ここから先は、問題編（前編）４本を解いた後の私なりの解答です。ネタバレがいっぱいであるため、ネタバレを気にする人は戻ってください。

富竹が殺されたのはなぜか？
・綿流し編の展開から、オヤシロ様の祭具殿に侵入したからと推測できる。
・その場合後述するように、園崎家は祭具殿に監視カメラ等の防犯装置を設置していたと断定できる。よって二人の侵入はバレバレだった。
・鬼隠し編２５日に注射器を取り出した時の魅音の台詞から、富竹の死因が注射器による薬物の注入であり、少なくとも魅音とレナはそれを承知していたと断定できる。
・園崎家は御三家の事実上の筆頭であり、さらに暴力団を抱えているため、複数犯がいたという状況にも一致する。
・ただし、本当に祭具殿の侵入が富竹殺しの原因だとすると、鬼隠し編において梨花が殺されなかったのはおかしい。梨花は少なくとも２４日まで登場していた。綿流し編では祭具殿の鍵を簡単なものに付け替えて賊の侵入を許した責任を問われ、拷問死したところからすると、鬼隠し編で２４日まで生きていたことはおかしい。圭一たちが侵入を許していない祟殺し編でも２２日朝にはもう腸を引き出されて殺されたところからすると、賊の侵入が４人ではなく２人だから罪が軽く見做されて見逃されたと考えるのも不自然である。
・さらに暇潰し編において、梨花は自分が殺されることを予言している。各シナリオでは背景設定は変わらないという公式見解があるため、鬼隠し編でだけ梨花が殺されなかったのはどう考えても不自然である。
・したがって富竹殺しの動機が祭具殿の侵入だったとしても、鬼隠し編と綿流し編、祟殺し編における犯人の行動には明確な行動原理の違いがある。

鷹野が殺されたのはなぜか？
・綿流し編の展開から、オヤシロ様の祭具殿に侵入したからと推測できる。
・ただし綿流し編、祟殺し編では岐阜県で焼死体で発見されたにも関わらず、鬼隠し編では最後まで行方不明扱いである。この違いの理由は不明。
・さらに祟殺し編においては、鷹野は富竹が殺されたことを承知している節がある。それどころか、富竹殺しを匂わせる描写がある。
・おそらく鷹野は祭具殿侵入によって、自分が命を狙われることを想定していたと思われる。そこで富竹を囮に使い、自分は失踪という形で姿を消した。
・それでも不十分と考えてか、もう一つ遺体を用意した。それが岐阜県で発見された焼死体であり、鷹野は１８日に殺害した遺体を自分の身代わりにした。
・歯型の鑑定と言う問題があるが、鷹野は看護婦であり、村内に病院は入江診療所しかない。おそらくカルテの改竄をおこなったと考えられる。

悟史が失踪したのは何故か？
・祟殺し編の展開から、悟史が沙都子を守るために叔母を殺したのは確かである。
・悟史は鬼隠しも祟りも、村の秩序を守るための園崎家の裏であることを知らなかった。実行前、魅音に沙都子を託したのがその証拠である。
・しかしその後、叔母の死体が発見され、さらにその犯人として別件逮捕された麻薬中毒者が自白したという展開になった。それは園崎家の裏工作であったが悟史は疑問に感じた。
・さらにレナと魅音が豹変していったために追い詰められたと考えられる。オヤシロ様の祟りを騙った悟史のことは、オヤシロ様の祟りを盲信するレナの立場からも、村の秩序を守る魅音の立場からも放置してはおけなかった。それが鬼隠し編で述べられた悟史の変貌である。
・結果として追い詰められた悟史は、沙都子の誕生日に失踪せざるを得なくなった──と考えると、失踪当日に沙都子へのプレゼントを購入したらしい悟史の行動の理由が不明となる。
・悟史は追い詰められながらも、沙都子の誕生日だけは祝おうとプレゼントを購入して沙都子の前に向かった。しかしオヤシロ様の祟りに身に覚えのある沙都子自身が、叔母を殺してからの悟史の豹変に恐怖を感じ、圭一の時と同じように悟史は鬼に憑かれたと勘違いしてしまった。結果、悟史は沙都子に何らかの形で、おそらくは鬼ヶ淵沼に突き落とされる形で殺されてしまった。

鬼隠し編において、レナと魅音が圭一の行動を把握していたのはなぜか？
・２２日に圭一が大石とレストランで会話していたことを魅音が知っていたのは、そこがエンジェルモードなら園崎の店であるから魅音に通じていてもおかしなことではない。
・２４日に偽装工作したにも関わらず、レナが前原母の不在と夕食のインスタントラーメンを把握していたことについては、レナと前原家の普段の付き合いから、留守中の圭一の世話を前原母がレナに託したと考えると不思議でもなんでもない。

