葉鍵板最萌トーナメント２回戦Round95!!

419 名前：名無子投稿日：02/01/13 22:50 ID:WN/6re8e

＜南さんの思い出＞　そにょ１

「南さんって、どうしてこみパのスタッフをやってるんですか」
　南さんと喫茶店でお茶している時、俺はふと思いついて南さんに尋ねた。
「えっ？」
「そんなにマンガが好きなら、自分で書いた方が絶対楽しいですよ」
「ええ、そうですね。しかし私はマンガを描くよりも、みんなが面白いマンガを描くのを支えてあげる方が好きなんです」
　まったく、南さんらしい答えだ。
「ふふふ、和樹さん。私も昔は、マンガを書いていた時期があったんです」
「え、そうなんですか」
「ええ、あれは私が高校の時……」
　そう言うと、南さんは高校時代の思い出を語りはじめた。


　あれは私が高校の時です。
　私は昔からマンガが好きでしたが、実家が長野ということもあってなかなか同好の志も見つからず、一人でマンガを読んでいました。
　しかし高校で、一人の先輩に出会いました。
　先輩もまた一人でマンガを描いていたのですが、私とマンガを通じてすぐ知りあい、一緒にマンガ同好会を作ったのです。
　二人だけの同好会。学校側は部活として認めてくれませんでしたが、私たちはそれでも充実した活動を続けていました。

420 名前：名無子投稿日：02/01/13 22:50 ID:WN/6re8e

＜南さんの思い出＞　そにょ２

　当時、『セメント☆矢』というアニメが流行っていました。
　ええ、そうです。アテナプロレスに所属する８８人のプロレスラーたちが、セメント・マッチで技を競うという話です。
　後半部になると、プロレス最強神話を守るために外部団体と異種格闘技戦を行なうという展開で、どんどん熱くなっていきましたね。
　『☆夜』にはまった私たちは、よくそのパロディマンガを描いていました。
　しかし先輩の添削は、とても厳しいものだったんです。
『先輩！　☆矢とヒロインのさおりんさんとのラブラブ・ストーリー描いちゃいました！』
『……だめね、南。何度言ったら分かるの』
『え、先輩。どこがダメなんですか』
『さおりんなんかただのワガママ女よ。☆矢の相手はヘロイン・蛇部と決まってるの』
『え、どうしてそんなマイナーキャラを……』
『南はまだパロディのなんたるかを分かってないようね。私の『病河×ガム』本でも読んでもう少し勉強しなさい！！』


「……わたしはその時、マンガの世界の奥深さを思い知らされたのです。とても私では極められないって」
「……そうだったんですか」
　南さんから語られた意外な過去話に、俺はうなずくしか出来なかった
「しかしこんな私でも、あの時の先輩のようなすばらしいマンガを描く作家さんたちのお手伝いが出来ればと、今の仕事についたんです」
　そういって、南さんは俺をじっと見つめた。
「だから和樹さん、期待してますよ」
「あ、そうだ。《葉鍵板最萌トーナメント》で<<南さん>>に投票しとくの忘れてたよ。すぐ投票しなくちゃ」
「き・た・い・し・て・ま・す・わ・よ」
「………………………………………はい」
　俺はそう答えるしかなかった。