葉鍵板最萌トーナメント!! 決勝 Round173!!

375 名前：名無子投稿日：02/03/09 16:03 ID:irO7RMkE

＜梓の秘密＞

　柏木家の家事一切は、梓が取り仕切っている。
　炊事洗濯掃除の一切は梓が行なっているのだ。
　家長の千鶴と言えども、家事については梓に口出しできない。
「ほらほら、洗濯するから、洗い物だしとしてよ」
　そう言って、今日も梓は家事に精を出す。
　その日、梓は洗濯をしていた。
　女所帯の洗濯物であるため、当然干す場所にも気を使う。
　柏木家の二階に増設されたベランダに、ダミーの男物と混ぜて干しているのだ。
「……これは楓のだな。相変わらず胸がさみしいねえ」
「初音はブラを変えたのか。いつまでも幼いと思ってたけどな」
　柏木家のプライベートは、梓には筒抜けであった。
「……ところで千鶴姉のが無いけど、どうしたんだ？」
　千鶴の下着（胸）が洗い場に出されていないのを不審に思った梓は、一通り干し終わると千鶴の部屋に向かった。
「おいっ！　千鶴姉。洗濯が終わらねえから洗い場に下着出せよ……！　って、そうか、今日も仕事か……」
　梓は、千鶴の部屋に無断で入ってもいいと決めこんでいた。千鶴自身は認めていないが、普段ろくに掃除をする時間も無い千鶴の部屋を片づけるのも自然と自分の役割だと思っていたのだ。
「まったく、相変わらず汚い部屋だねえ。きちんと整理しとかないと」
　そういうと、口は悪いが根がお人好しな梓は部屋を片づけはじめた。
　そんな千鶴の部屋の片隅に、下着（胸）が干されているのが目についた。
「あーあ、千鶴姉。また隠れて自分で洗ったな。ネットも使わずに洗濯機に入れて……。それにしても、全然サイズが変わってないね。ま、分からなくもないけどさ、後で洗い直しだな」
　普段から胸のことで千鶴をからかっている梓は、これからは胸でからかうのをちょっと控えめにしようかなと今だけ考えていた。
　が、そんな梓のささやかな決心は意外なもので吹き飛んでしまった。
「あれ、これって寄せてあげるブラ……？　こっちは、つけるだけでバストアップができるブラ……？　ププ。千鶴姉、こんなものに頼ってたのかよ……。ははは、こりゃ洗い場に出せねえぜ！」
　思いっきり笑った梓は、千鶴姉をからかうネタがまた手に入ったと喜んでいた。
　こうして、梓はまた一つ千鶴の秘密を手に入れるのだ。
　柏木家のことで、梓にバレない秘密は無い。