殲滅に当たる。スラム街出身のサージはスタンドの隊長、レイヴェンの命を狙うが、逆にレイヴェンに誘惑されスタンドの一員となる。レイヴェンはなぜかサージの存在を知っていた。
セガサターンでゲーム化されているしマンガ化もされているようだが、残念ながら私はこれらの原作を知らない。絵的にはレベルが高いし動きも良いが、ストーリー的には分かりづらい部分もある。脳内に埋めこんだインキュベーターというチップにウィルスが寄生して怪物化させるらしいが、だったらインキュベーターを止めればいいじゃんと思うのは私だけだろうか？ サージとレイヴェン、ドナ（ＡＩの女性）の３人の間にも何か関係もあるらしいが、４話でその謎に触れずに基本パターンで話を進めたのには評価できる。序盤でのサージやレイヴェンの行動原理がやや不可解だったのが減点か。
吸血姫美夕（テレビ東京系 毎週月曜曜深夜１時１５分）
絵 ☆☆☆☆
キャラ ☆☆
ストーリー ☆☆☆☆
世間に逃れたはぐれ神魔を退治するため、闇の世界の狩人、美夕はその特殊能力を用いて神魔狩りを行う。今日もどこかで神魔にとり憑かれた人間達が悲劇を犯す。美夕ははぐれ神魔たちを退治し、哀れな犠牲者たちを甘美な夢の世界へ誘うのだった。
決してマニア受けするようなストーリーでもキャラクターでも世界観でもないが、その幻惑的な雰囲気と救いのないようなバッドエンディング的な結末は素晴らしい。神魔にとり憑かれた人間たちを本当の意味で救おうとはせず、「それは私の仕事じゃないから」と言い切る美夕の態度も素敵である。ただ、他の登場人物（特に人間キャラ）に魅力が欠ける。キャラクターがある意味現実的な作りをしており、デフォルメに欠けている分だけ魅力が薄くなっているが、それは世界観を考えると仕方のないことかもしれない。全体的には合格ラインは十分達しているだろう。
初出：'97/10/26 http://www.3web.ne.jp/~junhelm/talk/anime_01.htm
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