天地無用！ＧＸＰ：アンラッキーな感想

　オペレータ「ひょっとして、あまりに幸運過ぎるからでは」
　静竜「よし、艦内の幸運グッズを破棄しろ」

　守蛇怪に対抗するための幸運グッズを捨ててしまうなんて、本末転倒ですな。

　今回の前半部、西南たちが瑞輝のコアユニットに招待されたシーンのあたりは絵に違和感がありました。見た目に下手だと分かる……
　さすがにテレビシリーズも２０話を超えると、絵のチェックにまで力が入り切れないのではないかと思いました。

・書類の山に囲まれたアイリ様
　冒頭、美守の持ってくる書類の山に囲まれたアイリ様。
　これはやはり幸運艦「運呼」の被害のための書類なのだろうか。アイリ様が西南くんを呼んでいたのは幸運艦退治のためと最初思ったのですが……
　でもよく考えたら幸運艦の捕縛はＧＰの仕事だから担当はＧＰ長官のはず。なんでアカデミーの理事長のアイリ様のところに書類が回ってきたんでしょう。
　もしかして美瀾の左遷の後、ＧＰ長官の職は空席でアカデミー理事長が兼ねているということなのだろうか。
　まあ、現在の西南は守蛇怪艦長とはいえまだ研修中ですから、実際にはアカデミーに属していると考えれば──アイリ様のところに回ってきた書類は、研修艦長である西南を早く回してくれという要望書だったりして。

・皇族・霧恋
　樹雷の皇族としての衣装に身を包まれた霧恋に、西南は気おくれする。
　西南にとって霧恋は近所に住む憧れのお姉さんだったはず。背を伸ばせば届くところにいそうな存在でもあった。ところが今は、自分は未開惑星の平民出身で、彼女は銀河最大の国家樹雷の皇族。いくら背伸びをしても届きそうにない高嶺の花になってしまったというところでしょうか。
　確かに雨音やリョーコ、ネージュへの対抗心もあっただろうけど、対西南ウェポンとしてはちょっとオーバースペック気味だったようです。
　ちょうど１６話と立場が逆になってしまいましたね。あのときは西南が不幸の才能で次々と戦果を上げている時で、ちょうど霧恋はオペレーターとしてしか手伝えない状況でした。その時は霧恋のほうが西南に対して気おくれしていたのですが。

・「あ……あの、霧恋……さま……」
　で、雨音の態度がぎこちないものに。
　いくら財閥のお嬢様だからって、樹雷の皇族相手では下手（したて）にでるしかないでしょうな。
　もっとも、それは雨音が霧恋に対してどういう態度をとっていいか分からなかったからでしょうが。

・第二世代の皇家の樹・瑞輝
　霧恋が契約を結んだ皇家の樹・瑞輝はまだ苗木だった。
　もしかして、樹選びの儀式で選ばれる樹は苗木が基本なのだろうか。
　もしそうだとすると現状では、第１世代の皇家の樹（の苗木）との樹選びは成立しないことになりますね。なにせ始祖の樹津名魅が樹雷にいないから、第１世代の苗木が存在するわけがないし。

・瀬戸様の思惑
　守蛇怪と瑞輝ユニットを融合させたり、４人娘をサブオペレータに載せたり、アイリと美兎跳を守蛇怪に乗せたりと日に影に活躍する瀬戸様。ついには自ら守蛇怪に乗りこんで海賊退治に乗り出す。もともと守蛇怪は西南が艦長だし、瑞輝は霧恋のパートナーなのに……。
　単に海賊退治だけが目的とは思えないのですが、これほどの入れ込みようはなにか思惑があるのではと勘繰ってしまいます。
　そういえば４人娘も前回、西南相手にラブコメ大作戦を展開していたし、何らかの形で西南を取り込もうということでしょうか。それともいつか守蛇怪を接収するための下準備とか？
　それともただ単に、海賊相手にＺＺＺ（トリプルゼット）を発動して暴れたかっただけだとか？
　個人的には鷲羽の持つ科学力、魎皇鬼型の戦艦の技術を得たいという意志もあるのではないかと推測しています。樹雷の皇家の樹がそうそう量産出来るものではないのに対して、それと対等の力を持ち樹雷に侵攻したこともある魎皇鬼型の戦艦が量産可能になってしまったら、それは樹雷にとっても悪夢でしょうし。

・いきなり敵の本拠地にジャンプ
　天然海賊レーダー、ローレライ西南の力によりいきなり敵の本拠地、移動惑星要塞大ダ・ルマーへ。
　これは静竜の乗船「運呼」があまりにも幸運過ぎたゆえの一足飛びということでしょうね。大ダ・ルマーへの救援に駆け付けられなかったのも、今の瑞輝と融合した守蛇怪相手では敵わないのは分かり切っているから。
　私はこのストーリーの外し方を見て、逆に天地無用！らしいと感じました。
　梶島版天地無用！の世界では、ときに設定がストーリーに優先することがある。もちろん設定だけが細かいあまりストーリーが破綻してしまった作品は論外なわけですが、梶島天地は設定マニアな作品の割りにはそういう破綻は少ない。
　これは、その子細に渡った設定がすべて登場キャラたちの歴史に繋がっているからと言えるでしょう。どのキャラにもそれぞれ生まれてから今までの人生の中で背負うものがあり、それがキャラクターの性格に深みを与えている。天地無用！はステロタイプな性格のギャルがお約束ごとが基本の９０年代型ハーレムラブコメの先駆けでもあるが、それでもキャラの性格がステロタイプに陥らずに深みを持っているのは、その子細に渡った背景設定がキャラの歴史を与えているから。
　だからＯＶＡ第６話で天地対神我人の戦いに直接役に立っていた訳ではないにもかかわらず鷲羽を登場させたり、１２話の魎呼救出しに来た天地たちが道に迷って、結局鷲羽とクレーの丁々発止のやりとりになってしまったりしていた。
　そう考えると、キャラクターに結びついた深い背景設定を持たないＴＶ版天地無用！や新・天地無用！の魎呼や阿重霞たちキャラクターが時に意味もなく暴走してしまった理由もよく分かります。背景をあまり持たない故に、キャラクターらしさを出そうとしたら今までの作品が培ってきた表面的なステロタイプに頼るしかなかったということでしょう。
　今回の展開も、幸運艦の幸運は今まで散々描かれてきたことですし、西南の不運を圧倒的火力で身を固めた守蛇怪が相手では幸運艦呼は出会わない方が吉というのはむしろ自然と納得が行きます。
　こんな理不尽なキャラたちが相手では、本当にダ・ルマーもたまったものじゃありませんでしたね。

