葉鍵板最萌トーナメント!! 準々決勝 Round151!!

380 名前：名無子投稿日：02/02/25 08:17 ID:HLmYixDF

＜あかりの料理チャレンジ・フランス料理編＞　その１

「ふわー、腹減った」
「もう、浩之ちゃんたら。朝ご飯食べてるの」
「いいや、食べてねえ」
　学校の登校中、いつものように眠たげな浩之ちゃんと、またいつものようなやりとりをした。
「もう、浩之ちゃん。朝食はちゃんと摂らないといけないよ」
「といってもなあ。朝はいつもギリギリだし」
「そういう場合は、お菓子に牛乳で間に合わせるだけでも十分違うんだよ」
「んあー」
　半分眠ったような声で返事をする。本当に浩之ちゃんたら、あたしの言うこと聞いているのかな。
「その調子じゃ、夕ご飯もろくに食べてないんでしょう」
「いいや、晩飯はさすがに食ってるぜ」
「それで、何食べてるの」
「そりゃ、コンビニのお弁当とか、色とりどりのカップ麺とか」
　はあああ。分かっていたけどしょうがないなあ、浩之ちゃんは。
「こりゃ」
「きゃっ」
　ああん、いきなり浩之ちゃんにチョップされたよお。
「お前、今オレのことしょうがないなあと思っただろ」
「うん、このままじゃあ浩之ちゃんが栄養失調で死んでしまうかもしれないし」
「おいおい、失礼な奴だな」
「そうだ、今晩あたしが料理にいってあげる！」
　それはあたしの思いつきだった。
　といっても特別な思いをこめていったわけじゃない。料理が得意だったあたしは、一人暮らしの浩之ちゃんの家によくお料理をしに行ってあげているのだ。
「お、そうか、それはありがたいな」
　だから浩之ちゃんも、今さらそれが特別な行為だとは考えてもいないだろう。

381 名前：名無子投稿日：02/02/25 08:18 ID:HLmYixDF

＜あかりの料理チャレンジ・フランス料理編＞　その２

　だが浩之ちゃんは、とんでもないことを言い出した。
「しかし毎回毎回和食とか洋食とかだと飽きるよなあ。今度はフランス料理が食べたいよな」
「ふ、フランス料理〜？」
　フランス料理って、あのフランス料理？　世界三大料理の１つの（あと２つは中華料理とトルコ料理だ）。
「おう、たまにはいいだろ」
「たまにはって、あたしそんなの作ったことないよ」
　あたしは料理が得意だといっても、それは家庭料理での話しだ。本格的なフランス料理なんて習ったこともない。
「あかり、頑張れ」
　浩之ちゃんはあたしの肩をポンと叩いた。
「フランス料理なら何でもいいんだぞ。もしできれば、《葉鍵板最萌トーナメント》で<<あかり>>に１票って投票してやる。
「そんなこと言われても……」
　あたしは、浩之ちゃんの無責任な言葉に頭をかかえてしまった。

382 名前：名無子投稿日：02/02/25 08:18 ID:HLmYixDF

＜あかりの料理チャレンジ・フランス料理編＞　その３

「浩之ちゃん、お待たせ」
「おう、あかり。まああがれや」
　夕方、料理の材料を買いおえたあたしは、浩之ちゃんの家にやってきた。
「……で、あかり。オレに何を食わせるつもりだ」
「ふふふ。浩之ちゃんご所望の、フランス料理だよ」
「何！？　本当に本当か。冗談のつもりだったのに」
　冗談であんなこと言わないでよ。
「それじゃあ、浩之ちゃん。始めるよ」
　そういうとあたしは、ピーマンや人参などの具材を切り刻んで加熱し、塩こしょうなどで味を整えると、買ってきたフランスパンをスライスして具材を乗せて、オーブンで加熱した。
「はいどうぞ、浩之ちゃん」
「……おい」
「なに、浩之ちゃん」
「これのどこがフランス料理なんだ」
　浩之ちゃんがジトめであたしを睨む。
「フランス料理の世界は奥が深いのよ。フランスパンをスライスして具材を乗せたものをオーブンで焼き上げると、『カナッペ』という料理になるの」
　これは本当の話。フランスの大衆料理よね。
「しかしなあ……オレが思い描いていたフランス料理とはだいぶ違うような」
「あー、フランス料理だったら何でもいいって言ってなかった？」
「分かった分かった、いただきます」
　そういうと、浩之ちゃんは食べはじめた。
　ぶい。今回はあたしの勝利だね。
「こりゃ！　今、オレに勝ったなんて思ってただろ」
　浩之ちゃんのでこぴんを食らった。