葉鍵板最萌トーナメント!! 準々決勝 Round154!!

206 名前：名無子投稿日：02/02/26 21:00 ID:ke4ZYvv6

＜ああっ綾香さまっ・ゲーム編＞　その１

　普通の高校生のオレのところに、ある日突然、綾香がやってきた。
　綾香は大財閥の令嬢なのに、オレに料理を作ってくれた。
　一人暮らしのオレには、それは涙が出るほど嬉しかった。
　詳しい詳細は過去ログの R142-354,356(http://210.224.181.90/denpa/tornament/4/round142.html#R522)を参照してくれ。

　夕食を終えてすることが無くなった綾香は、つまらなさそうにボヤいていた。
「はあ、退屈。ねえ浩之、何かなあい？」
「何もないぞ、テレビでも見とれ」
「いやーよ。この時間、つまらない娯楽番組しかやってないもん」
　綾香はどうも退屈なのが死ぬほど嫌いらしく、オレの周りをぶらぶらしていた。
　退屈なのが死ぬほど嫌いなのは分かるが、構って欲しそうにうろつくのは止めてくれ。
「あーあー分かった分かった。居間にゲーム機があるからそれで遊んどれ」
　そういってオレは、ＳＯＭＹ製のゲーム機とソフトを取り出した。
「へえ、これがゲーム機ってやつかあ」
「あれ、綾香ってゲーム機持ってないんか？」
「うん、わたしってこういうテレビゲーム、あまりやったことないのよ」
「へえ、学校帰りにアーケードゲームくらいやってそうに見えたんだけどな」
「普段は格闘技の訓練とかやってるし、テレビゲームじゃなくてもビリアードとか乗馬とか面白い遊びはいっぱいやってるしね」
　はいはい、ハイソな趣味ですこと。
「どれが人気のゲームなのかしら」
「だったら『スラクエ７』だな。シリーズ化されていて、この１本で４００万本も売れたって話だ」
「へえ、面白そうねえ」
「だだし、最後までクリアするのに１００時間はかかるぞ」
「なによ、それえ！？」
　さすがに綾香も躊躇している。
　それ以前に、綾香がロールプレイングゲームの退屈な作業に耐えられるとは思えないが。

208 名前：名無子投稿日：02/02/26 21:00 ID:ke4ZYvv6

＜ああっ綾香さまっ・ゲーム編＞　その２

「これなんかどうだ」
　そういってオレは、『ストライキファイターＶＳファイティングブレイカー』を取り出した。
「それって、どういうゲームなの」
「２Ｄ対戦格闘ゲームってやつだ。コマンド入力でお互いキャラを操作して、相手のライフを０にした方が勝ちだ」
「へえ、面白そう」
「特にこのゲームは、ＫＡＰＫＯＭとＲＭＪの人気キャラが勢揃いしたお祭り的ゲームだからな。キャラだって多いぞ」
　キャラ総数２８人の格闘ゲームは最近では多い方とは言えないが、ゲーム初心者の綾香にはこれだって多すぎる方だろう。
　オレだって、使いこなせるキャラはそうはいないのだ。
「ふーん、面白そう。やってみよ」
　そうして、オレたちは格闘ゲームを始めた。
「えいっ、やあっ、とおっ」
　コマンド入力を入力する操作に慣れていないのか、綾香はコントローラーに悪戦苦闘している。
　真・決裂拳！
「あーん、また『団体交渉拳』が『真・決裂拳』になったぁ」
　意味も無い
「あはははは、ほれ、今のうちに」
　小ジャンプパンチ、しゃがみ大パンチからの大蛇薙ぎコンボ！
　翔・Ｗｉｎ！！
「ははは、これでオレの５連勝だな！」
「ああーん、このゲーム、実際の格闘とは全然感覚が違う〜」
　綾香が拗ねてしまったようだ。
「そりゃそうだ。この手の対戦格闘ゲームは、自分と相手のキャラの特徴を覚えて、どの状況でどれだけ適切な技を繰り出せるかを競い合うゲームなんだ。初心者にはちょっとつらいかもな」
「あーん、つまんない」
　そう言ってコントローラを放り出した綾香の目が、何かを捕えた。
「ねえ、浩之。あれ何、アレ」
「あれって……」
　綾香が指差したのは、『レッツ・トライ・ダンシング（略称：ＬＴＤ）』のゲームマットだった。

210 名前：名無子投稿日：02/02/26 21:01 ID:ke4ZYvv6

＜ああっ綾香さまっ・ゲーム編＞　その３

　『ＬＴＤ』は、ＭＩＮＡＫＯが生み出しだダンスゲームだ。専用台の上に立ち、画面の指示する方向の矢印に指示されたタイミングでステップを踏むゲームである。
　オレの説明を聞いて、綾香が目を輝かせた。
「面白そうじゃない。どうしてもっと早く教えてくれなかったの」
「いや、だって聞かれなかったから」
　このゲームは、志保とのゲーム勝負対策に購入したものだ。
　専用マットつきで８０００円以上は痛い出費だったが、１ゲームで３００円が相場ではおちおちゲーセンで練習もできない。
「じゃあ、始めましょ」
　そういうと、綾香は選曲を始めた。
　……おいおい、いきなりレベル４かよ。
「綾香、最初はレベル１か２から始めた方がいいんじゃねえか」
「来た矢印の方向にステップを踏むだけでしょ、大丈夫よ」
「しかしなあ」
　オレが戸惑っている間にも、曲が流れ、綾香がステップを踏み出した。
　綾香は始めてとは思えないほど綺麗なステップを踏んでいるその姿は、とても美しかった。
　ＰＥＲＦＥＣＴ！！
　……おいおい、最初から最後まで綺麗に決めてくれたぜ。ノーミスかよ。
「綾香、本当に始めてなのか」
「当たり前じゃない。もっと難しいのないの？」
　そういうと、今度はレベル６の曲を選曲した。
　今度も綾香は綺麗にステップを決めると、パーフェクトにクリアした。
「綾香、実はゲーセンでやりこんでるんと違うか」
「別に、ただ来た矢印どおりに踏んでるだけよ。意外と簡単なゲームね」
「本気かよ。よーしそれじゃあ」
　オレはコマンドを入力して、隠し曲目を表示させた。半拍の二十連打とか一泊で三連打とかが不規則に登場する、オレでさえクリアは出来なかった最高難度を誇る曲目である。
　……が、綾香はちょっとミスしただけで、きっちりクリアしてしまった。
「ふう、さすがに歯ごたえあったわねえ。ってどうしたの、浩之」
　いや、ちょっと自信を喪失しただけだ。