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２０話　ともだち　〜見つめあう瞳、繋がれた手〜


　ＪＵＮです。「ともだち　〜見つめあう瞳、繋がれた手〜」の感想を行きたいと思います。
　今回はスタッフの方、くろらさんや別所さんが前からすごいすごいと言っていた２０話でした。状況を認識して絶望する美紗緒ちゃん、一生懸命になって探す砂沙美ちゃん、二人の友情がとてもよく描けていて感動しました。二人とも、いつまでも友達でいて欲しい、そんな気持ちにさせられるお話しでした。
　こんな話に下手な感想をつけて汚してもとは思うのですが、やっぱり感想いきます。速攻感想ですので、拙いのはご容赦下さい。


○「どうしたの、平気。ねえ、大丈夫？」

　美紗緒ちゃんの着替えから始まるシーン。前回とは話が繋がらないためなんだと思いましたが、よく見ると二人の出会いのシーンでした。
　ＴＶの美紗緒ちゃんはそれほど病弱というイメージが無く、むしろ運動が苦手程度のイメージがあったため、ハアハアいってるのは何だろうと思いましたが。砂沙美ちゃんと友達になる前は、ＴＶ美紗緒も病弱なところがあったのですね。


○「それが、あたしと砂沙美ちゃんとの出会いでした。そして砂沙美ちゃんは、あたしの初めてできた友達だったの」

　美紗緒ちゃんの大切な出会いの思い出。寂しがり屋で内気な少女にとって、自分から積極的に友達を作ることはできなかったのでしょう。砂沙美ちゃんが友達と言ってくれて、どれほど嬉しかったことか。私にも多少は分かるつもりですが（←いじめられっ子だったやつ）
　どちらかと言うとゲーム版の夕陽の見える丘の方がイメージ的には好きだったのですが、更衣室もいいなあと思います。
　美紗緒ちゃん、ガンバ！


○タイトルカット

　今回のタイトルカットは白地。前回が奈落の底に突き落とす黒地であったのとは対照的で、今回は救済を意味しているのでしょう。
　さらに言えば上の美紗緒ちゃんの独白に重ねているため、いつもの砂沙美ちゃんがタイトルをいうのは無し。「〜初めてできた『ともだち』だったの」とタイトルを重ねている、つまり今回は美紗緒ちゃんがタイトルを言ってることになります。
　ここらへんにスタッフの小さなこだわりを見た気がします。


○「あたしがピクシィミサ、悪い魔法少女。ずっとみんなをいじめていて、サミーと戦っていた」

　全てを認識した美紗緒ちゃんは、悪いのは自分だと自分を責めています。まあ、美紗緒ちゃんの性格なら無理もないでしょうねえ。これがこのはあたりだと、「あたしは操られていただけよお」と逆に開き直りそうですが……(^_^;)
　「悪い子なのはあたし」まず自分を責めてかかる、悪い癖だとは思うのですが、美紗緒ちゃんの身がつまされます。


○「もうどこにも戻れなくなっちゃった。パパにも会えなくなっちゃった……」

　セリフから察するに、美紗緒ちゃんは薔薇騒動のことを覚えているのでしょうね。（いや、思い出したのかな？）砂沙美ちゃんだけでなく、街中の人々に迷惑をかけ、さらには自分のパパとママにまで危ない目に合わせた。そう解釈すれば、パパにもあえないというセリフの意味がよく分かります。


○「ボクのせいだ」

　追い詰められた美紗緒ちゃんの様子を見て、鳥留魅耶も自分を責めています。もともと留魅耶は女王の座なんてどうでも良かったわけだし、根が素直だから姉の暴力に屈して(苦笑)協力していただけで。
　もっとも裸魅亜の女王奪回作戦に無理矢理協力させられなければ美紗緒ちゃんとはあえなかったわけで、そういう意味ではどっちがどっちと言うわけでもないのですが。
　さらに美紗緒に残った魔法が、暴走を始めている！　ミサになりかけている美紗緒ちゃんが苦しんでいるのを見て、（魔法を解除するために）裸魅亜を連れて来ようとしますが。