・守蛇怪と融合した瑞輝の光鷹翼
　海賊との戦いの中、瑞輝の光鷹翼がさらに発展・展開して船全体を覆う！
　これは……本来第二世代艦の光鷹翼は単純な翼が３枚だけのはずだけど、福ちゃんと融合したことで相乗効果を得られたということでしょうか。
　それに第２世代艦の光鷹翼は、確か第１世代艦のマスターキーが無かったら展開できなかったはず。
　補注：間違い。できないのは攻撃展開だけで、防御展開なら可能です。
　瀬戸様曰く、二人（福ちゃんと瑞輝）が順調に成長すれば、第１世代艦をも越えてしまうかもしれないとのこと。今回の展開を見れば、すでに越えてしまっているような気が。

　今回、主人公は明らかに瀬戸様でしたね。西南の活躍は大ダ・ルマー遭遇のための天然レーダーとしてだけで、お飾り主人公に落ちぶれてしまったような。
　

初出：02/ 8/24 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx5.htm#21

　コーン「あー、頭いてー。夕べは飲み過ぎたかな」
　バリー「結局これだけしか買えなかったなあ」
　アラン「ま、ヤケクソになれって命令だから」

　幸運艦最大の悲劇は静竜に運呼と名付けられたことではなく、この３人が乗組員だったことでしょうな。

　幸運艦編のクライマックス、全然緊迫感のなかった静竜との決闘でした。

・銀河統一構想
　冒頭の瀬戸、アイリ、美守の三者会談で、ダ・ルマー海賊ギルドをバルタの配下に置いて存続させることを打ち合わせしています。
　これはアレですな、日本でなぜ暴力団が無くならないかというと、そういう暴力団の存在が却って社会不適格な人間の吸収口になっているという事実がありますな。もし暴力団を無くしたら、そういう犯罪者予備軍の統率が取れなくなるという懸念があるからです。
　というか、もし本気で暴力団を潰したら警察署の暴力団対策課の仕事が無くなってしまうという事情もありますしね（これを狡狐死して走狗煮られるという）。
　だからわざわざダ・ルマーギルドを見逃すということは、そこにアンダーカバーを潜入させて内側から操作しているということもあります。もしかしてコマチは、ＧＰのアンダーカバー？
　美守の言っていたレンザ連合って樹雷の隣国にあるんですね。ダ・ルマーを配下に置くことでバルタの領宙が広がり、ひいては樹雷の影響力も強まるということは、やはりダ・ルマーギルドは事実上国家扱いだったということでしょう。
　さて、銀河統一連合を実現するために大掃除をしなければならないと言っていましたが、それって何のことでしょうか。必要悪は必要がなくなれば悪でしかないとはアイリ様のお言葉ですが、いまいち不明。そのあたりは九羅蜜家に任せるとありましたが、九羅蜜家といえば確か樹雷と対立したこともある大国、世二我（せにわ）の最高権力者の家柄だったはず。世二我の力を借りるということでしょうか。今の美星や美兎跳さま、美欄を見ているととてもそういう偉い家柄だとは思えないけど。
　それとも素直にＧＰを使っての摘発かな。

・果たし状
　どっちが悪役か分からない瀬戸様の果たし状（西南名義だが）。
　完全に楽しんでますねー。
　契約期間内の帰還に際して発生する違約金を嫌って未だに海賊している静竜も、真面目というかバカというか。
　どんな度汚い手を使うかと雨音たちが瀬戸様に尋ねていましたね。これはすなわち、瀬戸様はこういう状況に陥った時には手段を選ばない傾向があるらしいし。確かに準備していた宿泊施設に釣り天井や毒サソリなどの罠を仕掛けていたくらいだからねえ。

・平田兼光の個人レッスン
　決闘することになった西南に平田兼光が個人レッスンする。
　と言ってもやってることは平常心を保つために普段通りの行動を取ること。言ってることは立派にみえるけど、もう少し戦士として決闘へ行くときの心構えぐらい教えてあげてもいいんじゃないか！？
　……って、その決闘自体が見世物になっているんじゃ、まともに教えるのもバカバカしいかも。

