９８年冬のアニメの感想(1)
今冬放映していたアニメの１月１４日時点における独断による評価です。★５つで満点です。
ＤＯＲＡＧＯＮ ＢＡＬＬ ＧＴ（フジテレビ系 毎週水曜夜６時３０分、１１月１９日放映終了）
絵 ★★★★★
キャラ ★★★★★
ストーリー ★★★★★
最強の邪悪龍・一星龍（イーシンロン）に対し、打つ手が無くなる悟空達。しかし悟空の全宇宙の人々から力を借りた元気玉により一星龍を倒し、全てのドラゴンボールの浄化に成功する。その時、神龍（シェンロン）が再び登場し、ドラゴンボールの消滅を宣言する。悟空は神龍とともに、この世界から去っていく。そして百年後……
ＧＴ初期のほのぼの路線も好きだったが、話がだれていたのも事実。結局、格闘路線に戻ってからの展開はほぼ完璧に近く、私ごときが評価するのもはばかられると思う。ただ、一星龍がしぶとすぎと感じたのは私の気のせいだろうか？ 最終回、悟空が神龍と共に去っていくシーンでは不覚にも感動してしまった。スペシャルで示した百年後の未来につなげたのもいい。こういうエピローグのしっかりした終わり方は、個人的に好きだ。
ネクスト戦記ＥＨＲＧＥＩＺ（テレビ東京系 毎週水曜深夜１時１５分、１２月２４日放映終了）
絵 ★★★☆☆
キャラ ★★☆☆☆
ストーリー ★★★☆☆
知性を持つＭＶ「Ｓ」（ソック）の捕獲のため、同盟軍のアオイ大佐と革命軍の指導者ハルは、それぞれＮＥＸＴ７の住人に対し引き抜きをはかる。バラバラになるジェイたち。同盟軍のＳ捕獲作戦中、乱入してきた地球革命軍との間で戦闘が起き、そこでジェイたち元ＮＥＸＴ７の住人が再び集結する。そして自我を持ったＭＶ「Ｓ」に対し、最後の攻撃をしかける。
序盤はわけわかめな展開だったが、革命軍がＮＥＸＴ７の住人と接触をはかるころから話が「Ｓ」捕獲を焦点にひとつにまとまり、最近の作品にしては余計な心理描写もなく分かりやすくなった。それだけに序盤のバラバラな展開が残念である。余談だが、後番組のＡＷＯＬの第１回も分かりにくく、ｅｔ原作の作品はよっぽど序盤を複雑化させるのが好みらしい。
エルフを狩る者たちII（テレビ東京系 毎週水曜深夜１時４５分、１２月２４日放映終了）
絵 ★★★★☆
キャラ ★★★★★
ストーリー ★★★☆☆
査問委員会の公認を得たとはいえ、所詮は招かれざる客である淳平、愛理、律子、セルシアの「エルフを狩る者たち」。いろいろな場所で異次元人であることを自覚させられる。ツリータウンにて魔物封印維持の生贄にささげられそうになるが、その封印が解けてしまい伝説の魔導士が復活してしまう。再び伝説の魔導士を封印するために彼らは立ち上がる。そして魔導士を退治した時……
ノー天気なおバカ話がメインだった「エルフ２」だが、シリーズ後半で「所詮は異世界人である」ことをテーマに持ってきたため、話が少々重くなったきらいがあるのが残念である。小難しい理屈は要らない、確信犯的なおバカがウリなのだから、もう少しふっ切ってしまった方が良かったと思う。しかしながら、剥ぎ取り御免の復活は嬉しい。
ＶＩＲＵＳ（テレビ東京系 毎週木曜深夜１時１５分、１２月１８日放映終了）
絵 ★★★★★
キャラ ★★★☆☆
ストーリー ★★☆☆☆
静止衛星軌道上にある、全てのウィルスの発生源でもある人工衛星に赴き、破壊しようとするサージ。彼は唯一、そこに到達し、破壊しゆることが可能な人間だった。新設された委員会やレイヴェンの制止を振り切り、サージは宇宙に赴く。そこには、ブラック・バレンタインの真実が隠されていた。
カッコ良さを徹底的に追求したという話があるように、キワモノではあるけれど、絵や動きのレベルは優れている。ただ、肝心のストーリーの方が、すぐ精神世界モドキの方に言ってしまうのは勘弁して欲しかった。確固たる世界観があってこそ精神世界の問答も冴えてくるのであり、世界観の詳しい描写もなしにえんえん精神攻撃かけられても話についていけない。特にＶＩＲＵＳは世界観や対立構造がただでさえ分かりにくいので、まずそちらの方から分かりやすく描写して欲しかったと思う。
