葉鍵板最萌トーナメントブロック決勝Round142!!

354 名前：名無子投稿日：02/02/18 22:07 ID:X51jjwHo

＜ああっ綾香さまっ・お料理編＞　その１

　ある日綾香がやってきて、俺の願い事をひとつ叶えてくれると言ってきた。
　俺は、ずっと綾香と一緒にいたいと願った。
　その日から、俺と綾香は同じ屋根の下で暮らすことになったんだ。
　詳しい詳細は R91-522,523 ( http://210.224.181.90/denpa/tornament/2/round091.html#R522 )を参照してくれ。


　突然綾香がやってきたはいいが、綾香自身も家出は突発的な行動だったらしく何も考えていないところがあった。
「ねえ、浩之。食事はまだあ」
「台所にカップ麺の買い置きがあるからそれを食え」
「なーに、この家じゃあお客さまに食事の一つも用意しない訳ぇ？」
「誰が客だ誰が！　大体お前は俺が毎日きちんと食事を作ると思ってるのか」
「いいや、全然」
　あっさりと抜かしやがる。
「それじゃあ出前取りましょ、浩之。あたし一度世間の出前ってものに憧れてたの」
「……出前とるほどお金に余裕は無いぞ」
「大丈夫よ。あたしキャッシュカード持ってるから」
　そういって見せたのは超一流、来栖川銀行のプラチナ・メンバーズ・カードだ。これを見せただけで超一流ホテルが慌ててＶＩＰルームを提供すると言われるほどである。
　だが、やっぱり綾香はお嬢様だ。
「だめだな、そのカードは使えん」
「どうしてよ、浩之。お金はこちらが持つって言ってるでしょ？」
「綾香、出前でキャッシュは使えねえぞ」
「あら、そうなの？」
　意外そうな顔をして綾香は呟く。そこらへんはやはり世間知らずなのだろう。
「大体、お前のキャッシュカードなんて、家出した時点で止められているに決まっているだろうが」
「う……お爺さまならやりかねないわね」
「そういうわけだから、大人しくカップ麺でもすすっとれ」
「うーん、それならあたしが料理してあげよっか！？」

356 名前：名無子投稿日：02/02/18 22:07 ID:X51jjwHo

＜ああっ綾香さまっ・お料理編＞　その２

　綾香の突然の提案に、俺はめんくらった。
「料理ぃ？　お前がか？」
　思いっきり疑わしげな目線で、俺は綾香を睨んでやった。
「なによ、浩之。あたしが料理しちゃあおかしいわけ？」
「いや、別におかしくはないけどさ」
　家庭的な綾香が想像できなかっただけだ。
「大丈夫よ。料理なんて調理実習でやったことあるから」
　つまり、料理は趣味じゃないということなのね。
　だけど綾香の学校は一流のお嬢様学校でもある西音寺女学園だ。花嫁修業かどうかは知らんが、炊事・洗濯・裁縫などの家事についてはみっちり仕込まれていてもおかしくないだろう。
「……ふーん、これが浩之の家の台所ねえ。意外と整頓されてるんだ。あらあ、一人暮らしの割りには調味料がたくさんあるわねえ。一人で料理は作らないんじゃなかったっけ。ねえねえ、これってどういうこと」
「だあ！　どうでもいいだろ、そんな事」
　男の一人暮らしの割りには不自然に料理道具が揃っていることに、綾香の好奇心がそそられたようだ。興味津々という顔をしてやがる。
「ふ〜〜〜ん、そう言う事してくれる彼女が、いるんだあ」
「あ、あかりは彼女じゃねえぞ。ただの幼なじみだ」
「へえ、あかりちゃんて言うんだ。これはこれは、あたしも負けてられないわねえ」
　あ……、自爆。綾香の挑発に乗せられて、思わず口走ってしまった。
「それじゃあ、あたしも頑張りますか。ところで浩之？」
「なんだ」
「お米って、洗剤で研ぐんだっけ？」
「だああああ！　もういい、綾香。お前は料理をやらんでいい！！」
「え〜、どうしてよ、浩之？」
「お前、学校の調理実習で何を習ってきたんだ！？」
「あはは、よく考えたら家庭科の時間はいっつも抜け出していたっけ」
　結局、今晩の綾香の手作り料理はカップ麺になってしまった。
「カップ麺て、結構いけるわね」
　そうかな。おれは結構悲しい味がしてるぜ、綾香。