鬼隠し編においてレナと魅音が言及した「監督」とは誰か？
・祟殺し編で判明。入江診療所の医師、入江のこと。少年野球チーム「雛見沢ファイターズ」の監督を努める。
・圭一は「医者」の他に「監督」も呼んだのかと驚いていたが、医者＝監督である上に金属バットの素振りについて語られていたので、話の流れ的におかしなところはない。
・ただし、その入江（監督）が大人４〜５人と白いワゴン車でやってきたことから考えると、連続怪死失踪事件に（少なくとも富竹殺しには）関わっていると思われる。

鬼隠し編において、圭一が命を狙われたのはなぜか？
・鬼隠し編を読む限りでは、大石を通じて雛見沢の暗部に近づいたからと推測できる。
・レナと魅音はその点においては共犯関係にある。ただしその行動原理においては大きな違いがある。
・レナは作中で示されているとおり、オヤシロ様の祟りを盲信している。大石をオヤシロ様の使いと述べていたのもその表れである。したがってオヤシロ様からの命令（電波？）があれば、たとえ親友が相手でもその指令を実行する狂気がある。そのレナの目からすると、大石を通じて雛見沢の秘密を晒そうとする圭一の言動はオヤシロ様に対する冒涜となる。
・一方魅音は、綿流し編において自分が鬼であることは肯定しているが、オヤシロ様の存在は否定している。園崎家の立場からすれば、鬼隠しも祟りも村の秩序を守るための手段となる。したがって大石に協力する圭一の態度は、村の秩序を破壊する行為ということになる。
・魅音は園崎家の重鎮であるため、圭一が村人に襲われたのは園崎家の意向と考えられる。

鬼隠し編において、圭一のメモが破かれていたのはなぜか？
・前原屋敷内に侵入した男達の仕業である。少なくとも入江は関与している。
・医者である入江は富竹殺しに注射器と薬物を提供していた可能性がある。その彼にしてみれば、証拠の品である注射器は残してはおけなかった。
・圭一は注射器をメモとともに壁時計の裏に貼っておいた。したがって注射器を発見すれば、当然メモも発見することになる。入江はメモのうち、都合の悪い部分だけを切り取った。
・しかしそれならば、なぜメモを全部処分しなかったかという謎が残る。圭一に殺されたレナや魅音についてはメモを残しても構わないと考えたのか。

綿流し編において、魅音はなぜ沙都子を「呪われた子」と言ったのか？
・祟殺し編で判明。沙都子は祭具殿に侵入して中の拷問具やオヤシロ様の像を破壊したことがある。その結果、沙都子の両親と叔母、悟史が怪死・失踪したと沙都子は考えていた。
・従って綿流し編において、沙都子が梨花の鬼隠しに巻き込まれたと考えるのは間違いである。魅音にとっては、沙都子もいつかは粛清するべき対象だった。
・ただし、本来の管理者である古手父は祭具殿の侵入犯を梨花と考えていた。なぜ魅音が侵入犯を沙都子と知っていたかが謎となる。
・園崎家はオヤシロ様の存在を否定しているため、オヤシロ様の天啓によるものとは考えにくい。おそらくは古手家にも内緒で祭具殿に防犯装置を備え付けていたと思われる。

綿流し編において、レナはなぜ豹変しなかったのか？
・鬼隠し編と祟殺し編においては、レナは魅音とともに圭一にプレッシャーを与えている。しかし綿流し編においてだけ、レナが豹変しなかった。
・理由の１つはおそらく、祭具殿の侵入犯が圭一を含めた４人だからだと推測できる。圭一までも処罰する必要が生じた魅音は、レナに黙って園崎家だけで祟りを行うことにした。
・また魅音が梨花を鬼隠ししたのも問題である。オヤシロ様を盲信しているレナにとって、オヤシロ様の生まれ変わりと見做されている梨花に手を出すことは信仰上の禁忌である。またオヤシロ様の生まれ変わりである梨花がオヤシロ様の祟りにあうとはレナとしても考えにくい。
・従って綿流し編においては、レナは魅音と共犯関係にはならなかった。そのためレナが豹変する必要もなかった。

