葉鍵板最萌トーナメントブロック準決勝Round112!!

303 名前：名無子投稿日：02/01/30 22:45 ID:jVjxmOe8

＜大丈夫な猫＞　その１

「ねこー、ねこー」
「どうした、名雪」
「あそこに猫がいるー」
「ああ、あの三毛か。って、お前、猫アレルギーじゃなかったのか！？」
「あれは大丈夫な猫だよー」
「何の根拠があって言ってるんだ」
「大丈夫だよ、ほら。ちちち……」

　　　　にゃ〜〜〜。

「ほーらほら、だっこ〜〜〜」
「……本当だ。名雪が触っても涙がポロポロでない」
「そうだ、祐一。この猫飼おうよ」
「どうしてそうなるんだ」
「だって、あたしが触ってもアレルギーが出ない猫なんだよ。これは神さまがあたしに飼えと言ってるに決まってるよ」
「断言するな。まあ秋子さんに聞いても結果は分かっているけどな」

　　　「了承（１秒）」

「ほら、１秒で了承されてしまった」
「わーい。じゃあ、この猫、なんて名前にしよう」
「まねき猫にちなんで、『大福』なんて名前はどうだ？」
「そんな甘くて潰れたような名前はダメだよ〜。『ストロベリー』ってのはどう？」
「そっちこそ、あまり変わらんぞ」
「う〜、さっきからこの猫、ボールにじゃれついているから、『たま』という名前はどうかなあ」
「いいんじゃねえか。よし、今日からお前は『たま』だ」

306 名前：名無子投稿日：02/01/30 22:45 ID:jVjxmOe8

＜大丈夫な猫＞　その２

　ふふふ。
　今日はもう夜です。
　名雪も祐一さんも、朝までぐっすりです。
　名雪ったら、さっきはいきなり猫を連れてきたときにはびっくりして（ほんのちょっと）返事につまりましたけど、あの猫はただの猫ではありませんでした。
　ええ、わたしには一目でわかりました。名雪が触っても猫アレルギーを引き起こさない猫の正体が。
　あの猫は１００年以上生きた猫叉ですね。
　それに気付いて了承（１秒）したのは、これを試したかったからです。
　わたしの自信作のジャムを。
　ジャム作りはわたしの得意料理なのですけど、名雪も祐一さんも、なぜかこのジャムだけは味見すらしてくれません。たまに食べても、顔色が真っ青になってしまいます。
　わたしにはとてもおいしいと思えるのですけど、もしかしたら名雪たちは実は味音痴なのかもしれないという疑念がずっとありました。
　しかし『たま』なら、きっと大丈夫でしょう。
　なにしろ、１００年以上生きた猫叉ですから生命力も半端ではないはず。
　きっとおいしく、最後まで食べてくれるはずです。
　さあ『たま』ちゃん、おいしいジャムつきのパンですよぉ。

　　　　ひぎゃああああああ・・・・・・・

　翌朝。
「お母さん、『たま』ちゃん、どこ行ったか知らない」
「昨夜、うちからでていってしまったけど」
「祐一、『たま』が出ていっちゃったよー」
「名雪、《葉鍵板最萌トーナメント》で<<名雪>>に１票って書いておくから、もう泣くな」
「そんなー、やだよぉ。『たま』〜、『たま』ぁ〜」
「本当にあの猫が好きだったのね、名雪」