・樹雷皇の両親登場
　現樹雷皇・阿主沙の両親、四加一樹と阿麻芽登場。阿麻芽は柾木家の人間ですが、四加一樹と結婚するために皇族を出奔した──という経緯が真・天地無用！の第１巻に載ってましたね。
　なんでこんなストーリーに関係ないタイミングで二人が登場するわけかと思ったのですが、これも以後の伏線になっているのだろうか。
　さて、四加一樹といえば同じ梶島氏原作のアニメ『デュアル！ぱられルンルン物語』の主人公と同名です。これは以前から言われていたけど、デュアルと天地はどういう関係にあるのでしょうね。
　（そういえばデュアルにも、クライマックスでＺＩＮＶが光鷹翼を展開するという展開がありましたな）

・ヤケクソになれ
　決闘に向かう静竜の演説「運呼の火を絶やすな」。これを聞いたアラン・バリー・コーンは「ヤケクソになれ」と解釈します。
　これは「運呼の火を絶やすな」→「うん○を燃やせ」→「ヤケクソになれ」という連想ですか！？
　だからと言って、運呼を質に入れて決闘の賭け札を購入するというのもバカらしい。しかもその間に宴会やって購入資金を使い込んでいるし。
　第一、静竜たちの幸運はあの幸運艦があってのものでしょうが！　その大事な船を質に入れるとは自分から幸運を捨てているようなものとしか言えんな。
　幸運艦の最大の悲劇は、この３人が乗組員だったことにあるとしか言いようがない。結局こいつら、宴会がやりたかっただけなんだ……。

・「西南様の召し使いですわ」
　控え室で元ルームメイトのケネスやラジャウと会話している西南。そこに表れた４人娘ですが……
　お前ら、いつ西南の召し使いになったんだ！
　ちくしょう、羨ましすぎるぞ、西南。

・意外な決着
　静竜と西南の決着は柾木家を模した舞台で。ここはＯＶＡ１３話で静竜が天地と決闘して敗北を喫した場所じゃありませんか。確かに卑怯だと西南に突っかかる静竜の気持ちも分からんでもない。
　その西南はもともと自分とは関係のない決闘だからなのか、コマチや案内人との会話に夢中で静竜の話を聞いていないし。
　決闘の決着はおひねりに足を滑らかした西南が静竜の袴のヒモをほどいて褌を顕（あらわ）にさせたことで決まる。
　これってやはり幸運艦を売っぱらったから幸運が逃げていってしまったからでしょうか。
　初見ではこの展開は、正直物足りないと思いました。もう少し決闘のシーンを長めに取って静竜の自滅に至る道を描き込んでくれても良かったのではないかなと。感想を書くために見直していたらそれなりに納得の行く展開でしたけどね。

・ＮＢの男心
　前回の後遺症から、未だ真っ白になってピクリとも美女に食指の動かないＮＢ。何か哀れだ。

　今回で幸運艦編も最後でした。全然緊迫感も無かったけど。
　次回からラストエピソードが描かれますね。予告からすると銀河軍との軋轢の話になりそうですけど、西南たちが反逆者になるという展開でしょうか。
　

初出：02/ 8/24 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx5.htm#22

　ＮＢ「旦さん、女は秘密が多いもんやで。恐いもんやで」

　船はよく女に例えられますからね（姉妹艦とか）。

　ＧＸＰもいよいよクライマックス。今回はついに最後の敵が登場しました……って、あいつかよ！？　なんでいまさら……


・西南の研修
　ダ・ルマーが壊滅状態に陥っても、西南の研修は続く。……しかし、海賊がいないため、通常の宅配便業務だったりする。西南にやらせるもんだから、トラブル続発だったりします。
　宅配便部門のスタンプ押しならば、わざわざ研修生にやらせなくても機械でやれば済むじゃんと思ったのですが。
　おまけにペットの恐竜には喰われそうになるし。
　しかし、さすがにダ・ルマーを壊滅に追い込んだ前途有望な研修生ということで、それなりに人気は高いですね。西南の力というよりは、乗っている船の性能のおかげだと思いますが。

・銀河軍による守蛇怪接収命令
　現守蛇怪が先代の守蛇怪の改装扱いになっていることから、銀河連盟の命令書を発行して強引に守蛇怪を接収しようとする銀河軍軍人。
　銀河軍もＧＰに属するということから、ＧＰアカデミー理事長のアイリ様には逆らう余地がないということでしょう。
　鷲羽の作った最高傑作、魎皇鬼型の船の性能は皇家の樹にも匹敵する。しかし他国に与える影響を考えると樹雷が表だって調査するわけにもいかない。改装扱いになっていることから一時的にでも銀河軍が接収すれば、そこを通して調査することもできる。瀬戸はそういう立場の人間である。
　というのが、雨音や霧恋の前で命令書を伝えたアイリ様や瀬戸様の立場でした。
　しかしどうやら本当は、
　霧恋たちを焚き付ければ、福を守るために名義変更を行なおうとする。するとそれを防ぐために銀河軍は早めに動き出す。そうなれば後ろにいる黒幕も動かざるをえないだろう。
　というのが瀬戸様たちの本当の思惑だったようです。
　霧恋や雨音は、どうやら瀬戸様の手のひらの上の孫悟空だったようですね。しかし瀬戸様のことを根性悪の老獪クソババアとは、美守校長も恐いもの知らずですな（あるいは、瀬戸様相手にそういうことが言える仲なのかもしれない）。

・エルマの姿で名義書換えのハッキングを行なうリョーコ
　……意味不明。
　今の私はエルマ（ＧＰ職員）ではなくてリョーコ（海賊）である、という演出意図なんだろうが、リョーコがＧＰ所属の人間になったのは周知の事実だし、亡命以降エルマの姿になったことはないので、今さらエルマの格好でいる理由が無い。