綿流し編において、鷹野と魅音の死亡推定時刻のずれは何か？
・１９日に焼殺されたはずの鷹野の死亡推定時刻は１８日である。また、２８日に圭一を刺したはずの魅音の死亡推定時刻は２３日である。
・鷹野に関しては前述したとおり、身代わりの遺体をたてて失踪したものと思われる。
・魅音に関しては不明。警察の鑑定が正しいなら、魅音か詩音のどちらかは２３日に死亡したことになる。ただし魅音の背中には鬼の刺青があることが判明しているため、警察がそれを見逃すとは考えにくい。
・従って２３日に死亡したのは“背中に鬼の刺青のある”魅音である。
・ただしそれが、２８日に現れた、鬼と化した魅音であることは保証しない。２８日に現れたのは“背中に鬼の刺青のない”魅音である可能性が高い。それは当然、魅音から逃げるため隠れ家を転々としていた詩音と同一人物ということになる。
・しかしそれは、必ずしも園崎姉妹共犯説を意味しない。魅音は詩音を数日にわたって監禁していた。その間に詩音の背中に鬼の刺青を彫り、いざというときの身代わりとして地下井戸の逃げ道へ突き落とし、そして自分は詩音として、魅音に怯えて逃げ隠れしていた演技をしていた可能性もある。ただしその場合は、転落死した詩音の背中にも鬼の刺青があることになり、それを警察が見逃すとは思えない。
・そこで双子トリックの常として、入れ替わりをおこなっていた可能性もある。魅音と詩音が立場を交換し、鬼の刺青を彫ったのは実は詩音だったというケースである。その後立場を元に戻したが、これは園崎家にも秘密であり、魅音と詩音しか知らない。魅音が詩音に対して立場が弱かったのは、そのときの借りがあったからである。つまり仲良しグループのリーダー格である魅音は“背中に鬼の刺青のない”魅音だったことになり、やはり“背中に鬼の刺青のある”詩音を地下井戸に突き落としたことになる。幸いにもレナがとめてくれたため、“背中に鬼の刺青のない”姿を晒さずに済んだということになる。

祟殺し編において、圭一に殺されたはずの北条鉄平はなぜ生きていたのか？
・実は１９日の殺害以降、北条鉄平がストーリーに直接登場したことはない。２０日以降の生存確認は全て沙都子の証言と状況証拠のみであり、圭一自身は生きている北条鉄平にあったことはない。
・ではなぜ沙都子は鉄平がずっといるようなことを言っているかという疑問が残る。沙都子はストレスのあまり、常に鉄平の姿に怯えるようになってしまった。そのため実際には鉄平がいなくても、ストレスのあまり鉄平の存在を感じてしまったのだろう。

祟殺し編において、北条鉄平の遺体が消えていたのはなぜか？
・これは圭一が掘り返す場所を間違えたからである。
・圭一はあらかじめ鉄平の遺体の埋葬場所として穴を用意していたが、鉄平の逃走によって実際の殺害場所はその穴の場所から離れた場所になった。そこで改めて殺害場所の近くに穴を掘って遺体を埋めたあと、最初に掘った穴を改めて埋めなおし、そこにランタンを残した。圭一が掘り返したのは最初の穴である。

祟殺し編において、いなかったはずの圭一が綿流しの祭りにいたのはなぜか？
・暇潰し編において、雛見沢では白昼堂々と傷害事件が起きても完全犯罪が成立するとある。村の敵に対しては、たとえ殺人事件が起きても実行犯を村中全員で庇うという風習があることが言及されている。
・つまり村の敵である北条鉄平を殺害した圭一を庇うため、村中みんなが共同で圭一を庇って作ったアリバイが、もう一人の圭一である。

祟殺し編において、レナと魅音が豹変したのはなぜか？
・アリバイを作ったとはいえ、圭一自身は村の事情を良く知っているわけではない。またレナにとっては、オヤシロ様の祟りを騙った圭一の事件はオヤシロ様信仰への不遜とも言える。
・従って圭一の不用意な言動を封じるため、レナと魅音が警告したのが２０日の豹変である。

祟殺し編において、入江（監督）が睡眠薬自殺したのはなぜか？
・鬼隠し編、綿流し編においては入江の自殺には全然言及されておらず、また鬼隠し編においては少なくとも２５日まで入江らしき存在が確認されている。
・従って入江の睡眠薬自殺は、祟殺し編のみの事情となる。
・富竹殺しの薬物と注射器を提供したのはおそらく入江であり、入江はおそらく園崎の仲間である。
・鬼隠し編と違うのは圭一が北条鉄平殺害を打ち明け相談したことと、鷹野の失踪が焼死体となって発見されたこと。および２１日に梨花が殺害されている事実である。
・入江は圭一に鉄平殺害後の生存を相談された後、大石より電話を受けている。その後大石が圭一の穴を掘り返している現場を訪れたことから判断すると、圭一の相談事を大石に打ち明けたのは入江だと思われる。それは村ぐるみで圭一アリバイを用意した魅音にとっては裏切りにも等しい行為であり、そのため入江は睡眠薬自殺を装った粛清を受けた。