○「砂沙美がサミーにならなかったら、美紗緒ちゃんはミサにならなかったってこと？」

　思わぬ事態に、砂沙美ちゃんも混乱しています。誰かが美紗緒ちゃんを無理矢理ミサに変身させていたという魎皇鬼の説明で、自分が美紗緒ちゃんを困らせていたと思い込みます。
　客観的に見れば二人とも、ジュライヘルムの政争に巻き込まれただけなんですが、そんな割り切りができる砂沙美ちゃんじゃないですし、ここで怒りが溜まるのは至極当然でしょう。だから。


○「こんなバトンなんか（×２）、いらないよぉ！！！！」

　サミーのバトンに八つ当たりします。怒りをぶつける相手が必要だったんでしょうね。この場合、砂沙美ちゃんは「魔法」というに対して怒りをぶつけています。
　短絡的と言えば短絡的なんだが……無理ないよなあ。美紗緒ちゃんを探しに行くときに「リョーちゃんは付いて来ないで！」って言ったのは、サミーのバトンを渡すパートナーだからでしょう。魔法のために失うかもしれない大切な友達を探すのだから……。


○「お願い砂沙美ちゃん、お友達を助けてあげて」

　大変な地上の様子を見ている津名魅様。女王の資格を蹴ってまでも二人（砂沙美と美紗緒）を助けてあげようと地上に降りようとしますが……神官に止められてしまいます。
「河合砂沙美はお主が見初めた娘だ」「信じてはあげないのかね？」と神官が止めたためにやめますが……。魔法では友達の絆を直すことが出来ないから……これも砂沙美ちゃんの試練だから……と言うのでしょうね？
　ふと思ったのですが、この時の神官の台詞、裸魅亜の妨害も女王の審議の試練の一環になってるような気がします。だって悪い魔法少女なんてものが街中を荒らしてるのに、その結果実際にジェニミの天秤が傾いたことがあったのに、一向にその黒幕を探そうなんて様子がない(^_^;)　これは推測ですが、審議中に起ったアクシデントも、魔法少女の試練として黙認されているかもしれません。


○「駄目だわ、砂沙美ちゃんのところにも行ってないみたい」

　小説版とちがって娘を心配する美紗緒ちゃんの両親。家族関係が疎遠なのは確かですが、それでも家族愛がないなんてことはないようですね。実際琴恵ママも茂樹パパも心配そうでしたし。
　しかしもう少ししたら先生に連絡しようかなんて言っても、美星先生じゃどこまで役に立てるか……（←つっこんでしまうマニア根性があさましい）


○「いいや、なんでもない」

　『美紗緒』の楽譜に書かれた文章、「ここむつかしい」「ゆっくりと」「パパにあいたい」
　なかなか会えないパパを慕って、美紗緒ちゃんがピアノの練習をしていたことがよくわかりますね。譜面を見ていた茂樹パパがどんな気持ちでいたのでしょう？


○「終わったわ……、あたしの……女王プロジェクト……」

　あああああ……、最後の作戦にも失敗し、すっかり真っ白な灰に燃え尽きてしまった裸魅亜様。そんなにまでして女王になりたかったのか！？（なりたかったんだろーなあ）　美紗緒にかけられた魔法を解こうと慌ててやって来た留魅耶も呆れちゃってますね。


○「会いたいよ……すごく会いたいよ。どこにいるの」
　「ウチになんて……」

　美紗緒ちゃんを探してついに夜遅くなってしまった砂沙美ちゃん。一方同じ月の下では、美紗緒ちゃんが家に帰れずにいた。
　砂沙美ちゃんとしてはきちんと話し合ってけじめを付けとかなければならない心境なのでしょう。一方美紗緒ちゃんの方では、どんな顔をして帰ったらいいのか分からないのでしょうね。すれ違いです。


○「とっても大切なお友達がいて、知らないうちにその子に嘘ついていたんです」

　美由紀お姉さん（おばさんと言ってはいけない）再登場！　人妻隊以来の再登場ですが、美紗緒ちゃんにとって頼れるお姉さんといった役割といった彼女のアドバイスはなかなか的を得てますが、それでも言えなかった事があるため、美由紀お姉さんのアドバイスも美紗緒には届きません。美紗緒ちゃん、思い詰めないで！