・「女は秘密が多いもんやで」
　西南が追跡に使用したのは、確か霧恋のコアユニットです。西南は忘れているようだが、第７話のものと同一とすれば、もともとはアイリ様所有の外宇宙航行用宇宙船のコアユニットだったはず。なるほど、どおりでワープも出来るはずだ。
　しかしＮＢよ。お前は男心を失っていた方が、はるかに役に立っているんじゃないかい？

・ＧＰ刑事、九羅蜜美咲生
　雨音たち４人を輸送船団破壊強奪幇助容疑で逮捕しに来たのは、九羅蜜美咲生（みさお）。こいつはもしかして噂の、美星のシスコンの弟でしょうか。
　雨音や霧恋にまでちゃん付け呼ばわりされて美咲生は落ち込んでしまう。……これはやはり、美星の友人である雨音にとっては、美星のシスコンの弟というのはどう見ても格下に見えるということでしょうか。まあ雨音はともかく、霧恋は西南もちゃん付けしているから、そんなに落ち込むことは無いと思うぞ。
　もっとも軟禁と称して、霧恋たちに最新鋭の端末を置いて行く辺り、さりげにかっこいいところも見せてくれます。この人も瀬戸様とグルでしょうか。
　しかしＣＶは緑川光。二枚目役の多い声優です。この人がシスコン役をやるかと思うと、違和感バリバリ。第３期が楽しみです。

・黒幕、タラント・シャンク
　追跡の結果、攻撃を受けて私有宙域の惑星に不時着した西南。そこで犬型の種族の現地民から、海賊の親玉がタラント・シャンクだと聞かされます。
　銀河軍の軍人や科学者も出てきたけど、名前のないキャラクターですから役柄としては重要ではない。やはり今回重要な点は、守蛇怪接収の黒幕がタラントだという一点に尽きます。
　……って、何で今さらタラントが？
　確かにＧＸＰで最悪の敵といえばタラントですし、西南とは因縁もあります。しかし奴は、第１６話で西南相手にあっさりやられています。その後も幸運艦の艦長選抜にて、全力を出す前に静竜に一撃で倒されています。
　無論、他のキャラの引き立て役と化した悪役が即、死に体と化すわけではない。しかしそれは、例え引き立て役であっても全力を尽くしてそれでも相手の特殊な力の前に今一歩及ばなかったとか（「遊戯王」の海馬瀬戸）、自分の力量不足を認識してシャニムにパワーアップを図るとか（「ダイの大冒険」のハドラー）、そういう納得の行く演出が必要です。メカ・フリーザのように全力を尽くす前に一撃で倒されてしまうようでは悪役としてはすでに死に体なのです。
　実際、１６話ではダ・ルマーは「やはりタラントごときでは……」と言っていました。てっきり私は、タラントはこれで役目を終えたものだと思ってましたよ。
　今度はどんな三流ぶりをみせてくれるのでしょうか。
　さて、ここで疑問に思うのはシャンク・ギルドと銀河軍の関係。今回の守蛇怪接収にタラントがどういう風に関っていたのかですが。
　
　(1) 守蛇怪接収命令それ自体がタラントの仕組んだこと。銀河連盟の上層部とタラントが繋がっていて、守蛇怪の強奪を謀った。
　(2) タラントは銀河軍の一部と繋がっているだけ。銀河連盟の守蛇怪接収命令を察知して、自分の息のかかった軍人に接収命令を実行させて横取りした。
　
　の２パターンが考えられます。
　(1)なら話は簡単で、タラントを退治すれば銀河連盟の上層部もそのまま芋づる式につかまることになるので、銀河軍も守蛇怪を手放さざるを得なくなるでしょう。
　問題は(2)の場合。タラントはあくまで銀河軍の一部としか繋がっていなかった場合です。これは可能性としてはあり得ないことではなく、実際銀河軍の集合位置に輸送船が表れなかったことで西南に輸送船団破壊強奪容疑がかかったということは、タラントが全ての銀河軍と繋がっているわけではないから待ちぼうけを食らった銀河軍が単純に西南に容疑をかけたという解釈もなりたつのです（(1)ならば西南を陥れるためと解釈できます）。
　また前回の暗闇の男たちが「幸運艦の脅威は去った」と言ってますが、これは明らかに守蛇怪を接収した一味は海賊と敵対している立場にいることを表している。そういう言葉は上層部がタラントと接触していた場合明らかに不自然です。
　そうなるとタラントを退治して守蛇怪＝福を救出したとしても、守蛇怪の所有権は本来の接収命令を出した銀河軍のままということになる。もちろん西南は（強奪犯を逮捕して守蛇怪を回収しただけだと強弁しない限り）強奪容疑がかかったままということになり、問題の根本的な解決にはならない危険性が残っているわけです。
　考えすぎなのかもしれないけど、西南ちゃんって不幸だから……

・神殿の神像
　タラントの襲撃で村から逃げ出したところは、原住民たちの神殿。そこにあった神像は……！
　これってもしかしてもしかすると、「デュアル！ぱられルンルン物語」にでてきたＺＩＮＶなのでは！？　ちょっとデザインが違うような気もするけど、いやしかし前回、ストーリーに関係ないタイミングで四加一樹が出てきたことも合わせ考えると……。
　「デュアル！」ではＺＩＮＶも２枚の光鷹翼を展開していたし、あながち無関係というわけでもなさそうなんですけど。