祟殺し編において、大石車が失踪したのはなぜか？
・他に言及している箇所がないため、大石が失踪したという事実しか分からない。
・大石の失踪は圭一に穴を掘らせた後に失踪している。おそらく鉄平殺害の事件を暴かれるのを防ごうとした園崎の刺客が失踪させた可能性が高い。

祟殺し編において、梨花が殺されたのはなぜか？
・綿流し編の展開と同様、祭具殿への賊への侵入を許したためだと考えられる。
・圭一が断ったため、“宝探し”に行く必要のなくなった魅音が一人暮らしになった梨花を誘い出して殺害したものと思われる。
・ただしこの場合、鬼隠し編で梨花が見逃されている理由が弱くなる。おそらく鬼隠し編では沙都子と二人暮しだったから誘い出しにくかったのかもしれない。

祟殺し編において、雛見沢大災害が起きたのはなぜか？
・暇潰し編ではオヤシロ様の生まれ変わりである梨花が惨殺されたからだと言及されているが、それでは綿流し編で雛見沢大災害が起きなかった説明がつかない。
・原因は鬼ヶ淵沼で発生した火山性有毒ガスによるもの。
・祟殺し編だけで起こった出来事として、圭一が鉄平のバイクと悟史のバットを鬼ヶ淵沼に沈めたことがある。おそらくバイクのガソリンが鬼ヶ淵沼のガス溜まりに到達し、誘爆してガスを吐き出させたものと推測できる。
・またガスの通り道で気を失っていた圭一が死亡しなかったのは、実際のガスの噴出し口がもっと下流にあったからだと考えることも出来る。鬼ヶ淵沼でもガスは一応吹き出ていたが、それは致死量には達するほどではなく、実際の噴出し口は雛見沢村内にあったからではないだろうか。

暇潰し編において、大石が生き残っているのはなぜか？
・大石の語る事件経過より、暇潰し編における５年目の祟りが祟殺し編を基にしているのは確実である。
・しかし祟殺し編では失踪しているはずの大石が昭和６０年でも生存しているはずがない。従って大石は失踪の難を逃れたことになる。
・失踪当日、大石は腹を壊していたために難を逃れたとある。おそらく圭一の穴の掘り返し現場にも居合わせず、その後の大石車の失踪にも関わらなかったのだろう。

暇潰し編において、梨花がした予言は予告か？
・昭和５３年の段階で連続怪死事件の詳細を説明していることにより、大石は連続怪死事件を計画殺人と断じている。
・しかしその説明だと、梨花が赤坂の妻の死を予告したことの説明がつかない。赤坂の妻の死は偶発的な事故であり、これを梨花が予告するのは無理がある。
・また梨花はダム工事の中止も予言しているが、これを予告とすると犬飼寿樹誘拐事件とその裏にある鬼ヵ淵死守同盟についても知っていたことになる。さすがに当時十歳未満の児童にこれを知らせるのは、いかに雛見沢の老人が梨花を生き神様と崇めていた事実を考慮しても無理がある。
・なお梨花がしていた予言は４年目までは正確だが、５年目では自分が殺されることしか言及していない。どのシナリオでも必ず殺される富竹と鷹野には言及していない。従って予言ではなく予告だとしたら、富竹と鷹野の死は当初の計画にはなかったことになる。
・また梨花は、赤坂が無事雛見沢を生きて出る確率は低かったと述べている。これは予告とするのは無理がある。
・おそらく梨花の正体は、リプレイヤーである。オヤシロ様の生まれ変わりというのは、生まれてから自分が殺されるまでの経験をもったまま同じ時を生きることを何回も（おそらく８回）繰り返しているからである。
・それならば梨花がダム計画の中止を予言したり、赤坂の妻の死を予言したことも説明がつく。また母親が教えてない料理の仕方を知っていたことも説明がつく。４年目までの祟りを予言できたのも、既に何回か経験していたことだからである。
・また梨花が雛見沢大災害に言及しなかったのも、その事件が自分が殺されてからだったため起きることを知らなかったからだとすれば説明がつく。
・ただしこの説明では、５年目の富竹と鷹野の死に触れなかった説明がつかない。綿流し編では富竹の死に言及していたため、富竹と鷹野の死を知らなかったわけではない。
・作中にあるとおり連続怪死失踪事件の予言の目的が赤坂への助けだとしたら、敢えて富竹と鷹野の死に触れなかった可能性もある。