マスターモスキートン’９９（テレビ東京系 毎週火曜夜６時１５分、放映中）
絵 ★★☆☆☆
キャラ ★★★☆☆
ストーリー ★★★☆☆
サンジェルマンの攻撃を受け、イナホをさらわれたモスキートン。ヒトメボレ家の血筋には強大な力が秘められているのだ。イナホ救出に向かうもののサンジェルマンには歯が立たないモスキートンは、イナホの血を吸ってパワーアップしてサンジェルマンを退ける。しかし強大なパワーの前に自我を失ったモスキートンは、イナホ自身の手で灰に返されてしまうが。
物語中盤のクライマックスなのに、絵も動きもヘナチョコで演出的にもそれほど目立っていないという印象を受けた。もう少し演出に力を入れて、モスキートンがやむなくイナホの血を吸うというシーンの説得力を付けて欲しかった。その後の展開も力が入っていなかったように思われ、返す返す残念である。
るろうに剣心─明治剣客浪漫譚─（フジテレビ系 毎週火曜夜７時３０分、放映中）
絵 ★★★★★
キャラ ★★★★☆
ストーリー ★★★★☆
志々雄真実と対決し、その野望を退けた剣心たち。しばらくは東京に戻ってやっていたが、京都の御庭番衆から再び連絡が入る。飛天御剣流を使う剣士・天草翔伍を中心とした隠れ切支丹たちが島原で再び蜂起し、日本を転覆させようというのだ。島原へ向かった剣心たちは、そこで傀王という男の野望に接触する。
京都編のクオリティは高く、原作の雰囲気を１０倍にして表現してくれたという感じがしてよし。アニメオリジナルの短編や島原編はそれに比べると見劣るするのは否めない。ただし、島原編はそれでも出来が良い方であり、高い評価を与えても良いと思う。余談だが、ポケモン騒動の余波でオープニングの点滅が問題視されたのか、そのシーンの画面が止められたのは残念としか言いようが無い。
吸血姫美夕（テレビ東京系 毎週月曜曜深夜１時１５分、放映中）
絵 ★★★★☆
キャラ ★★★☆☆
ストーリー ★★★☆☆
同じ神魔狩りでありながら、その方針からなにかと対立する美夕と冷羽。西洋神魔ガーリンネの日本侵攻に対し、神魔梁と那海の手を借りて迎え撃つ両者だが、冷羽が梁と那海まで始末したことから両者のいさかいは表面化する。
実は私は、冷羽の登場にはいささか疑問を感じていた。冷羽の登場により、美夕が良識派っぽく描かれることが多くなっているからである。実際の美夕は決して良識派でもなんでもなく、自分なりの主義に基づいて動いているだけであり、けっこう残酷な面も多い。また人間に無害な神魔をどうするかという側面もでてきた。神魔は邪悪だから神魔であり、邪悪でなくなったらすでに神魔じゃなくなっていると思うのだが。
Ｄｒ．ＳＬＵＭＰ（フジテレビ系 毎週水曜夜７時、１１月２６日放映開始）
絵 ★★★★☆
キャラ ★★★★☆
ストーリー ★★★★☆
ペンギン村の（自称）天才科学者、則巻千兵衛が御手伝いさんロボットを作ろうとしたが、出来たのはちんちくりんな少女型ロボット、則巻アラレだった。言動は無邪気だがパワーと頑丈さだけはケタ違いに大きいアラレと、原始時代から拾ってきた天使のガッちゃんたちが巻き起こす騒動で、ペンギン村は今日もお祭り騒ぎである。
１２年前終了した「ドクタースランプ アラレちゃん」のリメイクであるが、確かに今風に作り替えられている。しかしながら、同じ原作からエピソードを持ってきているため、わずか１２年でリメイクしてまで表現しなおしたいものが何かがまだ見えてきていない。レタスを用いたフルＣＧによるアニメ画像は、多少違和感があるもののなかなかレベルが高くまとまっていると思う。
初出：'98/01/14 http://www.3web.ne.jp/~junhelm/talk/anime_02.htm
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