　次回予告は「パラレ・る…！？」だから、やはりここで「デュアル！」との接点が判明するのでしょうか。なんかとんでもないことになりそうです。
　

初出：02/ 9/ 7 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx5.htm#23

　西南「船もいいけど、やっぱ男は巨大ロボットだなー」

　その気持ちはよ〜くわかるぞ、西南。

　今回西南が操縦した巨大ロボットは、どう見ても「デュアル！パラレるんるん物語」のＺＩＮＶ（ジンブ）にそっくりでした。ストーリー的には関連はないけど、やっぱり繋がっていたか。今回は後のほうにデュアルのネタバレがあるので、未見の方は承知してください。


・勇者を贄として差し出すと神は目覚める
　伝説の勇者として祭り上げられた西南は、村人たちに贄として神像に放り込まれてしまいました。……生贄というところがいかにも西南らしい。
　しかし、前回の予告では神像は「動かないんですけど」ということになっていたのに、今回わりかしあっさりと動いているように見えるのは私の気のせいでしょうか？

・エルマの姿で輸送船消失事件のハッキングを行なうリョーコ
　……前回も似たような小見出しを書いたような。
　掲示板で指摘がありましたが、ハッキング作業においてはリョーコはエルマの方が手馴れているのかもしれません。
　（擬似人格プログラムにハッキング能力が付与されている……なんて危ないプログラムなんだ）

・雨音の第六感
　ハッキング能力がないくせに、一目見ただけで怪しいところを指摘してしまう雨音。なんだかむずむずするというのが理由ですが、その雨音の反応に応じる霧恋も大したものです。しかも本当に資料改竄の跡を見つけてしまうし。
　天地世界においては、幸運や悪運、第六感といった科学的に証明できない確率偏在が実在するんですよね。大槻教授やジェイムズ・ランディーが聞いたら憤死しそうな世界だ。

・自分のクローンを助けようと訴える福
　前回生み出された福のクローンたち。福の生体プロテクトの描写のためだけの端役だと思っていたのだが……というよりすっかり忘れていましたよ、私は。
　こういう作られた存在も助けようという描写は心報われますね。

・ロボットと守蛇怪の融合
　ロボット（神像）の威力の前にタラントはもてる兵器の総攻撃をロボットにしかけるが、福と福のクローンたちがロボットと守蛇怪を融合させることで対抗、光鷹翼を展開させます。
　タラントは海賊艦隊と自分の通じている銀河軍艦隊の総攻撃で惑星ごとロボットを潰そうとするが、西南はマイクロブラックホールで攻撃を消滅、さらにテレポートして海賊艦隊を圧倒し、ランダムワープで逃げようとしたタラントのダイダロスを引きずり出します。
　非常識なロボットの能力の前に哀れタラントのダイダロスは爆縮される。弱い相手には強く強い相手にはとことん弱いタラントはやっぱり三流でした。
　あと前回はタラントが黒幕と書きましたが、実際には真の黒幕は銀河軍の連中でタラントはその手駒だったみたいですね。こういうところでも三流ぶりを発揮しているとは哀れな奴め。
　銀河軍のオペレータは、ロボットの超絶能力を高位次元生命体に準（なぞら）えていました。高位次元生命体にとっては物理法則すら絶対ではなく、物理法則を書き換えることで相手の攻撃を無効にするとか。まさしく神にも匹敵する能力ですね。
　さて、今までの天地世界やＧＸＰでは展開がまったりとしていてどんな相手でも殺生は最低限に抑えられていたのに、今回は西南が直接描写していないとはいえ相手を容赦なしに叩きのめしていることに違和感があるという指摘がありました。おそらく今回は、海賊側にも大勢の死傷者がでたことでしょう。
　この指摘は正しいのですが、私はここで第１０話の「洗礼」を思い出してしまいました。逃げ惑うＧＰ職員を虫けらのように殺すタラントと、忍者のように忍び寄っては海賊を絞め殺す霧恋。お気楽な展開で流れてきたＧＸＰの中ではかなり異色でしたし、以後タラントは三流に堕ち、霧恋の描写もこの前後で変わったところは全然なかったので、シリーズからはかなり浮いていた話でした。
　しかしこれもまたＧＰの一面であることは事実であり、ましてや今回の相手は人を虫けらのように殺すタラントとその一味です。前回からシャンク・ギルドの非道ぶりが描かれておるため海賊側のやられっぷりは因果応報の色彩が強く、また画面に直接死亡シーンを描いてないことから、そこに後味が悪くならないようにという演出意図が汲み取れます。もっとも、タラントがもう少し一流だったらもっと爽快感を味わえたはずなのですが、展開をちょっとずらしてコメディタッチにするのが梶島天地ですので、その辺りは致し方なしか。

