葉鍵板最萌トーナメント２回戦Round97!!

47 名前：名無子投稿日：02/01/16 01:07 ID:GltdzuZn

＜鶴来屋会長との取材光景＞　その１

「失礼します。月刊レディジョイの相田響子です」
　　　　──（ふう、遅れちゃったわねえ）
「いらっしゃいませ。鶴来屋の会長職を務めている、柏木千鶴です」
　　　　──（こちらは忙しいっていうのに、どういう了見かしら）
「遅れてすみません。間違えて実家の方を訪れていたもので」
　　　　──（あんたが間違った住所を教えたせいでしょうが！）
「そうでしたか。それはご足労さまです」
　　　　──（ちょっとしたお茶目な間違いじゃない）
「それでは今回は事前に提出した企画書どおり、『温泉街の美人経営者・柏木千鶴の秘密に迫る』という方針でインタビューを進めたいと思うのですが」
　　　　──（ま、ここは我慢ね、我慢）
「あら、美人だなんて。照れちゃいますわ」
　　　　──（当然ね。もっと言って、もっと言って）
「やはり柏木さんのように若くして後を継ぎますと、周囲のものからのやっかみの多いでしょう？」
　　　　──（でも、胸はわたしの勝ちよね）
「そんなこともありませんわ。確かに会長職一年生で至らないところも多いのですが、社長の足立を始めとして、社員の皆さんがわたしを支えていてくれています」
　　　　──（なに、意味もなく胸をそらして。わたしに当てつけてるつもり！？）
「今回のインタビューは特にその辺りのことについて詳しく尋ねようと思っています」
　　　　──（この手の名前だけの会長さんはちょっと厳しく突っ込んでやれば、ボロを出して笑いが取れるのよねえ）
「ええ、なんでも尋ねてください」
　　　　──（わたしに恥をかかせようというつもりなのかしら。いいわ、どこからでもいらっしゃい！）


　相田響子の柏木千鶴インタビューは、終始なごやかな雰囲気で進められた。
　その間秘書室で待ち受けていた会長秘書は、会長室から流れ込んでくる極寒の冷気に、鳥肌が収まらなかったという。

48 名前：名無子投稿日：02/01/16 01:07 ID:GltdzuZn

＜鶴来屋会長との取材光景＞　その２

「それでは、今日はこれで失礼します。どうもありがとうございました」
　　　　──（成功ね。このインタビューはきっと読者の笑いが取れるわ）
「お疲れさまです」
　　　　──（まずいわ、あのインタビューが全国紙に載ったら、わたしの薄幸の美人経営者としてのイメージが台無しになってしまうわ！）


「秘書Ａ！　いますぐシークレットラインをわたしの言う電話番号に繋ぎなさい。
　──もしもし、柳川さんね。
　──わたしは誰ですかって。それはあなたには関係ない話よ。
　──ふふふ。いくらあなたが警察官でも、このラインは逆探知できないわよ。もっとも、逆探知できたらの話ですけどね。
　──良い話があるのよ。生きの良い女の獲物がいるとしたら、どうする。
　──ごまかす必要は無いわ。あなたの正体、こちらは知っているのよ。
　──あなたもそろそろ命の炎を狩りたくなる頃合いじゃないの。
　──あら、とぼけてもいいのよ。ところであなたの友人の、確か阿部貴之くんと言ったかしら、心神喪失に陥って一人で部屋に閉じこもっていたのじゃないのかしら。
　──あら、私はあなたの友人の話をしているだけよ。
　──そうそう、人間素直が一番よね。
　──話は簡単よ。わたしがあの女を公園に誘い出すわ。そこであなたは待ち伏せすればいいの。
　──交渉成立ね。それでは明日、午後５時に駅前の公園で。
　──そうね、せいぜい綺麗な命の炎を咲かせておあげなさい。それじゃあ切るわよ。
　く、くくく。
　愚かね。明日はあの女ともども、一緒に始末してあげるわ。それじゃあ相田響子さん、せいぜい残り短い人生を楽しんでおきなさい」


　痕の舞台裏で、このような熾烈なやりとりがあったことは全く記されていない……。