○「あたしの大切なもの……。ママ、パパ、砂沙美ちゃん、鳥さん、パパの曲、ヘアバンド、パパと遊園地で撮った写真そして……、そして……この場所」

　あても無くさまよい歩いていた美紗緒ちゃんが最後にたどり着いたのは、砂沙美ちゃんと初めて友達になった場所……女子更衣室でした。やはり容疑者は現場に戻るの心境ですか……。いや冗談。おそらく思い出の場所で一人で心を整理したかったのでしょうね。
　しかしそこにはすでに砂沙美ちゃんがいた。砂沙美ちゃんも美紗緒ちゃんを探してそこにたどり着いたのでしょう。お互いにどれ程思っているのかが分かるシーンです。


○アイキャッチ

　今回のアイキャッチは美紗緒ちゃんでした。追い詰められた美紗緒ちゃんの心の救済がテーマな重い話なだけに、良い雰囲気のアイキャッチだと思います。しかし、このアイキャッチは今回限りでしょうね。


○「でもね、人を思う気持ちに魔法は反応してくれる」

　美紗緒ちゃんの心にある悪い魔法が膨れあがる！　このままでは美紗緒ちゃんはミサになってしまう。美紗緒ちゃんを助けたい砂沙美ちゃんに、魎皇鬼は「魔法は万能じゃない」と一度は突き放す。しかし美紗緒ちゃんを思う砂沙美ちゃんなら、美紗緒ちゃんを救えるだろうという。
　ジュライヘルムの魔法の源が、人々の思う気持ちにあるということでしょうか？


○「さっきは投げたりしてごめんね。美紗緒ちゃんを助けるために、砂沙美に力を貸して」

　さっきは拒絶した魔法ですが、美紗緒ちゃんを救うために再びバトンを手に取ります。このシーンは魔法という助けを得て、自分とは対照的な少女である美紗緒ちゃんの心と向き合うという大切なシーンです。まだ砂沙美は、自分の幸せな環境の外にある悲しみと向かうには魔法と言う力を必要としている。そんな感じですね。


○今回の変身シーンは……

　今回はいつものスチャラカな変身バンクは使わずに、新たに書き起こした変身シーンでした。動きは全然ありませんでしたが、非常に凝っていました。こだわりの芸でしたね。


○「これは、美紗緒ちゃんの心の中」

　美紗緒ちゃんの心の中にある心理情景は、どこまでも続く荒廃した町並み（注：実際は洞窟だった）でした。確かに絶望しきった今の美紗緒ちゃんに相応しい……いえ、失言です。


○「ようこそ、美紗緒の心の中へ」

　心の奥底で、美紗緒ちゃんは殻に閉じこもって泣いていた！　サミーが駆け寄ろうとするが、そこにはミサが待ちうけていた！
　ここでのミサは、いつものどことなく憎めないミサとは雰囲気が違って、冷徹な印象を受けます。やはり美紗緒ちゃんの心の中の暗黒部を象徴しているのでしょうか。もっともいつものスチャラカなミサでも困るが。
　おそらくここでのミサは、美紗緒ちゃんの心の壁を表わしているのでしょう。素直に仲直りできない美紗緒ちゃんが張った、精一杯の虚勢、それが心の中のミサの正体だと思います。


○「つまり二人は同一人物なの」

　ミサ＝美紗緒の構造。美紗緒ちゃんの心の中の悲しみが、魔法の力を借りて生み出されたのがミサ。もっとも、普段のミサがそんなことを意識しているとは思えませんが。ミサとは美紗緒ちゃんがしようにも出来ない影の部分を代行していたのでしょうね。それとも美紗緒ちゃんの悲しみの解消をミサが引き受けていたのかも……。うーん、心理学にはうといからちょっと分からないなあ。