・ＮＢ復活
　お前、なんのためにタラントに捕まっていたんだ！？
　私はてっきり、ＮＢから西南の弱点や対抗策をクラッキングされるためだと思っていたのだが。

・デュアルとＧＸＰにおけるＺＩＮＶの考察
　さて、ここでデュアルのＺＩＮＶとの関連性を考えてみます。
　デュアルにおいて判明していることを書き連ねてみると、

• リアル・ワールド（以後リアル）において発掘されなかった遺跡文明は、パラレル・ワールド（以下パラレル）において発掘された。パラレルでは遺跡文明の技術を用いて制作された（趣味の）巨大ロボット同士の戦いが行なわれていた。
• リアルに存在した四加一樹は、パラレルには存在していなかった。
• パラレルにおいて、遺跡文明の巨大ロボット（ハルツィーネン）およびそのオリジナルは、女性しか操縦できない。四加一樹だけが男子でありながら高いシンパティ値で操縦することができた。さらにＺＩＮＶというロボットは、一樹しか操縦できなかった。
• リアルに存在するものは、パラレルにも必ずその対になるものが存在する。真田賢と鮎子の間に生まれた真田三月はパラレルに存在しない代わりに、羅螺博士と鮎子の間に羅螺みつきが生まれていた。
• ＺＩＮＶが四加一樹にのみ反応し、その感情に呼応していたのは、一樹と対になる存在がＺＩＮＶだったため。一樹が生まれなかった代わりに、遺跡文明が発掘されていた。
• ＺＩＮＶ内部には、遺跡文明の唯一の生き残り、Ｄの本体が保存されていた。
• 地球の男性が持つ闘争本能は、遺跡文明にとっては危険きわまりないものだった。遺跡文明のロボットたちが女性にしか操縦できないのは、リミッターをかけられていたため。
• リミッターを外したＺＩＮＶは、２枚の光鷹翼を展開して使うことができる。マイクロブラックホールを作って自分ごと遺跡文明を消滅させ、自分だけ超空間ジャンプで戻ってくるという荒技をやってのけた。
• ２つの世界は、最終的に一樹の意志とＺＩＮＶの能力で１つの世界に融合した。

初出：02/ 9/14 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx5.htm#24

　ナＢ子「あ〜西南様ぁ〜、あたしが告白して今のバランス崩すんやったらぁ」
　ナＢ子「だけど、リョウワが愛する方の命に関るんじゃったら、あたし身を引くねぇん。ひっそりＮＢごときで心の隙間を埋めとくねぇん。せっかく西南様のために揃えたこれも……」

　お前も西南狙いだったのか、ナＢ子！？

　いよいよラス前。この作品はシリーズ全体を通したストーリーというものが無いくせに、各キャラクターが自分の感情の整理をつけたりとしっかりクライマックスになっていたりする。こういう構成が凄いなと素直に感心します。

・新婚生活を想像する４人
　研修も終り──って、今までの西南の活躍ってすべて研修中の事件なんだよなあ。研修生にダ・ルマー壊滅の尖兵とかシャンクの囮捜査という危険なことさせるのも問題あるが──寮生活に戻った西南。４人にホテルや新居の住所とかメールアドレスを渡されたとか。
　しかも４人が４人とも西南との熱々の新婚生活（？）を想像しているし。それぞれの想像がらしいけど。
　雨音：ダブルベッドで新婚生活。いかにも肉感的な雨音らしい。
　霧恋：和室の新居に夫婦（めおと）茶碗、夫婦箸に夫婦歯ブラシ。
　リョーコ：北欧風の暖炉にソファのリビング
　ネージュ：１５年後の姿を作成して微笑む
　それぞれの描写がらしいですね。

・４人の確率変動値が西南の悪運を幸運に
　雨音たち４人はアイリ様に呼ばれる。なんと４人の確率変動値が西南の悪運を幸運に置き換えるから、西南の卒業後もチームを組んで欲しいということらしい。
　なんでそんな如何にもご都合な設定がとも思いますが。そりゃあ、ネージュ参加前では初代守蛇怪が破壊されたり、福ちゃんの家出に西南が巻き込まれたりしていましたが。それがネージュ参加後では、無敵の幸運艦隊を一回の戦闘で倒したりしてましたが……最初に案外考えていたのかも。
　──ここら辺のご都合主義的な設定は新井素子の「星へ行く船」シリーズに似てますね。
　もっとも、もともと雨音は西南に出会う前は海賊遭遇率が０％という『０の女神』だったし、ネージュは人の集団心理に影響を与えるネルマスの巫女だったわけですし、リョーコは海賊時代に研修艦長の西南の守蛇怪に偶然たまたましょっちゅう遭遇していたし。
　確率変動値に影響を与えても不思議じゃないか。
　幸運というよりは強運と言った方が相応しいと思いますが。

・樹雷皇位継承権第３位、西南
　アイリ理事長に呼ばれ、樹雷皇阿主沙、第一皇妃船穂、第二皇妃美砂樹に面会する西南くん。西南の操縦した神像の内部に皇家の樹が組み込まれ、しかもそれが第１世代の皇家の樹だったことから、西南に第３位の樹雷皇位継承権があることが判明する。
　「デュアル！」のＺＩＮＶが光鷹翼を展開することから以前から「デュアル！」との関連性は指摘されていたのですが、まさかこういうことだったとは。第１世代の皇家の樹にも関らず２枚しか光鷹翼を展開しないのは何故という疑問は残るのですが、これは皇家の樹が幼生固定されているため、成長し切っていないからでしょう。
　つまり、発芽玄米ならぬ発芽種子というところか。
　数十億年前に制作されたロボットで、津名魅も以前に樹雷を訪れた人たちに、２つの種子を渡したことがあるという。樹雷は皇家の樹の力を戦艦のコアユニットにしたが、幼生固定してのロボットの方が小回りが効いて良いかもしれない。
　その皇家の樹が西南をマスターと認めている。だから今、西南は樹雷皇位継承権第３位にあることを告げられる。樹雷は皇家の樹によって成立している国家だから、皇家の樹のパートナーは血族を越えて皇族として扱われることになるのでしょう。
　もっとも、樹雷皇家は平気で養子をとるので、血族なんて関係ない部分もあるのだが。例えば神木家は、当主の内海が婿養子だしその妻の瀬戸も実は養女だったりする。さらに神木ノイケは瀬戸様の養女……神木家は養子養子で血の繋がりは関係無いんかい！？
　そういうことなら西南が皇族になれば、おそらく（順当にいけば）柾木家が養子に迎えることになるのでしょう。
　どっちにしても、西南にしてみれば青天の霹靂でしたな。
　ここで当然出てくる疑問は、ならば第１位と第２位は誰だろうということです。
　阿主沙たちが「遙照がこれ幸いに……」と言っていることから、第１位に遙照がいるのはほぼ確実でしょう。ただし、皇家の樹船穂が未だ健在とはいえ、地球に根づいて今では船として飛ぶことはできない上に、遙照は地球に居着いているため、皇太子としての地位はかなり微妙なものになっているのではないかと推測されるのですが。
　あと樹雷皇候補としては、天地と砂沙美がいます。天地は自力で光鷹翼を展開し物質化までできるので、樹雷皇の継承権があっておかしくない。砂沙美はパートナーの皇家の樹が始祖の樹津名魅であるため、皇族としての格は第１世代の樹を持つ遙照以上ということになる。ただし砂沙美の場合、将来は津名魅と融合することが明らかになっているので、日本の天皇と征夷大将軍の関係と同じで権威の象徴である津名魅自身は樹雷の皇位には就かない、だから砂沙美に皇位継承権はないとされていてもおかしくはない。

