マッチメーカー　ＳＳ



タツヤストーリー


前書き

前書き
　この小説は、１９９２年７月から１９９３年３月の８ヶ月において私が参加した、NIftyServe FCGAMEP（当時） ＭＭ会議室におけるマッチメーカーという大会を、小説化したものです。主人公はタツヤ・ワキ。この期間における私の持ちキャラでした。

　ここでマッチメーカーについて紹介します。
　マッチメーカーとは、篠崎沙美氏がオリジナルを作成した、戦闘シミュレーションゲームです。マッチメーカーに参加するパイロットキャラクターをドーラーとよび、参加者はオーナーとなってこのドーラーを作成します。あらかじめ決められた予算の中で機体と各種パーツおよび武装を購入し、そのデーターを主催者（マッチメーカー）に送ります。主催者は送られて来たデーターをもとにマッチを組み、その結果を発表してマッチ後のデータを各オーナーに送り返すというものです。
　新米パイロットは最低保証金額として２０００Ｃｒ．を与えられます。マッチを行なうと適切な金額のファイトマネーが与えられ、そこから損害分を差し引いたものが現在の所持金となります。当然被害を受けずに勝ち続ければどんどんファイトマネーが手に入るため、ますます有利になります。
　勝利したり敗北したりするとパイロット経験値が手に入ります。このパイロット経験値はドーラーが戦死するまで有効です。またファイトマネーに差があるマッチで勝利したり、敗北したりすると、その分チーム経験値が上下します。それによってチームの強さが多少上下する事があります。
　こうして他のオーナーが作ったパイロットと戦っていくのが、このゲームの醍醐味です。

　しかしながら、このゲームにはもう一つの特徴があります。それは「小説作りのギミック」としての特徴です。
　マッチメーカー最大の特徴として、そのゲームの途中経過をドーラー（およびアナウンサー）の台詞で表現するのです。試合結果はログで表示されますが、その一部を抜粋します。
 

アナ「たいへんながらくお待たせ致しました。ただいまより試合を開始致します。
青コーナー、謎の戦士、劉大帝。赤コーナー、ぽっとでの新人、タツヤ・ワキ。
ルールは２０分１本勝負でおこなわれます。
それでは、両選手の試合前のコメントを聞いてみましょう、まずは劉大帝選手です」
劉大帝「今日も戦いが俺を呼んでいる。」
アナ「これはどうしたことでしょう。まさか学徒動員ではないですよね。」
アナ「では、次にタツヤ・ワキ選手のコメントです」
タツヤ・ワキ「相手がだれであろうと、全力を尽くすのみです。まあ、見ててください。やってやるぜ！」
アナ「おおっと、会場の女性ファンが総立ちです。」

アナ「さあ、時間もいっぱいとなりました。いよいよ試合を開始したいと思います。
スタジアムの西ゲートからＲ．魔王が、その雄姿を現します。
ふてぶてしい登場の仕方に、場内騒然としています。
対する東ゲートからはアイリーンの雄姿が現れました。
なんとりりしい。気品さえ漂わせるＡＫです。
場内割れるような喚声の中、サイレンが張り詰めた糸を切り裂くように鳴り響きます。
いよいよ試合開始です」
ＢＲＩＤＧＥ『いきます』
劉大帝「ここからの方が狙いやすい」
アナ「劉大帝選手、大した自信です、一歩も動こうとしません」
アナ「タツヤ・ワキ選手が自分の有利な位置へとじりじりと近づく」
アイリーン『いきます』
タツヤ・ワキ「こちらの動きを見切ったとでも言うのか」
アナ「相対距離４に、両者移動しました」
アナ「さあ劉大帝選手がハンドビームを構えた」
ＢＲＩＤＧＥ『ビーム発射します』
劉大帝「ボンバーァァァァァ！！！！」
アナ「劉大帝選手、またもムダ弾」
アイリーン『いちいち報告するほどの攻撃ではありません』
タツヤ・ワキ「こざかしい」
劉大帝「しまった！」

                         [ TIME /  0 : 30 ]

アナ「おっと、タツヤ・ワキ選手がドリルミサイルを使ったぁ！！」
アイリーン『ミサイル発射します』
アイリーン『これが最後の弾です』
タツヤ・ワキ「これでどうだ！」
アナ「Ｒ．魔王が倒れました」
アナ「アイリーンの攻撃がＲ．魔王の左足に突き刺さった」
ＢＲＩＤＧＥ『左足破壊。これ以上の戦闘続行は無謀です』
アイリーン『敵アーマーナイトに攻撃命中』
アイリーン『敵左脚部破壊、敵は移動不能になりました』
タツヤ・ワキ「もっと足元に注意を配るべきだったな」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜第３０回大会のログより＞
　このように台詞によって表された戦闘記録のログから、イマジネーションを喚起し、小説創作の手伝いをする、それがマッチメーカーのコンセプトなのです。後にこのコンセプトに魅せられた多くの参加者たちが、競うようにＳＳをアップしました。
　現在では篠崎沙美さんのオリジナルを元に、多くの作者たちがマッチメーカー、あるいはその周辺ツールを発表しています。興味がありましたら、ネット内を探してみてください。ニフティでも現在、 FCGAMER の他にいくつかのフォーラムにてＭＭを開催しています。

　この小説も、マッチのログを元にリアルタイムで発表したものです。そのため拙い出来となっていますが、戦闘結果のログを元にリアルタイムで書き上げてアップしたものですので、当時の勢いがそのまま伝わってくるだろうと思います。
　しかしリアルタイムならではの面白さに準拠していた部分もあるし、またマッチメーカーを知らない読者のためにも、新たに解説を付け加えておきます。


　それではみなさん、私の最初のネット小説である「タツヤストーリー」、ご覧ください。

Ｗｅｂ掲載にあたっての前書き：'99/11/23 http://www.tky.3web.ne.jp/~junhelm/ss/tatsuya00.htm