○「あなたのせいよ！」

　ミサはサミー（＝砂沙美ちゃん）を責めたてる！　美紗緒ちゃんは砂沙美ちゃんにコンプレックスを抱いていたと。美紗緒ちゃんのダークサイドな本心を聞かされて、サミーは否定しますが、ミサは容赦しません。砂沙美だって、美紗緒に対して優越感を抱いてたんだろうって。
　ここではミサは、完全に闇へ誘う影の役割を果たしています。美紗緒にもこんなに醜い部分がある、それでも友達でいられるかと。
　それとミサの「出て行きなさい、早く！」というセリフは単純な拒絶じゃなく、心を閉ざした美紗緒ちゃんの圧迫感をあらわしているのでしょう。心を閉ざしつづけていたいのだから、砂沙美ちゃんはほっといて。


○「美紗緒ちゃん、聞いて」

　心の殻に閉じこもった美紗緒ちゃんに、砂沙美ちゃんが話しかけます。普段深いことを考えずに友達だからという理由だけで美紗緒ちゃんと付き合って来た砂沙美ちゃんですから、いかにもとってつけたという感はぬぐえません。稚拙な説明です。でも本心からの言葉でしょう。砂沙美ちゃんにとって、美紗緒ちゃんはかけがえのない友達だから。
　このシーン、もし同じ立場に立たされたのなら、私ならなんと答えたでしょう。どう答えるべきなのでしょう。くろらさんからの宿題ですが、私にはまだ分かりません。砂沙美ちゃんの解答をもとに、少し考えてみたいと思います。


○「美紗緒ちゃんがこのままずっとピクシィミサだったとしても、砂沙美は美紗緒ちゃんのことが、大好きだよ」

　この言葉に、ミサと美紗緒ちゃんは反応します。このセリフは、砂沙美ちゃんが美紗緒ちゃんの、良い面も悪い面も含めて全てを受け入れてくれる……という意味だと思います。今まで砂沙美ちゃんに嫌われることを極度に恐れていた美紗緒ちゃんにとって、自分の心の暗黒部分をさらけ出すのは非情につらいことでしょう。それがミサとなって現れたのだと解釈できます。しかしそれでも美紗緒ちゃんが好きだと言ってくれる、だから、ミサと美紗緒ちゃんは反応したのだと思います。


○「ごめんなさい砂沙美ちゃん、あたし、あたし、砂沙美ちゃんの友達でいたーい！」

　美紗緒ちゃんの本心、とうとう打ち明けましたね。砂沙美ちゃんが美紗緒ちゃんの全てを受け入れてくれるから、あんなことがあった砂沙美ちゃんとそれでも友達でいたいのなら、本心からの言葉をぶつけなければならない。本音でぶつかりあって、話し合わなければならない。いままで罪悪感で押しつぶされそうになっていた美紗緒ちゃんをここまで導いたのは砂沙美ちゃんでしたが、最後は美紗緒ちゃんの方から心を開かないといけない。でないと本当の友達にはなれませんからね。


○「あれが、美紗緒ちゃんの心の中にあった、悪い魔法の正体だよ！」

　黒い魔法が球形にあつまり、底から白い蛇が何匹も襲ってくる！
　これはストーリー的には蛇足だと思いますが、おそらく美紗緒ちゃんの心の中の分身でいられなくなったミサ（＝美紗緒の心の影）を形作っていた魔法を視覚的に表わしたものだと思います。心の中から追い出されそうになったから、その原因を攻撃しようとしたと。
　それを二人の力を合わせて、プリティ・コケティッシュ・ボンバーを放つ！　ここら辺はお約束の展開ながら見事でした。


○「さようなら、ピクシィミサ。もう一人のあたし」

　浄化された心の光りの中で、ミサが微笑んで立っていた。その笑顔は、それまでのミサが見せたことの無いようなすがすがしいもので。
　美紗緒ちゃんもミサが自分であることを受け入れたのでしょう。それを受け入れた上で、克服した。だから美紗緒ちゃんは、もうミサである必要は無くなったと。


　感想は次の発言へ続きます。

初出：'97/02/14 Niftyserve FANTVS MES(14) #390,#391

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