・身を引く４人
　４人で西南とチームを組むように言われ、さらに西南が樹雷の皇位継承権の持ち主であることが明らかになり、いきなり身を引き出した４人。この気持ちも当然でしょう。
　まず、いきなり４人一緒じゃないと西南に不幸が訪れると言われてそれでも（西南が不幸になると分かっていても）甘い２人きりの新婚生活を想像するほど自分勝手な人たちじゃない。
　それに今までは未開惑星の庶民出身の西南に対して４人は上流階級の出身だし宇宙の先輩でもあるわけだからいわば西南に対して格上の立場として接することができたのだが、今度はいきなり西南が銀河最大国家の皇位継承者。はっきり言ってその意味では立場が逆転してしまいました。人間を上下で考えるような人たちじゃないだろうけど、それでも意識してしまうでしょう。やはり西南はただの運の悪い少年ではなかった、だから自分には相応しくないと考えが至っても不思議じゃない。
　ネージュが「西南さん」呼ばわりして「他の人ほど思っていたわけじゃない」と言ったのも、リョーコがバルタのお姫様とか関係なく「末席として西南に一生お仕えする」と言ったのも、身を退くためための口実ですね。
　ここで霧恋の夫婦茶碗や夫婦箸、夫婦歯ブラシが片方だけになっていたという演出は、さり気ないけど良かったです。

・卒業式
　卒業前に寮を抜け出す男子生徒たち。ここで西南だけは恥ずかしいマークを付けられなかったようです。
　そして卒業後のバトルロイヤルレースでも漁夫の利を得たのは西南。
　本当に悪運が幸運に変わっているのですな。

・サブキャラ勢揃い
　身を退くと言い出した４人を水鏡に連れていく美守校長。そこには
　画面左から順に、ネルマスの次期巫女、バルタ国王、鷲羽ちゃん、雨音父、雨音母、美兎跳さま、樹雷皇阿主沙、アイリ様。
　画面変わって、雨音父、雨音母、西南母、山田喜子、西南父。そして瀬戸さま。
　今までのキャラクター勢揃いで一体なにをやらかすのでしょうか。

　次回はいよいよ最終回。一体どんな結末が待っているのでしょう。もうすぐ終りとなると寂しいものですが
　

初出：02/ 9/21 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx5.htm#25

　珀蓮「仕方ないですわ、西南様。衆人環視の中こんな事をしてしまう私たちをはしたないとお思いでしょうが」

　そして西南ファミリーは８人に。西南ばかりが何故もてる！？

　今回は最終回です。いや、最後の最後まで楽しませてくれました。

・初任務は政略結婚
　卒業した西南に命じられた初任務はなんと、霧恋たちとの政略結婚。
　性根が小市民の西南にとっては寝耳に水。実は嫌がられているのではないかと不安のずんどこに突き落とされています。あれだけあからさまな好意をぶつけられていて、とことん鈍い奴だ。
　というか、地球で暮しているはずなのにいきなり宇宙に順応している西南の家族の方がおかしいですよ、旦那さん、奥さん！？
　さて、なんでギャラクシーポリスが西南の政略結婚を命じるかという疑問が残るわけですが、よくよく考えてみればＧＰは一国内の警察組織というより、おそらく樹雷を始めとする銀河連合国家の国際警察機構に近い組織なのでしょう。銀河アカデミーが元々樹雷の皇立アカデミーだったことからも分かるように、今でも樹雷の影響力は大きいのかもしれません。だって瀬戸様は、よくＧＰアカデミーや西南の事に口出ししているし。
　（ＯＶＡ１３話において美星の上司の野辺山課長が実は樹雷のスパイだったことが判明しましたから、そう単純な関係だとも限りませんが）
　でも樹雷にとっても銀河連盟にとっても、この政略結婚は確かに意味がありますな。
　まず霧恋と結婚するということは、西南を正式に樹雷皇家に迎えるということを意味します。もともと樹雷４皇家は養子だろうが婿養子だろうがいったん皇家に入って皇家の樹を与えられれば構わない傾向があるのですが、それでも４皇家と何の関わりも無いはずの西南が樹雷皇位継承権第３位という現状は何かと不安定なものです。霧恋と結婚することで、西南にも柾木家というバックアップができるということになりますね。
　雨音との結婚は銀河連合内の服飾品ブランドにしてガーディアンシステムのメーカーでもあるカウナック家と各国王家との姻戚関係ができることを意味する。樹雷皇族もガーディアンシステムを使用しているので、樹雷とカウナック家との懇意の証ということにもなりますね。
　リョーコとの結婚はバルタと樹雷の同盟に役立つでしょう。アニメで見るかぎりではバルタ王家は樹雷の庇護下にあるようにも思えるのですが。
　そしてネージュちゃんとの結婚は宗教国家ネルマスとの姻戚関係を意味しますね。もっとも樹雷は皇家の樹と始祖の樹津名魅という信仰対象を持っているので、その点では疑問が残りますが。
　この３ヶ国は銀河連盟の主要国家のようですね。トップ会談をやるのかと冗談を言われたみたいですが。
　……よーく考えてみたら、西南はまずＧＰに所属しているわけだから、西南と結婚することでＧＰが三国家と一財閥企業との間に縁戚関係を結んだという風に解釈することもできるわけですね。
　しかし、このメンバーでは誰が第１婦人になるかもめるだろうなあ。樹雷皇族の男子は重婚が可能みたいですけど、真・天地第１巻でも描かれているように第１皇妃とか第２皇妃とか順列付けが決まっているみたいですから。
　結婚式の紹介順だと、霧恋・雨音・リョーコ・ネージュの順だと思われるのですが……。霧恋の第１婦人は妥当としても雨音が第２婦人というのは疑問。雨音はカウナック家といえども民間の令嬢にすぎないのですから、身分で言えばバルタの姫のリョーコや元ネルマスの巫女であるネージュよりは下になるはず。これはおそらく西南に出会った順番で決めたのでしょうね。
　もっとも西南にしてみれば、もし第１も第２も関係なくみんな好きだということになるのでしょうが。

・実は生きていたタラントの逆襲
　完全サイボーグと化して潜り込んでいたタラント。西南を倉庫に誘き出して、正体を晒して襲いかかります。
　ダイダロスを亜空間から引きずり出されてマイクロブラックホールに消滅させられたというあの状況からどうやって助かったのかという疑問はさておき、とことん生き延びるしつこさだけは一級品です。
　……もっとも、したなめずりして口上を述べている隙を突かれて固められてしまうところがお約束。ここら辺の三流ぶりは一流です（あれ？）。
　一人でタラントを捕まえた西南の評価で「修羅場だけはくぐっていますからね」と美守校長が述べていますが、修羅場といっても西南の場合は圧倒的火力による殲滅が多く、こういう素の実力での一体一の決着はなかったように思うのですが。

・静竜とコマチ
　お前らいつの間に出来ていたんだ的なカップル　その１
　おバカな静竜と面倒見の良いコマチは確かに良いカップルになれると思うのですが、コマチが静竜を気に入っていたとは知らなかった。
　静竜、お前は地球人が嫌いで、特に西南がだいっ嫌いだったんじゃないのか。愛しの幼なじみの雨音を取られて、よく結婚式場の現場管理をやってられるなと思っていたら、そういうことだったのですが。
　……でも、コマチは確か海賊だったはずでは。ＧＰ隊員の結婚式に出てきて本当に良かったのか。コマチも司法取引で亡命したのだろうか。それとも実はアンダーカバーだったとか。

・海と喜子
　お前らいつの間に出来ていたんだ的なカップル　その２
　いつの間にかできていた海と喜子。静竜とコマチ以上に接点が不明なカップルです。海にお兄さんと呼ばれて取り繕う西南がおかしい。
　ところで、海が宇宙に出た時（多分）に受けた儀式って一体なんだったんでしょうか。

・珀蓮たち４人に拉致られる西南
　瀬戸様の部下で西南の接待担当の４人組の女官たち、翠簾、珀蓮、玉蓮、火煉。実はレンザ連合のスパイで、西南の海賊退治の手腕に目をつけ、レンザで暗躍中の海賊退治のために西南を拉致します。
　……唐突すぎ！？
　瀬戸様は４人がスパイだと知ってて使っていたようですが、樹雷の皇族って、アイリといい瀬戸様といい、スパイと分かって大事な部署を任せるのは樹雷の人間の趣味なのでしょうか。
　まあ唐突な設定は梶島天地の十八番（おはこ）ですので、いちいち怒っていたらきりがないと思います。
　ところで珀蓮たちが着ていた衣装はレンザ連合の衣装のようですが、レンザ連合はどうやらアラビアンなイメージの国家みたいですね。
　霧恋（樹雷）が和風。
　雨音（カウナック）が現代西洋風。
　リョーコ（バルタ）が北欧風。
　ネージュ（ネルマス）が……なんだろう？
ですので、意図して分けたのでしょうね。

・なんだかんだあって
　守蛇怪のクルーは総計９名に（ＮＢとナＢ子とその子供たちを除く）。
　この調子ではどうやら珀蓮たちとも結婚してしまったのではないかと思われるのですが……。まあ銀河連盟とレンザ連合との有効の証と考えれば納得でき……るのかなあ、この状態は。


　結局、西南は最初から最後までほとんど成り行きまかせだったような気がするのですが、それを言ってはお終いですのでここだけの内緒にしておきます。
　どうもありがとうございました。
　

初出：02/ 9/29 http://homepage1.nifty.com/junhelm/consider/tenchi_gpx5.htm#29